雛苺が今日もボクの頭の上に登って来ている。「ジュン登り」だなんて言ってるが、とてもふざけた奴だ!
ただ、せっせと僕の背中をよじ登る姿はクラクラする程いじらしい。
そして、うなじをくすぐる柔らかい髪の毛と、ボクの鼻腔を倒錯的に満たす雛苺の甘い香りには抵抗出来ず、いつもボクは為すがまま。
ウザがるフリを見せながら、雛苺にボクが勃起しているのを隠すので精一杯さ。
そう、今日もそのはずだったんだ。ただ、雛苺の奴がボクの頭の上から股間の上に滑り落ちた事を除いてはね!
これからボクが話す物語はそこから始まるんだ。まあ期待しないで聞いてくれ。See You!
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今日もボクの背中をフリークライミングする雛苺。
「ジュン登りぃ〜♪ジュン登りぃ〜♪」
「いい加減、や、やめろよ・・・な・・・・っ・・・んはあっ!」
ブルブルッと全身を震えさせて、ボクは続く言葉を飲み込んだ。
ボクの背中に張り付いた雛苺、彼女が一歩前進する度に吐き出される熱い吐息はジットリとボクの背中に染み込み、ボクからあっという間に抵抗の意思を奪う。
それが腰から次第に首筋までジワジワと登ってくる様は、例えるならば媚薬の溶け込んだ粘液質のぬるま湯に腰から浸かっていくような快感だ。
「はぁっ・・・ジュン・・のぼ・・りぃ・・・っ・・はぁ・・・っっ・・」
やがて疲れた雛苺の息は荒げ始め、ボクのうなじを雛苺の前髪がくすぐり始める。と同時に、雛苺自身の身体から発せられる甘く官能的な香りがボクを襲った。
・・相変わらず腰砕けになりそうなくらい強烈だ。
彼女の香りは、何と言うか、風呂上りの女の子の匂い、その官能的な部分のみを100倍濃縮して更に限りなく甘ったるくしたような、そんな男の理性を狂わす香りだ。
「く、ふぅぅ・・っ・・み、耳に息がかかってるって・・・・っっ」
それに加えて、この無邪気に性的魅力を振り撒く雛苺の魔性っぷりと言ったら、きっと全ての男を性犯罪者に走らせるに違いない、とボクは確信している。
・・事実、ボクの股間は既にはちきれんばかりの怒張を見せ、今や痛みすら伴っていた。
が、雛苺にはそんなボクの苦労は知る由も無い。
「てっぺんに到着〜なの〜〜!♪」
ようやくボクの頭の上に辿り着き、雛苺はかなりのご満悦の様子。
しかしボクにとっては、頭越しに伝わる雛苺の肢体の柔らかさ、重み、そしてあの香りが襲い続けている状況には変わりが無い。
「ひ、雛苺・・は、早く・・・お、お・・」
「お・・・なーに、ジュン?」
疑問顔で顔を覗き込もうとした雛苺、その瞳の向ける方向がボクの顔・・・の下方に下りて行く。
雛苺の瞳がキランと輝く。
「あーー!!ジュンのズボンにお山さんが出来てるの〜〜!!」
「え?あ・・・げっ!!」
しまった!今日はつい勃起ティムポを隠すのを忘れていた。
よりにもよって風呂上りの薄手のパジャマのせいで、亀頭部分にジンワリと先走りの染みが広がっている。
「お山さんが噴火しそうなの〜♪」
・・もう完全に雛苺の目はボクの股間に釘付けになっている。もう誤魔化す事は出来ない。
これはヤバい。よりによって雛苺に勃起して先汁滲ませてたなんて事が真紅や翠星石に伝わった日には、もうこの家でのボクの立場は学校以上にボロボロだ。
「こ、これは違って、べ、別にお前に興奮とかじゃなくてーー!!」
取り乱したボクは慌てて立ち上がろうとした。・・それがマズかった。