彼女は図々しくも、出会った直後に僕を自分の家来にすると宣言し、勝手に住み着いてしまった。
最初こそ彼女の傍若無人な態度に腹を立てていたものだが、こちらが少しも屈しない姿勢を固持している内に、段々彼女も我侭を言わなくなっていった。
「あら、何かしらコレぇ」
「緩衝材だよ。ちょっと貸してみろよ」
そう言った僕は水銀燈の手から緩衝材を乱暴に引ったくり、例のぷちぷちを潰した。
彼女は僅かに頬を膨らませる仕草をしたが、僕の行動を見て興味津々といった様子で目をいっぱいに広げていた。
「ねぇ、人間、私にも貸してくれなぁい?」
「いいけど、あんまり潰しすぎるなよ。クーリングオフする奴なんだから」
彼女は始め、緩衝材をそっと撫でていたが、やがて真剣な面持ちで徐々に指に力を込めていった。
水銀燈の綺麗に切り揃えられた爪が、段々とあの空気の固まりに食い込んでいって……
―――プチッ。
「人間!!!!!」
「な、なんだよ」
「……なぁに、これぇ……癖になりそう」
突然の大声にビックリが、恍惚とした表情の水銀燈を見て脱力してしまう。
「ねぇ人間、また新しい荷物が届いてるわよ」
「触るなよ、壊したりしたらクーリングオフできないんだからな」
そう言うと彼女は眉を顰め、不機嫌そうな様子を見せた。
彼女、水銀燈が我が家に来てから既に一ヶ月が過ぎようとしていた。
とあるダイレクトメールから始まった出会いだが、まさか僕の趣味がこんな形で日常を変えてしまうことになるとは思ってもみなかった。
彼女は図々しくも、出会った直後に僕を自分の家来にすると宣言し、勝手に住み着いてしまった。
最初こそ彼女の傍若無人な態度に腹を立てていたものだが、こちらが少しも屈しない姿勢を固持している内に、段々彼女も我侭を言わなくなっていった。
「あら、何かしらコレぇ」
「緩衝材だよ。ちょっと貸してみろよ」
そう言った僕は水銀燈の手から緩衝材を乱暴に引ったくり、例のぷちぷちを潰した。
彼女は僅かに頬を膨らませる仕草をしたが、僕の行動を見て興味津々といった様子で目をいっぱいに広げていた。
「ねぇ、人間、私にも貸してくれなぁい?」
「いいけど、あんまり潰しすぎるなよ。クーリングオフする奴なんだから」
彼女は始め、緩衝材をそっと撫でていたが、やがて真剣な面持ちで徐々に指に力を込めていった。
水銀燈の綺麗に切り揃えられた爪が、段々とあの空気の固まりに食い込んでいって……
―――プチッ。
「人間!!!!!」
「な、なんだよ」
「……なぁに、これぇ……癖になりそう」
突然の大声にビックリが、恍惚とした表情の水銀燈を見て脱力してしまう。
「やだぁ……凄いわぁこの感触……」
「そ、そんなに?」
そう言いながらも水銀燈はどんどんつぶつぶを潰していく。
正直目がヤバイことになっている。今この場にお巡りさんがいたら間違いなく逮捕されてる。
止めた方が良いのだろうか。
「す、すごぉい……こんなの初めて」
本来なら小馬鹿にしてやる所だが……
一心不乱に緩衝材を一つ一つ丁寧に潰す水銀燈は、妙になめまかしかったため、僕は目を奪われてしまっていた。
「ああっ!!」
「な、なんだよ!!」
「……もう、一つしかないわぁ……」
「あれだけやってりゃ当然だろ」
「フ……フフ……まぁ、いいわ。最後の一つ、ゆっくりじっくり楽しんであげるんだからぁ……」
彼女の唇が三日月状に歪む。
彼女は火照った顔を少し覚ますように大きく深呼吸すると、やがて意を決したように目を大きく見開いた。
―――ぷすぅ〜……。
不発。
「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ビシッ。
「痛いじゃなぁい……」
とりあえず小突いといた。
「貴方には分からないわよ、私の気持ちなんて……うっ、うっ……!」
「うわぁ! なんで泣くんだよ!!」
「……例えるならば、最愛の恋人を目の前で失った気分? はたまた乳酸菌たっぷりのヨーグルトを食べる前に床にぶちまけてしまったような……」
前者は分かるが後者は訳分からんぞ。
「ったく、こんな様子でアリスゲームとかいう過酷な戦いに勝ち抜けるのかよ」
「ドールズが同じ時代に七体揃うことなんて滅多にないわ。この時代では恐らく、アリスゲームは始まらないわね。……あぁ、それにしても緩衝材……ひくっ、ひくっ……!」
「あああああもう鬱陶しいな! ちょっと待ってろ!」
そう言うと僕は帽子を深くかぶり、近所の100均で緩衝材を買い、すぐに戻ってきた。
家を出ることに抵抗がなかった訳ではない。
何せ二日ほど風呂に入っていないし、服は四日同じ物を着ているし、アニメ画では分からないかもしれないが不摂生な生活のせいでニキビなんてとんでもないことに(ry
だがそれでも外に出る気になったのは、水銀燈が見せた初めての涙が、何故か僕の心に深く突き刺さったからだ。
あーところで……100均に緩衝材なんて売ってたっけ?
「ほらよ」
「に、人間……」
「か、勘違いするなよ……ぎゃーぎゃー喚かれるのが嫌なだけだからな」
僕がそう言うと、彼女はその白い綺麗な指先で涙を拭い、僕を見据えてこう言った。
「ありがとう……」
それはとても綺麗な笑顔だった。
やれやれ、今日も我が家は平和だ。
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ごめん、落ちも糞もないけど、暇だったから書いてみた。
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(;´Д`)< すいませんすぐ帰りますんで。
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