その日もジュンは机に向かって奮闘していた。
既に日付が変わってから一時間がたとうとしている。
「ああ、もう駄目だ……眠たい」
ジュンが目を擦りながらぼやくと、背後から誰かが近付いて来た。
「ジュン君、お疲れ様」
ニッコリと微笑みながら珈琲の入ったカップを差し出す蒼星石。
「ああ……ありがとう」
ジュンは少し驚いたが、すぐに笑みを返した。
「じゃあ僕は寝るね。あまり無理しちゃ駄目だよ?」
トランクに入る蒼星石を背後に感じながら、ジュンは珈琲を一口飲んだ。
「あ……美味しい。そう言えば最近、紅茶ばかりで珈琲飲んでなかったな」
ジュンは少し気合いを入れると、再度机に向かった。

「ん……まだ明かりがついてる?」
トランクを少し開き外をうかがう蒼星石。
そこには、いつの間にか寝息をたてて机に突っ伏しているジュンがいた。
「ジュン君、こんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
ジュンの体を揺らしてみるが、起きる気配は無い。
大声をたてると真紅達が起きてしまうため、小声で必死にジュンに呼び掛ける蒼星石。
「もう、ジュン君ったら……どうしよう」
困り果てた彼女はジュンの寝顔を覗いてみた。
無垢な顔で眠るジュン。
「……可愛いい」

思わず漏らした言葉に、蒼星石は顔を真っ赤にする。
「僕は何を考えてるんだ……でも今なら誰も見てないし…」
周りを確認すると、蒼星石はジュンの顔に自分の顔を近付けた。
「ジュン君……僕は君の事が好きだ」
そして重なる二人の唇。
蒼星石はジュンから離れると、ベットから毛布を取ってきて彼に被せた。
「今度こそお休みなさい、ジュン」
彼女はそう言うと、再びトランクに入った。
突然ジュンが体を起こす。
「今の蒼星石の台詞……」
ジュンは自分の唇に手を当てると、顔を赤らめた。
そして蒼星石が眠るトランクを見つめた。

「ジュン君まだ起きてこないわね」
既に朝食が並ぶ食卓で、のりが不思議そうな顔をした。
「のり、寝坊をするジュンが悪いのよ。放っておきなさい」
真紅はそう言うと、一人朝食に手をつける。
「真紅の言う通りですぅ。ちび人間なんて待たなくても良いですぅ」
「うゆー、ヒナも食べるー」
翠星石や雛苺も真紅に続く。
「僕が起こしてくるよ。だからのりは早く登校して?」
「本当?助かるわ、蒼星石ちゃん!」
そう言うと、のりは慌ただしく玄関に向う。
そして蒼星石は笑みを浮かべながら、ジュンの部屋がある二階へと向かった。

部屋のベットで転がりながら、昨日の蒼星石を思い浮かべるジュン。
心が高揚するのを感じる。
「そう言えば、最近ご無沙汰だな……今ならチャンスかも」
ジュンはベットに腰掛け、ティッシュの箱を横に置くと自慰をはじめた。
「蒼星石……ハァハァ」
ジュンはすっかり蒼星石を意識し始めていた。
次第に高まる感情と快楽に、ジュンは爆発寸前になる。
「うっ……もう!」
ジュンがサッとティッシュを取ると同時に、バタンと部屋のドアが開けられた。
「ジュン君、もう朝だよ?そろそろ起きな…………え?」
「蒼星石!僕もうイク!…………って、え!?」
お互い目が合う二人。
「きゃあ!ごめんなさい!」
蒼星石は慌てて目を伏せるが、
「もう終りだ……もう駄目だ」
彼女の耳に聞こえて来たジュンの悲痛な嘆きに視線を戻した。
「幻滅しただろ?こんな朝から自慰してる奴なんて……しかもお前をオカズにして……」
ズーンと落ち込むジュンに、蒼星石は微笑みながら歩み寄った。
「大丈夫だよ、ジュン君。男の人がそう言う事をしないといけないのは知っていたし……」
そこまで言うと、蒼星石の顔は真っ赤に染まった。
「それに僕を…その…対象にしてくれた事……嬉しいし……」

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その台詞を聞いて、ジュンは目の前の少女が愛しくて堪らなくなり、おもわず抱き締めてしまった。
「ジュ、ジュン君!?」
突然の事に驚き、口をパクパクさせる蒼星石。
「ごめん、蒼星石。僕途中で目が覚めてたんだ。お前が必死に起こそうとしてくれたから…」
一瞬何の事かわからず考え込む蒼星石。
だがじきにジュンの言葉の意味に気付き、顔をこれ以上無い程に真っ赤にした。
「ち、違うんだ!あれは、その……何て言うか……ううぅ」
必死で言い訳を考えているのか、軽いパニックを起こしている彼女の手をジュンは握った。
「僕は嫌じゃないよ、蒼星石。むしろ嬉しいと言うか…」
「ジュン君……」
今度は蒼星石の方からジュンに抱きついた。
「嬉しい。ジュン君、いやジュンにそう言って貰えて凄く嬉しい」
ジュンは黙って彼女を抱きかえした。
「まだ僕は蒼星石の事を、はっきりと好きとは言えない。でも嫌いじゃないし、むしろ真面目で素直な所とか…良いなぁと思うし……」
賢明に言葉を探すジュン。
「こんな優柔不断な僕で良かったら、その……」
「ジュン…」
良い雰囲気で見つめ合う二人。

その時、突然部屋に声が響いた。
「そうはいかないのだわ!」
「ですぅ!」

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「何でこんな事になったんだ…」
ジュンは体を苺わだちで拘束され、身動きがとれない。
蒼星石との現場を見られた後、nのフィールドに連れてこられ今に至る。
「あいつら、冗談じゃ済まないぞ。何考えてるんだ」
ぼやくジュンの前に翠星石が現れた。
「あわれな、ちび人間ですぅ」
「この性悪人形、いい加減にしろよ!大体、蒼星石はどこに行ったんだ!?」
「お前が知る必要は無いですぅ。ちび人間の今日から真紅と私のペットですぅ」
翠星石はジュンのズボンをずり下ろす。
「なっ!?お前、何してるんだ!」
驚くジュンを気にせず、翠星石は彼の性器をくわえた。
「これだけやれば、大丈夫ですぅ。次はこっちで…」
翠星石がスカートをあげると、既に充分過ぎる程濡れた性器が現れる。
「なっ……やめろ!」
ジュンが嫌がるのを無視して、翠星石は性器同士を重ねると腰を沈めた。
「んくっ……はぁはぁ…まだまだこれからですぅ」
彼女はジュンを犯しながら、快楽と至福に満ちた笑いを浮かべた。

同じくnのフィールドに拘束されている蒼星石。
「どうしたの?元気が無いのだわ!」
真紅は蒼星石を蹴りつける。
「うぎぃ!」
何度も蹴られ軽い痙攣を起こす蒼星石。

体のあちこちに痣ができ、既に起き上がる気力も無いようだ。
「これだけ何時間も痛めつけられて、それでも逃げようとするなんて…馬鹿なドールなのだわ」
蒼星石は地面を這って逃げようとする。
しかし真紅は容赦なく頭を踏みつけた。
ゴリィ!
何かが砕けた音が響く。
「へぁ…うぎぃ!」
頭を抑えのたうち回る蒼星石を真紅が嘲笑う。
「ジュンを寝取ろうなんて…随分ふてぶてしい事を考えたわね?」
のたうち回る蒼星石の顔面を蹴りつける真紅。
そこに翠星石が来る。
「終ったですぅ。次は真紅の番ですぅ」
「あら、わかったわ。後は任せるのだわ」
去っていく真紅を見送ると、翠星石は不敵な笑みを浮かべる。
「蒼星石、私はあまくないですよ?うひひひ…」
蒼星石は絶望で頭が狂いそうになった。

ジュンは力尽きた様に地面に倒れている。
何度も翠星石に犯され、精根果てていた。
「あら、私の番なのだから無理にでも起きてもらうわよ?」
真紅の声に青ざめるジュン。
「もう止めてよ…」
真紅はジュンの上に馬乗りになった。
「美味しそうなのだわ」
ジュンの性器を太股の間で擦り始める真紅。
「まだまだ元気のようね?」
妖しく笑う彼女にジュンは戦慄した。

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「嫌だ…僕は、僕はっ!」
ジュンは残った力を振り絞り真紅を押し返した。
「きゃ!なっ?…ジュン!」
脇目も振らず走るジュン。
だが突然何かに足を絡まれ彼は転ぶ。
足に絡まったのは無数の薔薇の花びらだった。
「逃げるなんて、自分の立場がわかっているのかしら?」
「く、来るなぁ!僕が何をしたんだ!」
泣き叫ぶジュンに真紅は冷酷に言い放った。
「逃げようとした奴隷にはお仕置きが必要ね。そうね…手足をもぐと言うのはどうかしら?」
「ひっ!?お前…?」
しかし真紅の眼は本気だ。
「少し痛いと思うけど傷口は焼き切ってあげるから、死ぬことは無いのだわ」
真紅は掌に花びらを集めると、それを魔法の様に剣へと変化させる。
「これで逃げる事も無いし…ジュン、これで貴方は永遠に私たちの奴隷なのだわ」
ジュンは恐怖のあまり声をあげる事も出来ない。
そして剣は振り下ろされた。

「もう…やめ……て…っ!ぎぃやぁ!」
翠星石は手にしたハンマーを蒼星石の背中に振りおろした。
「今まで散々目にかけてやったのに!飼い犬に咬まれるとは、まさにこの事ですぅ!」
翠星石は杭を四本取り出す。
そして、それを蒼星石に見せるとニンマリと笑った。

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蒼星石は杭を見ても反応する気力すら無かった。
「面白みが無い奴ですぅ……まずは一本目ですぅ!」
翠星石は杭を蒼星石の右手に添えると、思いっきりハンマーで打ち付けた。
ゴシャッ!
異様な音が響く。
「ぐぎゃあ!うがぁっ!」
あまりの痛みに跳び起きそうになる蒼星石だが、右手が引っ張られてしまい更に痛みは増した。
「ほらほら!二本目いくですよ!」
次は左足首に杭を打ち付ける翠星石。
「やめっ…ぎゃあ!うっ、うぐ…」
痛みに苦しむ蒼星石を見て笑い転げる。
「三本目に四本目、一気にくれてやるですぅ!」
「もう…ぐっぎぃ!……がはっ…もう…やめ」
両手足を杭で留められた蒼星石は、虚ろな眼差しで翠星石を見上げた。
目の焦点は合っておらず、涙と鼻水と涎で汚れた顔。
「その汚い顔を向けるなですぅ。これが自分と同じ顔だと思うとヘドがでるですぅ」
蒼星石の顔面を蹴りつける翠星石。
手足を留められ逃げる事も出来ず、蒼星石は暴行を受け続けた。

ジュンは不思議なモノを見ていた。
自分の右足が今切断されているのに、まるで他人のモノを見ている様な感覚。
真紅が飲ました薬は、彼から感覚だけでなく思考能力まで奪った。

「ジュン…綺麗ね……」
真紅は両足を無くしたジュンを見てゾクゾクした。
「これでもうジュンは私から離れないのだわ……素敵ね」
彼女は左手に剣を刺しこんだ。
まるでケーキでも切るかのようにズブズブと肉を断つが、途中で骨に当たり作業は難航した。
ゴリィ、ギリィ…
左手を切り終えた真紅は、右手に取り掛かる。
「ふふふ…もうすぐ完成なのだわ」
傷口を彼女の人工精霊ホーリエが焼ききっている。
「何なんだろ、コレ?僕の体…?変だなぁ、僕の手が…腕?」
ブツブツと独り言を言うジュンをよそに、真紅は骨に取り掛かっていた。
骨が削られる度にジュンの脳に軽い振動が来る。
次第にそれは大きくなり、ボヤけていた感覚がはっきりし始める。
「腕?…えっ!?真紅、お前何してっ!手が、僕の手がぁ!痛いぃ!!」
「薬がきれたようね。ジュン、腕だけでは無くてよ?ほら足も…」
真紅は妖しい笑いを浮かべ、ジュンの足を手にとり彼に見せた。
「うわぁぁ!体が?……何で?こんな事ある訳ない…足も腕も?夢か?そうだ、夢だ!早く起きなきゃ」
ゴキッ、ブチブチブチ!
骨を無理矢理へし折り、肉を引き剥がす真紅。
「夢な訳ないでしょう?これが現実よ」

「うぎゃぁっ!」
あまりの痛みにジュンは気を失った。

リビングで溜め息をつくのり。
「ジュン君と蒼星石ちゃんがいなくなってから一週間……まだ見付からない」
「のり、元気を出して?ジュンならきっと大丈夫よ。私達が動いていれるんだもの」
真紅はのりに微笑みかける。
「そうね!私達が元気にしてないと、ジュン君達が帰って来たら笑顔で迎えてあげれないものね!」
のりは無理に元気を装うと元気よく登校した。
その姿をみてニヤリと笑う真紅と翠星石。
「全く単純なヤツですぅ。灯台下暗しとはまさにこの事ですぅ」
「ふふふ…そうね。さあ、二人の所に行くわよ」
二人は物置の鏡からフィールドの中に入った。
それを見つめながら、雛苺は一人悩んでいた。
「このままじゃ、いけないのぉ……でも雛どうしたら良いのかなぁ」
力なくうなだれる雛苺。
結局何か出来るわけでも無く、居間に座り込んでしまった。

そんな桜田家を外から見ている者がいた。
「何だか最近、様子が変なのからしら?」
双眼鏡で家内を覗く金糸雀。
「あのヒキコモリの男の子が見当たらないのかしら?」
「へぇ…真紅のミィーディアム行方不明何だぁ。ちょっと私にも貸しなさい?」

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突然現れた水銀燈は、金糸雀から双眼鏡を奪い取った。
「な!?水銀燈!それを返すのかしら!」
「嫌よぉ、今覗いてるし……へぇ、雛苺しかいないね。nのフィールド…?」
横で双眼鏡に手を伸ばそうとする金糸雀を押し退けながら、水銀燈は桜田家内をくまなく覗く。
「はい、ありがと。で、金糸雀?いつからああなの?」
金糸雀は差し出された双眼鏡をふんだくると、水銀燈を睨んだ。
「カナが知る限りでは、もう六日近くはこんな状態なのかしら」
「ふぅーん。何だか気になるわねぇ……」
水銀燈が悩んでいると、庭に雛苺が現れた。
どうやら花に水をやりに来たらしい。
「ナァイスタイミング!」
水銀燈はすぐさま彼女の所に行った。
「ちょっと待つのかしらぁ〜!」
それに続く金糸雀。
「ふぇ?水銀燈に……金糸雀ぁ?」
突然の来訪者に目を丸くする雛苺だが、直に普通の調子に戻った。
「二人ともどうしたのぉ?もしかして、遊びにきたのぉ?」
「いいえ違うわぁ。何だか最近、この家から活気が見えないから心配して来てみたのよぉ」
嘘八百をつく水銀燈に金糸雀は呆れた。
しかし雛苺は真剣にそれを聞いている。
「それで私達に何か出来ればと思って……ねえ、金糸雀?」

「え!?あっうん、そうなのかしら!カナ達に任せるのかしら!」
突然話を振られ、しどろもどろに答える金糸雀。
「…………」
雛苺は何かを堪える様な顔を浮かべると、金糸雀に抱きついて泣き出した。
「ううぅ、ジュンがぁ!ジュンと蒼星石がぁ!大変なのぉ!ぶえぇぇーん!」
雛苺の涙に二人は顔を見合わせた。

体を巡る快楽の渦。
「うぅ…はぁはぁ、ああっ!」
手足を失い動けない者を、一方的に犯す征服感に真紅は震えた。
「ふふふ…どうしたの、ジュン?中で震えてるわよ?イキそうなの?」
ジュンは口に拘束具をはめられ、話すことが出来ない。
彼は命一杯の憎しみを込めて真紅を睨みつけた。
「反抗的な目付きね。まだ自分の立場が理解出来ないのかしら?」
真紅はジュンの性器を強く締め付けた。
我慢できずに真紅の中で達するジュン。
それと同時に、彼は大きな喪失感を感じた。
彼が桜田ジュンでいる為の大切なモノが流れた様な気がした。
「あら、泣いているの?そんな惨めな顔をされたら私……また体がうずくのだわ」
真紅は涙を流すジュンの顔を、陶酔した顔で見下ろした。
「だめ、次は私の番ですぅ。真紅は蒼星石の担当ですよ」

翠星石の声に、渋々ジュンから離れる真紅。
「全く、真紅は呼びに来ないと何時までも来ない、仕方の無いヤツですぅ」
「あら、ごめんなさい。盛り上がってきたのに……まあ良いわ。蒼星石で遊んでくるのだわ」
真紅が立ち去ろうとしたその時、突然フィールドに声が響いた。
「ふふふ…真紅ぅ、元気にしてるぅ?早く家に戻らないと、貴方の大切な物がジャンクになるわよぉ」
「この声は水銀燈?まさか、くんくんグッツを人質に?」
言うが早いか、真紅はフィールドの出口へと走り出した。
「ちょっと、真紅!待つですぅ!」
翠星石は真紅の後を追う。
独り取り残されたジュンの泣き声だけが、静かに木霊した。

「あぁ〜ら、やっと来たのね?余りに遅いからいくつか怖しちゃった……」
真紅達がリビングに駆け込むと、破れたくんくん人形を手に水銀燈が待ち構えていた。
「なっ!?くんくん人形が……水銀燈、貴方ただで済むと思ってはいないわね?」
真紅は殺気に満ちた眼差しで水銀燈を睨む。
「真紅、私も手伝うですぅ!」
翠星石も構える。
水銀燈は翼を広げ、二人を射抜く様な眼で睨む。
「二人とも仲良くジャンクにしてあげるわぁ!」

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