今日ウチに届いたあて先人不明の荷物。
その中から現れた一体の人形は、とてもいびつな形状をしていて、愛着などまるで微塵も沸かないような姿だった。
風呂敷みたいな滑稽なファッション。血管の浮き出た気色の悪いオッドアイ。人を無駄にイライラさせる間の抜けた表情。
同梱の説明書きによると、どうやらこの人形の名は実装石というらしい。名前の意味も良く分からない。
とりあえず、動く。これには軽く驚いた。どうやら意思を持っており、自律動作も取っているようだ。そして、
「デスー」
抑揚の無い、一本調子の言葉を吐く。しかもこの単語しか喋らないと来た。
なんだよ、漫画とかなら、これが可愛らしい人形だったりするんだろうに!
今すぐにでも捨てたい。・・でも、何か中途半端に生きてるらしく、下手に捨てても社会的になんかマズい騒ぎになりそうな気もする。
俺は段々と腹が立ってきた。
ふと見ると、実装石の姿が見えない。
俺「んぁ?どこ行ったんだあいつ?」
キョロキョロと辺りを見回す。さっきまでそこに・・・
実装石「デスー・・・」
見ると、実装石はダンボール箱の中に閉じ籠り、ブルブルと震えていた。
俺「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふう」
腕組みして実装石を見下ろした。
俺「・・・そんなに俺が怖いってか?俺はいきなりお前みたいな変なのを掴まされて、途方に暮れてるっていうのによ・・」
頭を抱えて震えている実装石の首根っこをつまみ上げ、そのまま俺の顔の前まで持って行く。・・思ったより重い。大人の猫くらいの重さがある。
それに、縫いぐるみや陶器の人形とも違い、ちゃんと肉感があってつまめる事に驚いた。
なんだよ、妙に出来が凝ってるじゃねーか・・。
実装石「デスー・・!デスー・・!」
パタパタと、短く指も無い手足を振り回して抵抗する実装石。
先ほどの一瞬の感心は吹き飛び、仕草はともかく、その顔で必死に抵抗される事に腹が立ってきた俺。
俺「な、なんか・・・・・・お前スゲームカつく・・・」
俺はダンボール箱の中に実装石を放り込んだ。変な角度で落ちたのか、ゴツッ!と鈍い音を立てて実装石が倒れこむ。
実装石「デスゥー・・・デスゥ・・・・」
俺「・・・・・な、なんだよ・・」
ダンボールの中で頭を抱えて弱々しく震える実装石。その余りに「生」を感じさせる姿に、一瞬戸惑いを覚える俺。
その時、実装石がこちらを見上げた。
実装石「デ、デスー・・・?」
まるでこっちの戸惑いを悟ったかのように、小動物みたいなキョトンとした目でこちらを見つめる。
俺「なんだよ、本当に生き物みたいな馴れ馴れしい仕草しやがって・・・!」
俺は少しでも沸き起こった戸惑いを振り払い、そのまま段ボール箱の蓋をしめた。
実装石「デスー!デスー!」
実装石の狼狽の声が響く。が、俺は構わずガムテープでしっかりと封をしたのだった。
俺「ふー、さびぃ・・・」
既に日も落ち、コンビニで弁当を買ってきた俺は背を丸めながらアパートの部屋に戻った。
俺「ただーいま、っと」
電気を付けたばかりでまだ温まっていないコタツの中に足を入れ、その上にざーっと弁当を広げる。
今夜ははスパゲティと豚汁だ。晩飯にしては少し物足りないが、俺の生活水準からはいた仕方ない。
俺「さーて、いただきまーす」
もぐもぐ、とスパゲティを頬張る。
・・うん。コンビニ弁当とはいえ、このペペロンチーノはなかなかいける。
スパゲッティを口に残したまま、ずず、と豚汁を啜る。
・・うん、具野菜が沢山入っていて、俺みたいに弁当メインの人間にはなかなか貴重な飯だよな。
俺「うーん、最近はコンビニ弁当もヘタな外食より質が上がって来たなぁ〜・・」
そのままムシャムシャと口を動かし続ける。
次第に水分の補給が豚汁のままでは重くなって来た。
俺「お茶、お茶・・・」
俺はコタツから抜け出て、廊下の冷蔵庫に向かう。
ゴツッ!
その途中で何かにつまづいた。
俺「あ・・・?なんだ?」
見ると、昼間の"あの"ダンボールが部屋の入り口の陰に置きっ放しになっていた。
俺「・・・・・・・・・・・」
ダンボール箱からは昼間のような実装石の声は聞こえない。
・・ね、寝てんだろ、きっと。
そう自分に言い聞かせるようにして、コタツに戻る。
俺「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
食が続かない。露骨にソワソワしている自分がいる。
俺「・・・・・・くそ」
ダンボール箱をキッと睨む。
結局俺はこの人形に振り回されるのかよ。いっそただの人形ならこんなイライラも無かっただろうに。
愚痴りながらもコタツを抜け出すと、乱暴にダンボール箱の封を解いていく。
・・ガバッ。
俺「・・・・・・・・・・・・・」
ダンボール箱の中には、実装石が横たわっていた。静かに寝息を立てている。
実装石「デスー・・デスー・・・」
寝息もデスーかよ。気持ちの悪い奴め。毒づきながらも俺は不覚にも一瞬噴き出してしまった。
コタツの上に、ダンボールに戻し忘れた説明書を置いたままにしてあった。
・・別に気になるわけではないが、何となしに読んでみる。
俺「えーっと、・・実装石はあなたに愛を運び・・・いや、ここは読む必要はねーな、えーと、実装石の世話・・・は」
俺「・・えっと実装石は、定期的なエネルギーの補給が必要、えー、しかし歯は持たず、流動食メイン、通常の食事では1日にマグカップ3杯のミルク供給」
・・・一応餌は必要なのか。こいつは牛乳がガソリン代わりってなわけなんだな。・・それにしてもマグカップ一杯って、こいつのガタイにしては結構飲むんだな。
他にも色々書いてあるが、要は食事さえ抜かなければ問題は無いらしい。
俺はミルクをなみなみとマグカップに注ぎ、黙って実装石の横に置いてやった。
俺「ま、飯くらいはやらねーと流石に問題だろうしな・・」
ふと、実装石の姿に目が行く。
実装石「デスー・・・デスー・・」
だらしなく足をおっぴろげて寝ている実装石。その股間に目が止まった。
スカートがだらしなくまくれている。そして肌色の股間が露になっていた。
(・・・まあ、ノーパンなのは人形だからいいとして、)
俺「・・・なんだ、こいつの身体は?」
こいつの肌は、妙に生々しい肉である。人間のように張りがあり、ツヤがある。というか、造形こそ指が無かったり異形ではあるが、人間でもかなり上玉の肌だと思う。
そして、その股間。・・・・なんだ、この肉穴は。
割れ目は、ない。尻も・・・・・無い。
・・・・・・・ただ、股間に直径1,2cmほどの真円の肉穴が一つ、パックリと口を開いていた。
本能的に、俺はそれが「排泄器官ではない」事を悟った。
俺「な、なんだよこいつ!!?き、きもッ!きも過ぎる!!」
俺は顔を引きつらせ、ダンボールを乱暴に閉じた。
俺は部屋の電気を消し、ベッドの上で吐き気を必死に堪える。
俺「キモッ!きもッ!!きもっっ!!!!」
・・・本気で気持ち悪い。
何だ、この人形。作った奴は趣味が悪過ぎる。
・・いや、趣味とか言う問題じゃない。この人形には人間は1人残らず嫌悪を抱くんじゃないのか。
奇形としか言いようが無い造形と、無意味に生々しい人肉の肌、そして用途が容易に想像される「器官」。
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瞼の隙間から強烈な日差しが差し込む。
「う、うーーん・・・・」
・・もう朝か。俺はベッドの中で大きく伸びをした。
「さーてと、大学行かないと」
寝返りを打とうとすると、妙に身体が重い。
「ん、ん?」
俺は寝たままの体勢で頭を持ち上げた。
実装石「デスゥ・・・デスゥ・・・」
見ると、俺の胸の上で実装石がうつ伏せになって寝ていた。
・・実装石はデスゥデスゥと相変わらずの寝息を立てている。
「こいつかよ・・・」
見た目以上に実装石は重いが、この身体にのしかかる重みはペット的な温かみを感じないでもない。
「はは・・・こんな奴に懐かれてもなぁ・・」
苦笑しつつ、実装石の頭を撫でようとして・・・止まった。
「・・・・あ?」
妙に身体が冷たい。実装石がずり落ちるのも気にせず俺はガバリと身体を起こした。
・・ビショビショのシーツを見て俺は硬直する。
「な、なんだよこれっっ!!!?」
大量の液体が実装石の股間辺りから垂れ、シーツ全体に広がっていた。
・・今もなお、実装石の尻(?)の穴からコプコプと溢れている。・・・吐き気を催すくらい異臭が酷い。
落下後もベッドの下で寝続けている実装石を見た。
ダン!!
ベッドから降りるついでに思いきり腹を踏みつける。
実装石「デフゥ!!!」
昨晩持ち上げた際に、思ったよりこいつの身体が丈夫な作りなのは知っていた。
実装石「デスゥ・・・・デス・・ゥッ・・・・」
案の定、実装石はもがきながらもムクリと起き上がる。
「くせぇよ・・・・」
俺は実装石を無視し、テーブルの上のマニュアルに目を通した。
「・・・えーと・・ミルクを摂取しても実装石に水分は必要無い為、ミルクの栄養分以外の水分は6時間後そのまま排出される・・・・」
・・・・ふざけんなよ・・・・。
ガスッ!!!
俺は鼻をつまみつつ、腹を押さえてもがいている実装石をもう一度蹴り上げた。
とにかくシーツを洗いたかったが、それだと大学に間に合いそうもない。
「くそ・・・帰りに買ってくるか」
俺は苛立ちながらもゴミ袋にシーツを丸めて叩き込んだ。
・・まったく、昨日実装石が来たばかりだというのに、早速これでは先が思いやられる。
「行きがけにゴミ捨て場に置いてくるか・・・?」
そう言って振り向くと、実装石の姿が見えない。
「ん・・・?どこ行った?」
どうせ昨日のようにダンボールに隠れているのだろう。
「・・・・・まあ、もうマグカップ分の水分は出尽くしただろうし、大丈夫かな」
俺はそれ以上考えるのを止めると、部屋を出て大学に向かった。
女教授「で、これは女性名詞だから・・」
実装石の事を振り払うかのように講義を真面目に受ける俺。黙々とペンを走らせる。
カリカリカリ・・・・
女教授「Er hatte es sich nicht nehmen lassen, ...」
カリカリカリ・・・・
女教授「mit ihr im Palace Hotel zu wohnen・・・」
カリカリ・・・ちゅくちゅく・・・
・・・ちゅくちゅく?
ノートを取る音に混じり、妙な水音が教室に響いた。
カリカリ・・・・ちゅくちゅく!
『・・・え・・・・?』
学生がキョロキョロとし始める。俺も例外でなく辺りを見回した。
・・・ちゅくちゅく・・・!
『ざわ・・・ざわ・・』
・・・しかし。
例外じゃないはず、なのに彼らの視線が次第にこちらに収束して来るのはなぜだ。
「な、なんだよ・・・」
彼らの視線は、最終的に俺のカバンの方を向いて止まった。
ちゅくちゅくちゅく・・・・
確かに水音はカバンの中から聞こえてくるようだ。
・・・デス・・・
「え・・・まさか・・・」
俺の顔は一気に青ざめた。
今は一時限目。教科書と筆記具はそのまま脇に抱えて来ていたせいで、カバンの確認は怠っていたのだ。
・・・無視したい。無視し通したい。
しかし無視していても周囲の視線が痛い。怪訝な目が一斉にこちらに注がれていた。
見ると、教授も講義を中断して、何事かとこちらを向いている。
・・・ごくり。生唾を飲む。
まさに無言の問いに答えるように、俺はゆっくり、ゆっくりとカバンを開いた。
・・・・・・・そこには。
実装石「デスゥ!・・・・・デスゥ・・・!!」
実装石が、いた。恐らくは出発前に忍び込んで・・・
『うげっ!!何だこの人形・・・!!』
『気持ちわりぃぃ・・・!!!』
机の上にだらしなく座り込んだ、実装石。その異様な姿に教室の全員が戦慄を覚える。
誰しもが写メを撮る事さえ忘れるほどに教室の空気が固まる。
しかし、それだけではなかった。実装石は・・・・その、指の無い手を・・・・手を・・・・・
ちゅくちゅくちゅくちゅく!!!
実装石「デスゥ!デスゥ!デスゥ!!デスゥッ!!」
股間の穴にあてがい、猛烈な速度で動かしていたのだ。
・・そんなにも気持ちが良いのか、全身をガクガク痙攣させてよがり声を上げている。
ちゅくちゅくちゅくちゅく!!激しい水音が上がり、異臭を放つしぶきが実装石の股間から辺り一帯に飛び散る。
『うぎゃっ!目に、目に入ったっっ!!』
『きたねぇっっ!!』
『うわ、ちょっとこいつ何やってんだよ!!』
『きゃぁぁぁっっ!!』
俺のカバンから現れた異形の物体、その異常行動を目にするや否や、教室が一斉にパニックに陥る。
「あ、いや、これは、これは・・・!」
俺は激しく狼狽し、弁明の言葉を上手く紡ぎ出せない。
女教授「あ、あなた、それ一体・・・!!」
教授の言葉を最後まで待たず、俺は実装石を抱えるとカバンに詰め込んで教室を飛び出した。
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「うう・・・・うう・・・・・・・っ」
暗い自室。俺は実装石を殴るのも忘れ、1人膝小僧を抱えていた。
・・・・もう、学校行けねぇよ。噂も広まってる事だろう。もう友人とも顔合わせられねぇ・・。
マニュアルによると、あの自慰行為のように見えた行動は、排泄後もなお実装石の体内に残った水分を掻き出す為に行う行為らしい。
しかもどうでもいい事に、実装石にとってかなりの快感を伴うものだという・・。
・・・でも、そんな事はどうだっていい。本当にどうでもいい。
実装石「デス!デスゥ!デスゥ!デスゥ!!」
ちゅくちゅくちゅく!
異臭漂う空間の中、俺の傍らでは、水分は出切ったのに快感の余り自慰行為を止められないでいる実装石が、未だに手を動かし喘いでいた。
・・俺は虚ろな目で茫然とその様子を眺めた。
実装石「デスゥ・・?」
実装石と不意に目が合う。実装石の手がピタリと止まった。
・・そして数秒後。
実装石「デスゥ!デスゥ!デスゥ!!」
ちゅくちゅくちゅく!!
何事も無かったかのように再び手を激しく動かし始めた。
「!!」
ガスッ!
俺は体操座りの状態から実装石の顔面に蹴りを食らわせた。
実装石「デズゥ゛!!!!!」
・・気分が凹んでいたとはいえ、流石に一瞬で頭の血液が沸騰した。
「やる事為す事いちいちキモいんだよ、この人形野郎!!」
実装石は顔を歪ませたままゴロゴロ!と勢い良く部屋を転がり、壁に思い切り頭をぶつけた。
実装石「デスゥ・・・デスゥ・・・・・」
痛覚があるのか知らないが、プルプル震えて頭を抱える実装石。
だらしなく広げた股には、摩擦の余り擦り切れて真っ赤になっている肉穴がチラリと見えた。
肉穴は実装石の呼吸に合わせてパクパクと息づいていた。
「・・・・・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・」
今朝の事で意識が倒錯していたのだろうか。
俺はその穴を眺めてる内に愚息がムクムクと起き上がるのを感じた。
「なあ・・・実装石・・・その・・・その穴・・・・・さ」
俺はズボンのファスナーを下ろしつつ実装石に近づいた。
実装石「デスゥ・・・?」
痛みは既にどこぞへ行ったのか、足を大きく広げたまま不思議そうな顔でこちらを見つめる。
ボロン、と実装石の眼前で勃起した肉棒が飛び出した。
「はぁ・・・・はぁ・・・・入れ、入れさせてくれよ・・・」
実装石「・・・デスゥ」
感情の無い目でチンポを凝視する実装石。
・・直後、興味を失って再び手淫に興じる。
実装石「デスゥ!デスゥ!」
俺はそんな実装石をいきなり抱え上げた。
実装石「デスゥ!!デスゥ!!デスゥ!」
ジタバタと激しく抵抗する実装石。かなりムカつく動きをしてみせる。・・自慰を邪魔されたのがそんなに立腹なのか。
俺は実装石の腰を掴んだ。
「はぁ・・・そんなに気持ちよくなりたいなら・・・はぁ・・・はぁ・・・こうしてやるよ・・!!!」
そう言うと、俺は亀頭を実装石の肉穴に押し付けた。
実装石「デ、デスゥ!!?」
敏感なところを刺激され、ビクッと実装石の動きが止まる。
俺は妙な背徳感、昂揚感を感じながら、そのまま実装石の身体を下に押さえつけて行った。
ずぶ・・・ずぶずぶずぶずぶ・・・・!!!
ズブズブと俺の肉棒が実装石の狭い穴の中にみっちりねじ込まれて行く。
実装石「ゥゥゥ!!デス、デスゥ!デスゥゥゥゥウゥッッッッ!!!」
実装石は全身を硬直させ、顔をプルプル振りながら、身体の奥から搾り出すような嬌声を上げて啼いた。
「んはぁぁぁぁぁっっ・・・・・・・くぅぅぅっ・・・・・」
実装石の体内にギッチリと詰まったチンポ、両手でギューッと握り締められるような強烈な締め付けに思わず声を漏らす。
何より、獣姦のような、ダッチワイフに挿入するような、コンニャクに挿入するような、例えようも無く倒錯した感情が、絶え間なく沸き起こっては俺の股間を襲うのだ。
俺はオナカップのように実装石の身体を上下に揺さぶった。
ぐっちゅぐっちゅぐっちゅぐっちゅ!!
実装石「デフゥ!!デヴゥ!!デフゥ!!デ・・・フゥゥ!!!」
実装石はだらしなく涎(これまたとてつもなく臭い)を垂らして全身をビクビク痙攣させている。極端な性感体質のようだ。
「あ、はぁ、あぁぁ・・・!あぁぁぁぁぁ・・・・!!!!」
どぶっ!どびゅっ!どぶ、どぷ・・・・!!
実装石「デスゥ!デスゥ!!デフゥ!!デ、デフゥゥゥゥゥゥゥゥッッッッ・・・・・・・・・・!!!!!」
俺はむせ返るような異臭に包まれながら、実装石の体内に凄まじい勢いで射精した。何度も。何度も。枯れ果てるまで。
「・・・・・・・・・はっ」
ふと、俺は唐突に冷静になった。
足元には精液まみれの実装石が息を荒げてよがっている。・・その口元からは逆流した精液が大量に垂れていた。
「俺・・・・何やってんだ?」目の前が真っ暗になる。
不意に実装石と目が合った。
実装石「デスゥ・・」
何を勘違いしたのか、俺の胸元に気持ち悪く擦り寄ってくる。
ガスッ!!
俺は実装石を部屋の隅に思い切り蹴り飛ばした。そして・・・泣いた。
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母親の悲鳴空しく、実装石達がわらわらと幼子に群がり、その姿はやがて隠れて見えなくなった。
実装石A「デスゥ・・むちゅ・・・デスー・・ぐちゅ、ぐちゅるっ!!」
無表情のまま、幼児の目に吸盤のように吸い付いた実装石は、小気味良い音を立てて一気に眼球を吸い取った。
「んぎゃぁあああぁぁぁ!!!」
空っぽの眼腔からコプコプと泉のように血液が噴き出し、聞くに堪えない激しい悲鳴が辺りに響く。
しかし感情の宿っていない実装石には何の抵抗にもならない。
もう一匹の実装石と奪い合うようにして、残りの眼球も吸い取った。吸着力が強すぎて幼児の目の周囲の肉までベロリとこそげ落ちる。
二匹はそれぞれの眼腔の中に吻を伸ばすと、そのまま脳髄をシェークのようにジュルジュル吸い取り始めた。
びくんびくんと幼児の身体が大きく跳ね上がる。
幼児の横脇に顔を出した実装石は、口から棘だらけで半透明の吻を出すと、それを幼児の腹に押し当てた。
実装石C「デスゥデスゥ!デスゥ!」
その突起物はうねるように回転を始め、幼児の柔らかい肉を抉りながらグジグジと体内に突き進んでいく。
幼児は既にビクビクと痙攣するのみで、声も上がらない。
しばらくすると吻の動きが止まり、今度はその長く伸びた吻がどくん、どくんと大きく脈打ち始める。
脈打つ度に、何か赤黒いものが突起物を通って行くのが透けて見える。幼児の内臓をごぶごぶとミンチ状に吸い取っているのだ。
実装石C「デズゥ・・ジュルジュル・・・・・・・デ・・ジュブル・・・・ゴブッ・・ジュル・・・」
幼児の肌はあっという間に全身青ざめ、頬はこけ、腹は内容物を失いみるみるへこんで行った。
やがて実装石達はどこぞへと去っていった。
血まみれの乳母車。そこには、目の前で生きたまま肉をむさぼられ、ボロ雑巾のような骨と皮のみの姿になってしまった我が子。
空洞の両眼、苦悶に歪んだ表情。そして全身ところどころに、肉を吸い取る為に吻を差し込んだストロー穴が開いていた。
これが実装石の最初の被害者、その成れの果ての姿である。
実装石A「デスゥ!デスゥ!デスゥデスゥ!」
実装石B「デスッ!デスゥデスゥ!!」
実装石C「デスゥ・・ッ!!デスゥゥッ!!!」
肉塊と化した幼児の亡骸の傍らで、思い出したかのように自慰にふけり始める実装石達。
じゅぶじゅぶじゅぶ、と猛烈なスピードで自らの肉穴に手を出し入れ・・只それだけの単調な動きに没頭する。
実装石A「デズゥッ、デズゥ・・・・・デ、デズゥゥゥゥ・・・・ッッ!!!」
三角形の口から白く濁った涎をダラダラとだらしなくこぼし、びぐん、びぐん!と激しく全身を痙攣させる。
快感が昂じて、涙を流しながらゲボゲボと幼児の内臓の一部を吐き出す実装石もいた。・・が、彼女達の行為は全く速度を落とす気配を見せない。
続けざまに絶頂を迎えては、再び行為に没頭する実装石達
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異臭が蔓延する部屋。シーツがないので、俺は毎晩コタツに潜っては寝る生活を続けていた。
・・コンビニに弁当を買いに行き、銀行から金を下ろす時以外は部屋に篭りきり。
しばらくは続いていた友人からの電話も、いつしかプッツリと途絶えてしまった。
一度だけ玄関まで招き入れた事もあったが。異臭の余り・・俺を驚愕の目で見ると振り返りもせずに走り去った。
いつしか俺の身体にもその腐臭が染み付いたらしい。外出出来ない大きな理由の一つだ。
「洗っても取れない・・・・クソッ!!」
俺は身体を掻き毟り、風呂桶を蹴飛ばした。
実装石「デスゥ・・・」
風呂場の戸の陰から、様子を伺うようにこちらを眺めている実装石。
「・・・・・・」
感情を宿さない二色の瞳。
俺はボンヤリとその姿を見つめる。・・実装石の太ももには粘液がいやらしく糸を引いていた。
実装石「デスゥ!デスゥ!!デスゥッッ!!」
「はぁっ!はぁっ!はぁっっ!!」
実装石の狭い肉筒に熱い精液をほとばしらせる。
イライラする度に、俺は怒りをぶつけるように実装石を抱いた。いや、”使った”。
俺に貫かれ、揺さぶられる異形の生物。
腕の中で涎を垂らしながらデスゥデスゥと激しくよがるそれに嫌悪を抱きながらも、
今や俺にはこいつしかいないんだ、という諦めにも似た感情が胸中に渦巻く。
「・・・・」
俺は実装石に口付けした。すかさず舌を捻じ込む。
「むちゅ・・・ちゅっ・・・・」
実装石「デスッ!!?デシュ・・デシュゥ・・・!!」
実装石はすぐにその未知の行為に没頭し、俺の唇にむしゃぶりついて来た。
激しく絡み合う1人と1体の唇。
実装石の口内はやすりのようにザラザラで、腐った生ゴミの臭いがした。
ある日、ネットで1人の女の子と知り合った。少しダウナー系だけど、気の良い感じの女の子だ。
俺の隣で静かに寝入ってる実装石をおいて、暗闇の部屋でモニタに向かう。
『・・でね、ちょっとムカついたんだけどシカトしてやったんだv^ー^』
『Takaさんは、大学ではどんな感じなのカナ?』
他愛無いやり取りが続く。二人の関係に起伏もなく、ただ淡々と日常を辿った会話が繰り返された。
・・正直、会う気は無かった。これは現実とは切り離された交友なのだと割り切っていた。
でも、メールでやり取りする一時は、僅かながら人としての生きる喜びを思い出させてくれた。
実装石「デスゥ」
メールを打っていると、目を覚ました実装石が俺の膝上にもぞもぞと登ってきた。
そのまま、ジッパーを下ろして俺の肉棒をいじりだす。
「もう起きたのか」
俺は実装石のしたいようにさせて、メールに興じる。
『俺、今起きたところだYO!( ´D`)ノ』
実装石は口から半透明の吻を伸ばすと、俺の肉棒をヌルリと飲み込んだ。
実装石「デフゥ!」
いつものように、それを激しく蠕動運動させる。
じゅぶっ!じゅぶっ!じゅぶっ!
くぐもった水音が響く。
『今日はサークルの飲み会だから遅くなるカモ(つД`)』
どぐっ!どくっ!どびゅっ!!
大量の精液が吐き出され、実装石の口内に吸い取られていく。
メールを打つ手がガクガクと震える。
『じゃあ行って来るYO!(´・∀・`) 』
「弁当買いに行くか・・・」
俺はダウンジャケットを羽織ると、いつものように全身に大量に香水を振り掛けた。
余り効果は無いが、ほんの数分コンビニに入る間さえもってくれたらそれでいい。
「じゃあ、実装石行って来るからな」
実装石「デスゥー」
精液でドロドロの口を糸引かせながら、実装石が見送ってくれた。
・・今日は特別寒い。空は完全に灰色、風が身体を貫くように冷たかった。
「よし、今日はあんまり臭わないな」
寒さが過ぎれば人の嗅覚は弱まる。俺は心持ち軽やかな足取りでコンビニに向かった。
「749円になります」
目元のホクロが可愛い店員の女の子から弁当を受け取ると、俺は足早に店を出ようとして・・・1人の女の子と目が合った。
少女「た、Taka・・・・さんですか?」
目を見開いて話し掛けてくる。
コピー機の前に立っていた小柄な少女は・・・・メールのやり取りをしていた彼女に他ならなかった。
未練がましく写メの交換だけはやっていたが、それは現実で会う事が無いという事を覚悟した上での行動だった・・が。
「か、神楽ちゃん・・・・・・?」
俺は狼狽した。
ハッと気付くと、彼女から2mほど距離を置く。
(初対面で腐臭を撒き散らすわけにはいかない!)
神楽「??」
不思議そうに小首をかしげる神楽ちゃん。二つのお下げがくるンと揺れた。
「え、えーと、始めまして・・神楽ちゃん」
神楽「・・・あ、は、はい、始めまして」
たどたどしくお辞儀する神楽ちゃん。ブレザーの制服が眩しい。
コンビニの中で自己紹介を始める俺達。
次第に会話から硬さは消え、メールの時と同じような和やかな空気に二人包まれる。
「そっかー、神楽ちゃんってこんな近くに住んでたんだー?」
神楽「で、ですね・・・こないだ登校中に・・・・・・・・・・あ??」
一瞬、神楽ちゃんが眉をひそめた。
「え、ど、どうしたの・・・?」
神楽「?・・・・・な、なんか臭い?が・・・・」
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「あ・・・はは、ホントだ・・・何だろね・・・」
誤魔化しながらも内心冷や汗をかく。
そろそろ限界だ。ふと見ると、周りの客の中にも顔をしかめている人がちらほらと見受けられた。
「何だろね・・・」
とぼけて言ってみるが、彼女の表情はギコちないまま緩まない。・・タイムアップか。
俺はジワジワと出口の方ににじり寄りつつ、タイミングを見計らって声を上げた。
「・・あッッ!」
神楽「え?どうしたんですか・・・?」
「ごめん、今日はバイト入ってんだった!」
何ともベタベタな切り出しだと思ったが、思考に余裕の無い状態ではこれが精一杯だった・・。
神楽「?そうなんですか??」
「い、いぃ急いでるから、んじゃまたメールでね!」
神楽「は、はい・・・ ??」
神楽ちゃんの返事を待つ暇も無い。俺はコンビニから飛び出した。
遠ざかって行く彼女の姿を未練タラタラで見やりながら、俺は寒空の下、猛ダッシュで去って行ったのだった。
バタン!
「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・」
玄関で俺は大きく深呼吸を繰り返した。
呼吸が落ち着くと、そのまま居間に向かう。・・俺は凄く気分が良かった。
実装石「デスゥー」
実装石がタパタパと駆けよって来た。リアル少女の次にこれを見ると、何とも胃のむかつきを覚えるものだ。
実装石「デスゥー!デスゥー!」
足元にしがみついて来たが、そのままスルーして居間に入った。
実装石がしっかりくっ付いてるので足が少々重い。でも今の俺には全く気にならなかった。
「よーいしょ〜〜〜」
居間に入ると実装石をしがみつかせたまま足をコタツに入れた。実装石の身体がコタツの中に消えて行く。
実装石(デズゥー)
まあ最後はグダグダだったけども、さっきは久しぶりに灰色の日々が鮮やかな色を取り戻したかのような、まさに充実のひとときだった。
俺はコンビニ弁当を買って来たのを思い出し、コタツの上に広げた。
「なんか弁当まで美味く見えるよな・・・・」
精神状態とはかくも感覚器官にまで影響を及ぼすものか。
そのままガツガツと勢い良く飯をかきこんで行く。・・・美味い。
「やっぱ生活の彩りは女の子だよなぁ・・・」
そんな事を呟きながら、PCモニタの明かりのみの暗い部屋の中で、1人食事を進める俺。
(何か焦げ臭いけどな・・)
〜*〜
実装石がコタツの反対側からもそり、と這い出て来た。
実装石「デスゥ」
ヨロヨロと起き上がると、パンパンと服を二、三度叩いて身なりを正す。・・便所バエが足で羽を繕うように、あくまで機械的な行動である。
痛覚の無い彼女には、コタツで顔が少々焦げた事も、熱に弱い腕の皮膚がコタツの金網に張り付いて剥がれた事も、大した事ではなかった。
タカシ「あーぁ、やっぱ神楽ちゃん可愛いよなぁ・・・」
PC画面に見入る彼の顔を見上げる。いつものように、その瞳には感情は一切宿っていない。
タカシ「あーーぁ出る出る出る・・・神楽ちゃん神楽ちゃん・・・!!」
実装石「・・・デスゥ」
前のめりになって呻く男の姿を見て、彼女は・・一言だけ、呟いた。その表情には一片の変化も無い。
男の気付かないまま、実装石はダンボールの家に潜り込んだ。
神楽『ほんとこないだは驚きましたヨ(^〜^*) グーゼンって凄いですね!』
「俺もだよ、スゲー楽しかった、っと、あと、携帯の番号も・・・・っと・・・・教えてくれるかなぁ・・」
勇み足になるまいか散々悩みつつも、俺はメール送信ボタンを押した。
「あ〜〜〜頼みます神様っ!」
そう言いながら天に拝んでみたりしてみる。
ちょっと浮かれ過ぎのような気もするが、これでようやく今までとのバランスが取れるくらいだ。
あと、実装石・・・・あの奇怪な生命体で一時とはいえ性処理していた事実など忘れてしまいたい、そういう気持ちもあったのかもしれない。
一方、PCの別窓では強力消臭剤を注文。本気で探せば色々とあるもので、異臭の問題は何とかなりそうだ。
リアルに怯えていては進展は無い!これから俺は攻めに転ずるのだ。
俺は必ず現実に復帰してみせる。そう俺は誓った。そのきっかけが先日の出来事である。
(その為には、やはり実装石を何とか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
・・と、PCにメール着信の通知窓が開いた。
神楽『・・・・ハイ(*^-^*)/ ○△■-◎□○・・・』
その受信メールは、神楽ちゃんが自分の携帯番号を知らせるものであると同時に。
神楽ちゃんが、この俺とリアルでの交友を許してくれたという証明でもあった。
「キターーーーーーッッ!!」
俺は小躍りした。
神楽『・・今は学校だからTELはまだダメですヨ♪』
「あーー・・待ち遠しい・・」
頭がクラクラした。何度も何度もメールを最初から最後まで読み直し続ける。
「あーーーー神楽ちゃん・・・・」
顔がニヤけるのを抑えられない。やがて思考は妄想の域に突入する。
「はぁ・・・・・神楽ちゃんのオマンコ・・・」
実装石「デスゥ」
夢心地で妄想を楽しむ俺、その視界に異次元生命体が紛れ込んだ。・・一瞬で脳が冷めきる。
「チッ・・・・何だよお前・・・・・」
実装石「デスゥ!」
実装石は一目散に俺の股間に飛びつくと、手早くチンポを取り出した。
「何かするかと思えば、またそれか・・!!」
実装石「デスゥ!デスゥ!!」
激しい勢いで俺のチンポを弄くる実装石。興奮からか、実装石の股間の穴から腐臭漂う粘液がコプコプと溢れ出す。
その臭いを久々に嗅いだ瞬間、俺の全身の血液が一瞬で沸騰した。
「・・・クソッッ!!!!寄るんじゃねーよ、このバケモンが!!!!」
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