書き込めそうなので上げます
エロ駄目な人はスルーしちゃってください

第一章

「早くおいで?」
「はい・・・・」

蒼星石はうつむいたままボクの体を跨ぐと
そそり立ったモノを自分の秘所にあてがった。

「んっ・・・・」

ゆっくり腰を落として自身の中に迎え入れる。
すでに自分で濡らしていたのかすんなりと入ってゆく。

意地悪心を出したボクは慎重に進める蒼星石を
下から突き上げてやった。

 グイッ

「んはぁっ!?」

甘い声と共に仰け反る蒼星石。
足はガクガクと震え、その身はいまにも崩れ落ちそうだ。

「トロトロやってないで早くしろよ?」
「は、い・・・・」

促され、再び腰を落としてゆく。

「ふっ・・・んくっ・・・んっ・・・」

切なげな吐息が漏らしながら、とうとう根元まで咥えこんだ。

「さ、動いて?」
「・・・・」

ボクの下腹に手を添えて体を支え、腰をぎこちなく上下に揺すりはじめる。

「うっ・・・うんっ・・・うくっ・・・」

声を出すのが恥ずかしいのか片手で必死に口を抑える。

その羞恥心を捨てきれないところがまた愛らしい
再び意地悪心を出したボクは唾液で湿らせた指を彼女のお尻の穴に這わせた。

「あぁっ!?」

思わぬ刺激に上がる驚きの声。

「どうした?」  ゆっくりと穴のふちをなぞる。
「やぁっ、そこは・・・・ダメだよぉ・・・・」
「ホラ? 腰がお留守になってるぞ?」

彼女の非難も構わず、再び下から突き上げる。 
今度は一度では終わらずリズミカルに動かし続ける。

「やんっ!? あぅっ! はんっ! あぁんっ!」

蒼星石はもはや喘ぎを堪えようともせず甘い声を奏ではじめる。
やがて蒼星石も自ら腰を振りはじめた。
ボクも両手で乳房をこねまわしながら腰の動きを早めていく。

「蒼星石っ、いいぞっ・・・」
「あぁんっ! ジュンっ! あんっ! 好きぃ! あぁっ!」

高ぶると同時に彼女をきつく抱きしめ、その唇を吸い上げる。
そして欲望のたぎりを深奥に解き放つ。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

声なき絶叫が口内で弾け、蒼星石の小さな体はボクの胸で大きく跳ねた。

「っ!? っ!! 〜〜〜っ!!」

注ぎ込まれる度にその体はビクッ、ビクッと跳ね上がり
爪先はボクの体を掻き毟る。

やがて射精を終えると張り詰めていた彼女の体は力なく崩れ落ちる。
ボクはその体をそっとベッドに横たえ、頬にキスする。

「愛してるよ、蒼星石。」
「はぁはぁはぁ・・・」

荒い息をつきながら、その目はボンヤリと霞んでいる。
しかし声は聞こえたのか、必死に声を絞り出した。

「はぁ、ジュン、はぁ、好きぃ、はぁ、はぁ、ジュン、ジュンぅ・・・・」

甘い声でボクを求め、震える手でボクを探し空を掻く。
そのしぐさがたまらなく愛おしく、胸に抱きしめ唇を吸い上げた。

 チュゥッ
「んむっ・・・・」

安心したのか、 ボクに体を預けてぐったりしている。
その顔は満ち足りて安からだ。
もう一度頬にキスすると、布団を引っ張り上げた。

ココに来たときとは大違いだな・・・・
ボンヤリと一週間前を思い返していた。

「 被 虐 の 罠 」

「こんにちは! 今日からお世話になるけどよろしく。」
「久しぶり。 元気だったか?」
「うん、ジュン君も元気そうだね。」
「まぁな。 翠星石は?」
「元気だよ。 元気すぎて困るくらい。」
「ははっ、そうだろうなぁ。」

蒼星石は勉強のために都会に出てくることになった。
そこで頼った先が旧知でもあり、
都会で一人暮らしをしているボクの元だった。

巴と付き合ってはいるものの、『お堅い』向こうの都合で
同棲はせず、同じ大学に通いながらも住処は離れている。
姉から連絡を受けたボクは二つ返事でOKした。

そして陰惨な宴はその夜の内にはじめられた・・・・

「お風呂上がったよ?」
タオルを体に巻きつけた蒼星石が部屋に戻ってくる。

「ああ・・・・」
返事をしながら手元の縄を掴みビデオカメラの位置を確かめる。

「パジャマは、と・・・・」 
出した荷物の中から寝巻きを探す蒼星石。
ボクは気付かれぬよう蒼星石の背後に忍び寄る。

「あった。」

 ガバッ
「っ!?」

蒼星石を押し倒し、素早く後ろ手に縛り上げる。

「なっ、なに?」

突然のことに事態が飲み込めないのか暴れもせずじっとしている。

「ジュン君? ねぇ? なにこれ?」

身をよじってこちらを伺うその顔にはいまだ疑いのカケラもない。
本当にお目出度いヤツだ

「ジュン君、早くほどいてよ。 イタズラは無しだよ?」 
「・・・・」

前に回りこむと蒼星石の顎に手を添えて持ち上げる。
その顔は『よくわからない』と言う風にキョトンとしている。

「オマエは本当に可愛いなぁ? 蒼星石。」
「・・・・ジュン君?」

薄く開いたその唇に吸い付く。
  
  チュウッ!
 「んっ!?」

驚いたのか反射的に顔をそむけ、床に転がる。

「なっ! なにするのっ!?」
怯えたような目で問いかける。

「わからないか?」
「な、なにが?」

近づくと蒼星石はキュッと身を縮こまらせる。
構わず巻きつけられたタオルを剥ぎ取った。

 バッ!
「あっ!?」

ボクは股間をさらけだすと、彼女を後ろから抱きかかえて立ち上がる。
子供にオシッコをさせるような格好になった。

何がはじまるのか理解できないのか
蒼星石の顔は恐怖のため、泣きだしそうに歪んでいる。

「ねぇ? どうしたのジュン君? なんだか怖いよ・・・・」」
「怖いことないさ? とっても気持ちいいコトだからな。」
「気持ちいい・・・・?」

ゆっくりとその小さな体を下ろし、秘所に自分のモノをあてがう。

「っ!?・・・・な、なにコレ?」

  ヌルッ
「あうっ!?」

あらかじめ潤滑油を塗っておいただけに先端はすんなりと潜り込む。
だがすぐに抵抗を感じ動きを止めた。 
  
「それじゃあ・・・・行くぞ?」
「ジュン、君・・・・?」

彼女の体を一気に落とす。

    ズルリッ

「・・・・ぁああああああああああ!?」

一瞬遅れて響く絶叫。
その叫びには驚き、恐怖、苦痛のすべてが詰まっていた。

「痛いっ!? 痛いよぉっ! ジュン君!? やめてぇっ!!」

蒼星石はその苦痛から逃れようと必死に身をよじる。 
しかしそれがかえって仇となった。
身をよじるたびに自然と自身の体重で喰いこんでゆく。
のたうつ度により深く貫かれ、その悪循環にパニックを起こした。

「あがっ!? やぁっ! ぃぎっ!? あぐっ! あはぁっ! いやあぁっ!!」

もはや言葉にもならず、ただ悲鳴を上げることしかできない。

やがてボクのモノを根元まで咥えこんで止まる。
穴は思ったよりはるかに深い。

「痛い・・・痛いよぉ・・・やめてよぉ・・・もうやだよぉ・・・」

蒼星石は泣きながら訴える。
だが本番はこれからだ
支え持った彼女の両足をしっかりと掴みなおし、持ち上げる。

「あぐぅっ・・・!?」

引き抜かれる苦痛に呻きながらもその顔には安堵が広がる。
そして深いため息が漏れた。

「ふぅっ・・・・」

その瞬間一気に落とす。

「きゃああああああああああっ!?」

今度は落とした位置で支え、下から乱暴に突き上げた。

「痛ぁっ!? 痛ぁぃ! 痛いぃ!! いやだぁっ!!」

必死に苦痛を訴える蒼星石。
それに応えるようにさらに激しく突き上げる。

「やぁっ!? やだぁっ! やめてぇっ!! やめてよぉっ!?」 

頭を左右に振りまわし、泣き叫んで哀願する。
その姿と零れ落ちる涙がボクの嗜虐欲をさらに刺激する。

「許してぇっ! お願いっ! もうやめてぇっ!?」
「蒼星石! いいぞっ!? もっとだっ!」
「やだぁっ!? やだよぉっ! もういやだぁっ!!」
「いいぞっ! 行くぞっ!? 蒼星石、蒼星石、蒼星石っ!」

いよいよ高ぶりを感じたボクは彼女の体をきつく抱きしめ、
彼女の顔に自分の顔を擦り付けながらその名を呼び続ける。

そしてついに彼女の中にほどばしらせた

「ぐっ・・・・」
「うぁあああああああああああああ!?」

膣内で起こった爆発に絶叫する蒼星石。
これ以上ないほどその身を仰け反らせ、痙攣する。

「ああぁぁぁ・・・・」

叫び終わるとカクンっと力なく首を垂れる。
荒い息を吐くその顔は彼女自身の涙と唾液にまみれていた。

「はぁはぁはぁはぁ・・・・」
「蒼星石、すごく良かったよ?」

ボクは彼女の顔を丹念に嘗め回す。
蒼星石は抵抗する気力もないのかされるがままだ。

ボクは彼女をベッドにそっと座らせるが彼女は力なく
崩れ落ち、膝立ちのまま布団に突っ伏してしまう。

「はんっ・・・・ふっ、うくっ・・・・んっ、んんっ・・・・」

呻きと同時にその小さなお尻がピクッピクッと震え、
そのたびに彼女の秘所から愛液と精液が溢れ出る。
やがてすべてを吐き出すと放心したようにぐったりしている。

その扇情的とも言えるさまに駆り立てられ、彼女の尻を鷲掴みにしていた。
蒼星石はまだ正気に戻らないのか、みじろぎもしない。
ボクはすでに怒張しきったものを尻穴にあてがうと一気に刺し貫いた。

  ミチミチミチィッ・・・・ズブブゥッ!
 
「ぃぎゃあああああああああああああああああああ!!??」

体を串刺しにされたかのような絶叫!
断末魔の叫びとはこういうものだろうか?
思わず『殺してしまったか?』と心配するほどだ。

さきほどまでぐったりしていたのが嘘のように
その身は反り上がり、目は限界まで見開かれている。

そのさまにゾクゾクするような嗜虐の快感と
興奮を覚え、すぐさま腰を動かし始めた。

「あぎゃぁっ!? あがぁっ!! ひぎぃっ!? いぎゃあっ!!」

激痛にのたうつ、そうとしか言えないような痛がりよう
両手は縛られ、尻肉をがっしりと掴まれながらも
上半身だけで半狂乱になって暴れまわる。
釣り上げたばかりのいきのいい魚のようだ。

「いだぁっ!! いだぁぁい!! やだぁっ!! やあぁぁっ!!」

多少はなじんだのか、悲鳴のなかに哀訴が混じりはじめる。
むしろそれこそ嗜虐をそそる絶好のスパイスなのだが。

ボクはさらにその甘美な旋律を引き出そうと腰の勢いを弱める。
その分リズムを付け、呼吸の余裕を与えてやる。

「痛いよぉっ! やめてぇっ!? 許してぇっ!! お願いだよぉっ!!」

股間への刺激と蒼星石の哀願、二つの奏でる極上の快楽に酔いながら囁きかける。

「まだまだこれからだよ?」
「いやぁっ!? やめてぇっ! お願いっ! もうダメぇっ!! 」
「朝まで可愛がってやるからな?」
「やだぁっ!? 壊れるっ! 死んじゃうっ! 死んじゃうよぉっ!?」
「なら壊れちゃいな?」
「いやだぁっ! 助けてぇ! 翠星石ぃっ! おじいちゃんっ! おばあちゃんっ!」
「うるさいっ!」

ひときわ深く突き入れる。

「げふぁっ!?」

思わず仰け反り、息を吐き出す。
その頭をベッドに押し付け、さらに腰を進める。

「あぎゃあっ!? 助けてっ! 誰かぁっ!? 助けてぇっ!!」

やがて再び股間にこみ上げる感覚を覚え、
蒼星石の背中に覆いかぶさり体を密着させる。
突くたびに跳ね上がる彼女の反応を
全身で味わいながら最後のスパートをかける。

「あぐっ!? 痛ぁいっ! やあっ!? うあぁっ!!」 
「いいぞ、行くぞ・・・・蒼星石、蒼星石・・・・」
「やだぁっ! 許してっ! 助けてぇっ!! いやあぁぁっ!?」
「うぐっ・・・・」

奥まで突き入れた瞬間、彼女の中にぶちまける。
膣内同様、まるで風船を膨らますときのような抵抗を先端に感じる。

「ひぁああああああああああああああ!?」

再度の絶叫、しかしその叫びは苦痛とともに快楽をも感じさせた。
全身がプルプルと痙攣し、それは6秒ほども続いた。
やがて緊張しきっていた体から力が抜けるとベッドの上に崩れ落ちる。

彼女のお尻からも秘所同様、精液が溢れ出る。
そのさまに再び欲望が込み上げるが流石に自分も疲労が濃い。
横に座るとその可愛らしいお尻を撫でまわしてやる。

「ひっ!?」

また何かされるのかと怯えて身じろぐ蒼星石。
ボクは彼女の頬に口付け、囁いた。

 チュッ

「もうおしまい。」  
「・・・・うぅっ、ヒック・・・・ふぐっ、うぇっ、ヒック・・・・」

安心したのか蒼星石は泣き始める。

「どうして、ヒック・・・・こんな酷いこと、うぅ・・・・」
「ん?」
「ボクが、嫌いなの?・・・・ボクは、来ちゃ、いけなかったの?」
「・・・・」
「だから、うっく・・・・こんな、グスッ、こと・・・・」
「愛してるからさ。」
「嘘だ・・・」
「本当。」
「だって、あんなに、酷いこと・・・・」
「愛してるからしたんじゃないか? ホントに初心だなぁ。」
「・・・・」
「これから毎日可愛がってやるからな?」
「やだよぉ・・・・もうやだぁ・・・・」
「ダメだ! オマエはもうボクのモノだ。」
「いやだ・・・・ボク、家に帰る・・・・」
「アレ、な〜んだ?」
「・・・・?」

ボクは蒼星石に棚上のビデオカメラを指し示した。
彼女は怪訝そうにボクとカメラを交互に伺っている。

「この一部始終収めてあるんだ。 アレ見たらおじいちゃんも
 おばあちゃんもショックでポックリ逝っちまうなぁ?」
「っ!?」
「それともネットに流して全国のみんなに見てもらおうか?」
「そんな・・・・」
「オマエの可愛い痴態にみんな大喜びだぞ?」
「や、やめてぇ!」
「じゃあ・・・・わかってるな?」
「ひどい、ひどいよ・・・・」
「・・・・返事は?」
「うぅ・・・・はい・・・・」
「いい子だ。」

言うなりその唇を吸い上げる。

 チュウ
「んんっ・・・・」

もう彼女は抵抗しない。
征服欲を満たされたボクは彼女を胸に顔を埋め、心地よい眠りについた。

「あんっ! ジュンっ! ああっ!? いいっ!!」
「・・・・」

巴がボクに跨って腰を振っている。
ボクはその痴態を冷ややかな目で見つめていた。

(やっぱりもうダメだな・・・・)

心底そう思う

彼女と付き合いはじめたのは復学してからすぐだ。
なんとなく蒼星石の面影が見える容姿に魅かれ、告白した。
それ以来、数年の付き合いである。

もともと気心の知れた仲だけあってたいして喧嘩もせず
文字通り『順調』に関係を深めていった。

最初こそ「結婚するまでは」とSEXを拒んでいた彼女も
キスやハグで感情が高ぶると自分の方から求めてきた。

彼女に不満があるワケではない。 むしろ満足していると言える。
しかし蒼星石を抱いて以来、巴をはじめ他の女性に
まったく魅力を感じなくなってしまっていた。

ボンヤリとその悦ぶ顔に蒼星石のそれを重ねる。
するとボクのモノはこれ以上ないほど膨らみ、気分は高揚してくる。

「あぅんっ!? いいっ! スゴイっ! ジュンっ! ジュンっ!」

早く済ませようと目をつむり、ひたすら蒼星石を思う。
彼女の顔、声、体、しぐさ、反応・・・・

(蒼、蒼、蒼っ・・・・!)

「いくっ! もういくっ! いっちゃうぅぅ!?」
「うっ・・・・」

なんとか彼女の絶頂に間に合ったボクは遠慮なく彼女の中に吐き出した。

「はぁはぁはぁはぁ・・・・」
「・・・・」

荒い息をつきながらボクの胸に突っ伏す。
その髪をいつもどおり優しく撫でてやった。

(もう、巴とは別れよう)

 そう思う

彼女が嫌なワケではない。 愛していないワケでもない。
むしろこうしている抱き合っている一時は自分にとってもっとも大切な時間だ。

だが、もはや彼女を一番に愛することはできそうもなかった。
わずかでも時間があれば蒼星石を思う自分がいる。

このままでは巴も自分も傷つくだけだ。

「・・・・ジュン?」
「なに?」
「最近、どうしたの?」
「なにが?」
「なんだか、変だから。」
「そっか?」
「うん。」
「そうかもね・・・・」
「何かあったの?」
「いろいろ・・・・」
「いろいろ?」
「いろいろ。 一つじゃないから。」
「ふぅん・・・・」

心配そうに見つめる彼女のおでこにキスをする。
いまや完全にクセとなった行為だ。
それをくすぐったそうにしながらボクにしがみつく。

「明日、行ってもいい?」
「ダメだって。」
「最近、ずっと行ってない。」
「散らかってるからさ。」
「片付けてあげる。」
「いいよ。 それに片付けられても困るし。」
「もぅ・・・・」

 チュゥゥ・・・・ 

そう言うと彼女はボクの首筋に吸い付く。
キスマークでも付ける気か?
最近はしなくなっていたのに・・・・

「・・・・浮気、してないよね?」
「してないよ。」

自分でも驚くほど平静に答える。
正直、もう少しうろたえるかと思っていた。
いやうろたえたかったのだろう。

下手に答えれば追求され、バレることになる。
そうすれば自分から別れ話を切り出す手間が省ける。

なによりうろたえると言うことは彼女への未練がある証拠だ。
一時は本気で愛した女性にここまで無感動になった自分が悲しかった。

これで最後だ

そう思うとやはり胸に込み上げてくるものがある。
ボクは巴をきつく抱きしめ、その髪に顔を埋めた。
ずっと嗅いできた巴の匂い・・・・

「・・・・ジュン?」

されるがままの彼女が再び心配そうに問いかける。
無論いらえはない。
やがて諦めたのか彼女もボクの体に腕をまわす。

そして寝付くまで二人でずっと抱き合っていた

「お帰りなさい、ジュン。」
「ただいま。」
 
 チュッ
「んっ・・・・」

帰宅するとすぐに蒼星石を抱きしめてキスをする。
かつては巴にしてきた行為を今は蒼星石にしている。
その度に巴の顔が頭をちらつくのが
うっとうしく感じられ、嫌な罪悪感を覚える。

「もう御飯できてるから。 すぐ食べる?」
「ああ。」

最初こそ苦痛を恐れ、怯えて泣いていた蒼星石も
性の快楽を覚えると嫌がりはしなくなった。

そしてそのたび愛を囁き続けるとすっかりほだされたらしく、
今ではまるで恋人か女房のように振舞っている。

蒼星石も『ジュン君』ではなく『ジュン』と呼ぶようになった。
ボクも彼女を『蒼』と呼ぶ。

嫌な気持ちを振り払い、蒼星石との一時に没頭する。
そして風呂から上がるといつもの時間が始まる。

「蒼、今日は騎上位をしてみようか?」
「えっ?」
「覚えてるだろ? 騎上位。」
「で、でも・・・・」
「イヤ?」
「イヤじゃないけど、ボク恥ずかしいよ・・・・」
「どうして?」
「だって、女の方からあんなに、あの、するなんて・・・・」
「ほら・・・・早くおいで?」
「はい・・・・」

蒼星石はうつむいたままボクの体を跨ぐと
そそり立ったモノを自分の秘所にあてがった。

「んっ・・・・」

ボクはその甘い一時に溺れ、外で聞き耳を立てている
者の存在にまったく気付いていなかった。

「・・・・嘘よ。」

彼女はその場にへたり込む。
その拍子に作ってきた弁当を取り落とし、中身を床にぶちまけてしまう。
しかしそれももはや彼女にはなんの意味も持たなかった。

「嘘・・・・嘘・・・・嘘・・・・」

うわ言のようにひたすら繰り返す。
その分だけこの現実を否定できるかのように。
その目はボンヤリと霞み、何も見てはいなかった。

やがて彼女は立ち上がると合鍵を使って扉を静かに開いた。
足音を立てぬようベッドまで辿りつくと、そっと愛する男の耳に囁く・・・・
  

   「――ジュン?」

第二章

「・・・・ぎゃああああああああああああああああ!?」

突然の悲鳴に覚醒する。
身じろぎすると思わぬ抵抗に眉を顰める。 

「うぐっ!?」
――縛られている?

椅子に座っている格好で両手足が拘束されている。
そばには誰かの気配、今の声は・・・・蒼?

「やっと起きた? 今の悲鳴がいい気付けになったかな?」
「巴・・・・?」
「ジュ、ジュンぅ・・・・」
「蒼、おい・・・」

 ガキッ!

「あがぁっ!?」

突如響く打撃音と悲鳴

「蒼っ!? どうしたっ!」
「・・・・悪い口ね? ジュンを呼び捨てにしていいのは私だけなの。 わかる?」
「ご、ごめんなさ・・・・」

 バキッ!

「ぎゃあっ!?」
「お口だけは綺麗よね? それでジュンもたぶらかしたの?」
「巴っ! オマエ何やってるんだっ!?」

眼鏡無しではほとんど見えないが輪郭からでもそこに
居るのが蒼星石と巴であることだけはわかった。
どうやら壁に貼り付いたような蒼星石が巴にぶたれたようだ。

「おいっ!? 巴っ!」
「なぁに? ジュン、今いいとこなんだから・・・・
 そっか! そういえば今眼鏡掛けてないモンね?」

ボクが必死に目を凝らしているのを見たのか、
巴はおもむろにボクに近づくと持っていた眼鏡を掛けさせる。 

そして鮮明になった目前の光景に愕然とする

「蒼〜〜〜っ!?」

 バシッ
「ぐっ!?」

叫んだ瞬間平手打ちを喰らい、視界が歪む。
眼鏡がズレていた。

「巴っ!? オマエ何してるんだっ!!」
「泥棒猫に、オ・シ・オ・キ、かな?」

蒼星石は両手足を杭で壁に打ち付けられていた。
泣きじゃくった後なのかその顔は涙と唾液でベッタリしている。

「蒼が悪いんじゃないっ!? 悪いのはボクだっ!」
「・・・・そう、悪いのはジュンなんだ?」
「そうだっ! 蒼は悪くないっ! やるならボクをやれ!」
「ふ〜ん? そんなにこの子が大事なの?」
「あ、預かり物だからな!」
「ねぇジュン? どうして私を裏切ったの?」
「裏切ったワケじゃない。」
「嘘! 浮気してたくせに。 でも遊びなら私も
 大目に見ないこともないのよ? ジュンも男だもんね。」

そう言ってボクの頬を撫でまわす。

「・・・・この子に、本気じゃないんでしょ?」
「違うよ。 ただの遊びだ。」

その言葉に巴はその顔に笑みを浮かべ、蒼星石の顔は引きつる。
(ゴメンよ、蒼。 今こう言わないと二人とも何されるか・・・・)

「本当に?」
「ホントだよ。 人間の彼女がいるのに人形相手に本気なんて・・・・」
「・・・・嘘ね♪」

 バンッ!
 「ぎゃああああああ!?」

打音と共に響く悲鳴、振り向きざまの巴の一閃が蒼星石の体を打っていた。
衝撃で打ち抜かれた両手足が突っ張り傷口を広げたらしい。
蒼星石は激痛のためかピクピクと痙攣している。

「・・・・いだぁぃ・・・・ぁぅ・・・・」
「やめろぉっ!? 蒼っ! 蒼ぉう!?」
「うるさいわね!?」

 ゴンッ!
「がっ!?」

殴りつけられ、首が飛ぶ
女性ながらその力は凄まじく、すでに口内は切れていた。

「蒼、蒼って! そんなにこの子がいいの!?」
「違うっ! 話を聞いてくれっ!」
「黙れっ!」

 ズンッ!

「うごっ!? がはっ、はぁっ・・・・」

鳩尾に撃ちおろされた拳に呼吸が止まる。

「許さない・・・・ジュンも、この子も・・・・」
「はがっ・・・・はぁっ・・・・」
「そんなにこの子がいいならこの子の声、たっぷり聞かせてあげるね?」
「ま・・・・」

言葉にならない。
しかしもはやボクにはかまわず、蒼星石に向き合うと大きく振りかぶる。

「や、やだ、やめてよぉ・・・・」
「うるさいっ!? このっ! このっ! このぉっ!?」

 バンッ! バンッ! バンッ! 

「あぎゃぁっ!? ぃぎぃっ!? いぎゃあっ!!」

鞭の痛みは想像を絶する。 まして巴の力で振るう鞭を喰らったら
どうなるか、ボクならば20発と保たずに悶死しているはずだ。

蒼星石も打たれるたび激痛に跳ね上がり、
その度に両手足の傷は広がり泣き叫んでいる。
やがて壁に繋ぎとめられた一方の足首が壊れ落ち、一際大きな悲鳴が響く。

「ああああああああああああっ!?」

「ふぅ・・・・」

とりあえず気が済んだのか、息をつくとこちらを伺う。

「どう? いい声だったでしょ?」
「やめ・・・・」

 ズンッ! 
「〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

再度鳩尾に打ち込まれ悶絶する。 あまりの苦痛に一瞬気が遠くなる。
蒼星石を強く思っていなければそのまま気絶していた。

「・・・・いい声だったでしょ?」

巴は再度問うとボクの頭を掴み上げ頷くように上下させる。

「よかったわね〜! 蒼星石? ジュンが褒めてくれたわよぉ?」

「蒼星石? お返事は?」
「・・・・ぃだぃ・・・・だ、すけ・・・・」

 グッ、ビキィッ!

「ぎゃあああああああああああっ!?」

いまだ壁に繋がれている片方の手を力任せに引き千切る。
手首から先が乾いた音をたてて転がった。

「あが・・・・あ、いたいぃ・・・・い・・・・」 
「悪い子ねぇ? ありがとうも言えないの?」

そう言うと力なく垂れている蒼星石の顔を壁に叩きつける。

 ダンッ! 
「ひぎっ!?」
「お返事は?」
「・・・・あ、りが、ど・・・・」

激痛に身をよじりながら言葉を吐き出す。
言い終えるや蒼星石の腹に拳が打ち込まれた。

 ドンッ!
「ぐへぁっ!?」
「ありがとうございます、でしょ? ったく最近の若い子は・・・・」
「ひゅぅ・・・・ひゅぅ・・・・」

もはや声もなくその口からは空気が漏れているような音がするだけだ。

「言えないの?」

そう言うと手を残された腕に掛ける。
蒼星石は恐怖に顔を引きつらせ必死に言葉を絞り出した。

「ぁ、あぃ、がお、う・・・・ごぁ、ぃまぅ・・・・」
「いい子ねぇ! いい子には御褒美をあげましょうねぇ〜♪」

そう言うと彼女は床に転がっていた、棒を拾い上げる。
そしてそれを蒼星石の秘所へとあてがうと徐々に潜り込ませる。
蒼星石は顔を顰めてこらえる。

「あぅ、やぁ、うぅ・・・・」
「いい具合ねぇ? ジュンはこれが良かったんだ?」
「ま、て・・・・とも、へ・・・・」
「確かにいい締り具合よね? だってこんなに小さいんだもの。
 一体何回ジュンに注ぎ込まれたのかしら?」
「うぅ・・・うぐっ・・・・」
「・・・・お返事は?」

 グリイッ
 「あがぁあっ!?」

棒を中で掻きまわされ、苦痛に仰け反る蒼星石。

「い、いっ、ぱい、ですぅ・・・・」
「・・・・そう、数え切れないくらいしたんだ?」
「は、はぃ・・・・」

これには内心焦る。 巴の激昂を買うに十分な言葉だ。
その結末を思い、胸が張り裂けそうになる。 

「ふ〜ん・・・・」

やがて巴は差し込んだ棒をリズムよく揺さぶる。
同時に残った手で自分の秘所を弄っている。

「んんっ、ん、あん・・・・」
「あぅ、んくっ、ふぅっ・・・・」

快楽には貪欲なのか、蒼星石はこの惨状ながらも秘所から
愛液を垂らしその表情には苦悶の他に悦楽の影が見える。

「んっ、いやらしい子ねぇ? こんなに、壊されて、んっ、まだ感じちゃってるの?」
「あぅん、うぅ、あくっ・・・・」
「んふっ! じゃあ一緒に行きましょ?」

その手はさらに掻きまわされ秘部への刺激を強めていく。
そして蒼星石や巴の喘ぎはだんだん大きくなってきていた。

「んっ!、早く、あんっ!、いっちゃいなさい?」
「はんっ! はぅっ! あぁん! あんっ! あぁっ!」

二人とも腰をくねらせ快楽を貪っている。
蒼星石ももはや痛みを忘れたかのようだ。
そして――

「うぁあああっ!?」
「はぁああんっ!?」

同時に果てる。 弛緩し、腰砕けになる二人。

「・・・・逝っちゃいなさい? 天国にっ!」

  ズブゥッ!!

「ぁぎゃあああああああああああああああああああああ!!??」

巴は差し込んだ棒を力一杯突き上げていた。
蒼星石は深奥を突き破られ、文字通り串刺しにされて絶叫する。

限界まで仰け反りその目はこれ以上なく見開かれる。
いまだ打ち付けられていた手足も引き千切られ、
縛から解き放たれるも両手足を失い、床に落ちた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」

肺の空気をすべて絞り出しながら、なお何かを
吐き出そうとその口は大きく開かれ、震えている。
見開かれた目には驚愕と苦痛、そして絶望しかなかった。

やがてその目から輝きが失われるとその場に崩れ落ちる。

「うわああああああああああああああああああ!?」

ボクは絶叫した
視界が白く霞んでゆく
やがて自分の声すら聞こえなくなり―――

―――一年後

「ジュン? 起きて! 朝だよ?」
 
 ガバッ
「やっ!?」

気が付くとベッドに引き倒されていた。
そしてジュンが覆いかぶさってくる。

「コラっ! ダメだよ? 早くしないと遅れるから・・・・」

 チュッ
「んむっ・・・・」

唇を塞がれ舌が入り込む、そして口内を味わうように這いまわる。

「んむぅ〜!?」

すぐに体が熱くなり頭がボーッとしてくる。

「今日は休んでさ、一日中ゴロゴロしてよ? ね?」
「単位落としちゃうよぉ?」
「大丈夫だって、ちゃんと計算してるから。」
「もぅ・・・・」

結局流されてしまう。

「蒼、いい?」
「・・・・うん。」
「蒼、綺麗だよ・・・・」
「本当?」
「ああ、愛してる。」
「ボクも・・・・」

こうしてまた愛し合う。 
こんな日々をもう一年も続けている。

いつまでもこんな穏やかな日々が続けばいいのに
そう思いながらジュンの安らかな寝顔を撫でる。
揃って就職も決まっており、後は卒業するだけだ。

そろそろ「アレ」を始末しておくべきだろう。
ジュンを寝かさぬようベッドを抜け出ると、手早く着替え外に出る。
目的地は近所の神社を囲む林の一角。

「元気〜?」
「・・・・」
「せっかく来てあげたのに無愛想ね?
 でもいいわ。 アンタとも今日でお別れ。」
「・・・・」
「私達、もうここを離れるからアンタにかまってあげられないの。
 だからね? 自由にしてあげるわ。」
「・・・・」
「嬉しい? じゃあ最後のプレゼント♪」

そう言ってペットボトルに入れられていたガソリンを振りかける。
すべて出し切ると、マッチを取り出し火を付けた。

「さよなら。 ジュンのことは心配しないで?
 私が『蒼星石』として一生面倒見てあげるから。 じゃあねぇ〜♪」

そしてその火をそっと落とし―――

 ガッ!
「・・・・っ!?」

 ドサッ
「あっ・・・・?」

突然の衝撃と共に視界に火花が飛び散る。
気が付くと私は地面に倒れていた。
なにやら側頭部がヒンヤリする。

――なにコレ?

早く火を付けないと・・・・

「蒼っ!? 蒼っ!!」
ジュンが壊れた人形を抱えて叫んでいる。

ジュン? なんでここにいるの?

『蒼』は私よ? それはただのガラクタ

もう動かないじゃない

そんなのより私を見て? ジュン・・・・

再び意識を取り戻したジュンは「壊れて」いた。
私を蒼星石と思い込み、『蒼』と呼びかける。
どう説明しても真実を聞き入れはしなかった。

やがて彼との関係を保つため、私は『蒼星石』になる。
自分を『ボク』と呼び、蒼星石として振舞った。
林に隠した『本物』からこれまでの二人の生活も聞き出した。

すべてうまく行っていた。
蒼星石として愛されることに憤りはあったが、
暇を見つけては『本物』をいたぶって憂さを晴らした。

就職も決まり、新しい住居もいくつか目星をつけていた。
結婚も考え、最近はその話でよく盛り上がった。

――日取りは?

――どこでする?

――新婚旅行は?

――子供、何人欲しい?

「・・・・ジュン」

一年ぶりに見る蒼星石の体は見るも無惨なモノだった。

両手足は付け根まで壊され除かれていた。
美しかった二色の瞳は抉り出され暗い眼窩が覗くばかり。
口にはポールギャグが噛まされ、その奥に舌はなかった。
そして体中に無数の釘が打ち込まれている。

「蒼っ!?」
「・・・・ぁ・・・・ぅ・・・・」

ポールギャグを外しても満足に声を出せない。
果たして彼女がボクに気付いているかも怪しかった。

「蒼、もう大丈夫だからな? 必ずボクが直してやる。 必ず・・・・」

ちらと双子の姉の翠星石の顔が浮かぶ。 
彼女の力はきっと助けになるだろう。

(蒼のこの姿を見せたら・・・・最低でも半殺しだな。)

それも仕方のないことだ。
現実から目を背け、ここまで蒼を苦しめたのはボクだ。
半殺しくらいではとても足りないだろう。

早く蒼を連れ帰ろう、そう思ったボクは林を出ようと振り向いた。

―――巴

彼女は倒れたままの姿勢でボンヤリこちらを見つめている。

心底彼女が憎い
だが彼女をここまで追い詰めたのもボクだ

ボクは・・・・

バッドED

いずれゆっくり話し合おう
ボクに彼女を責める資格はない
なにより一刻も早く蒼星石を手当てしてやりたかった

「巴? 後できちんと話そう。 救急車を呼んでおいたからね?」

上着を倒れている彼女にかけると蒼星石をそっと抱き上げ外を目指す。
彼女を殴った「綾辻」を置いていくことが気懸かりだったが放っておいた。
どのみち犯人はすぐに割り出されるだろう。

「蒼? もう少し我慢してくれよ?」
「・・・・ジュン?」
「っ!?」

真後ろで囁きかけられる声に反射的に振り向く。

 ガバッ

かかえた蒼星石ごと彼女に抱きしめられていた。

「巴? 傷は・・・・」
「平気。 どうせもう関係ないし。」
「ダメだろ!? じっとしてないと・・・・」
「ジュン?」
「な、なに?」
「大好きよ。」
「・・・・ボクだって。」
「嬉しい・・・・」

 ズブッ
「がっ!?」
「くふっ・・・・」

かかえた蒼星石もろとも貫かれる。
見ると刃は巴の腹をも貫通していた。

「巴・・・・」
「もう他に思いつかなくて・・・・ゴメンね?」
「バカだな・・・・」

死を悟ったボクは彼女をそっと抱きしめ、唇を重ねる。
そして三人はゆっくりと地面に倒れ落ちた―――

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とりあえずバッドED完結です
後日グッドEDも上げたいと思います
ノーマルED

彼女にトドメを刺す

この一年、蒼と思い続けて
そしてそれまでずっと、心底愛した人

「さよなら・・・・」
「ジュン・・・・」

うわ言のようにボクの名を呟く。
いまだその目は現実ではなく、どこか遠くを見つめている。

「さよなら、巴・・・・」

蒼星石をそっと横たえると彼女の首に手をかける。
ゆっくりと、しかし渾身の力を込めて締めていく。

「えぐっ・・・・」

彼女の目が焦点を合わせる、ボクの顔に
その目は悲しみに歪み、そして涙がこぼれ落ちた
気が付くとボクの目からも涙が溢れ、頬を伝い落ちていた

「巴っ・・・・巴ぇっ・・・・」
「・・・・」

嗚咽で全身が震える、ボクは泣いていた
巴は手を伸ばしボクの頬を撫でる、涙を拭うように
悲しそうな、寂しそうな笑顔

やがてその手は力なく落ち
彼女の目から光が失われた―――

「ジュン? そろそろ一息入れるです。」
「・・・・ああ? ああ、ありがとう。」

翠星石がコーヒーを持ってきていた。
声をかけられるまで気付かないとはよほど集中していたのだろう。

「根を詰めすぎると体に毒です。 焦らなくても時間はあるですよ?」
「うん。」

そう言いながらもコーヒーに一口つけると、すぐに作業を再開する。

「ジュン!」
「ゴメン、大丈夫だから。」
「もぅ・・・・」

翠星石が頬を膨らませる。
しかしすぐに隣に座ると、作業の出来ばえを確認していく。

「もうすぐですねぇ・・・・」
「ああ。 もうすぐだよ。」

目の前には蒼星石の新しい体が出来始めていた。
蒼星石の体は損傷が激しく、もはや修理どころではなかった。
そこで一から作り直し、彼女の心を『移す』ことにになったのだった。

幸いにして彼女の体は隅々まで覚えている。
そして心の移植に関しても必要な資料は思った以上に早く揃っていた。
ローゼンの資料が、そのままそのための技術と知識を併せ持っていた。

「蒼、もうすぐだからね?」
「・・・・」

彼女はひっそりと眠りについている
しかし、じきに目覚め、また笑顔を見せてくれるだろう

ボクはかつての彼女に思いを馳せた

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ノーマルEDです
後で残りを上げます
グッドED

やはりこのまま彼女を置いてはいけない。
彼女の体以上に、心に大きな傷をつけてしまうことになる。
それは取り返しのつかない禍根を残すような気がした。

倒れたままの彼女を抱き起こして背中に担ぎ上げ、
なんとか残った片手で蒼星石を抱き上げる。

「ふっ、ふっ、ふっ・・・・」
巴は軽かったが体力に自信があるほうではない。
無理な体勢にすぐに息が上がる。

「・・・・ジュン?」
「なに?」
「ゴメンね・・・・」
「それは蒼に、だろ?」
「・・・・」
「やりなおせるさ・・・・やりなおしてみせる、必ず!」
「ジュン・・・・」
「信じてもらえないかもしれないけど・・・・」
「・・・・?」
「ボクは君を、巴を愛してる! それだけは、信じて欲しい。」
「・・・・うん。」

タクシーを拾うと彼女を病院に送り届けた。
付き添っていたい気もしたが、今はそれ以上に蒼星石が心配だった。
翠星石や真紅、雛苺、水銀燈と言った他のドールに連絡を取り、
すぐに彼女らの元へ向かう。

「蒼・・・・あと少し、あと少しの辛抱だからね?」
「・・・・」
「大丈夫、必ず元に戻すから・・・・」
「・・・・」

帰路への機内の中、彼女をそっと抱きしめ
その耳にいつまでも囁き続けた。

「ジュン? 支度できた?」
「ああ! 今行く。」

ボクは上着を羽織るとすぐさま階下に向かった。

「お待たせ。」
「早くしないと遅れるよ?」
「ゴメンゴメン。」

 チュッ
「うんっ・・・・」

誤魔化すように彼女に口付ける、いつものクセだ。

「もぅ・・・・」
「ホラ、早く行こう?」
「うん!」

そして二人、手を繋いで歩き出す。

「こんにちは!」
「元気?」
「あっ・・・・ジュン、蒼、いらっしゃい。」

ベッドに座っていた巴が顔をほころばせる。
まだ体の動きがぎこちないようだが、最初の頃よりずっといい。

「リハビリは?」
「もう終わったよ。」
「そっか。 調子どう?」
「まだまだだけど、大丈夫。」
「うん・・・・」 

やはり会話もどこかぎこちない。 これはボク自身もそうだ。 
あれだけのことがあった後では仕方もないが。

「ねぇねぇ? 今日はジュンがね・・・・」

すると蒼星石が気後れもせず巴に話しかける。
今までの地獄がまるで悪い夢でしかなかったかのように

蒼星石はいまだわだかまりを捨てきれない
ボク達二人の架け橋になってくれていた。
その屈託のない笑顔にどこか固い巴の顔も和らいでいる。

あのあと、蒼星石は皆の協力もあってか驚くほど早く修復を終えた。
しかし真紅が言うには、ボクの存在が一番大きかったという。

「もしかしたら貴女は・・・・お父様の血を引いているのかもしれないわね?」

勿論そんなワケはない。 純日本人のボクが彼の血を引いているはずはない。
しかし一度は真紅の断たれた腕を繋げたのも事実。 ボクは一体・・・・?

一方巴は、ボクが殴りつけたせいで体の機能に障害をきたしていた。
入院先の医師の言うには、リハビリで十分に正常な機能を取り戻せるという。
落ち着いた彼女と三人で話し合った結果、巴が退院したら三人で暮らすことに決めた。

「三人で仲良く暮らせればいいんじゃないかな?」

蒼星石が押し黙ったままのボク達二人にそう提案したからである。
巴はボクと離れることをひどく恐れており、その話にすがりついた。
正直、かなり抵抗もあったが他ならぬ蒼星石自身の希望である。

そして今日も蒼星石とともにいつものようにお見舞いに来ている。

「外に散歩に行こうよ? ね?」
「うん・・・・」
「それじゃあ、ジュン?」
「ああ。」

ボクは彼女を抱え上げると車イスに乗せる。
そして連れ立って外に向かった。

(やりなおせるさ。 そして今度こそ必ず二人を幸せに・・・)

密かな決意を胸に一歩を踏み出す。
三人の夏はまだ始まったばかりだった。

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これでグッド完結 以下は番外 >>753からの続きになります

「・・・・ふぅ。 ついにできたです!」
「はぁ・・・・」
「蒼星石? 嬉しくないですか?」
「だってボク、ボロボロにされてるもの・・・・」
「なぁに、話の中だけですよ!」
「なにもボクでなくても・・・・」
「まぁまぁ、細かいことは気にするなです。
 チビ苺じゃアダルトなムードがブチ壊しですし、
 真紅や水銀燈だと後で何をされるかわからないですからね。」
「じゃあ翠星石は?」
「あんなチビ人間の相手なんて死んでもゴメンです。 
 でも蒼星石はチビ人間のことが好きですよね?」
「えっ? うん、まぁ、その・・・・」
「照れなくてもいいです! せめてもの姉心です。
 ラストではちゃんと元に戻るですよ!」
「うん・・・・」
「うっしっし♪ ようやく我が復讐が成就するときです!」

翠星石は三日前、雛苺の苺をくすねて階段を挟んだ大騒ぎをしていた。
その後、雛苺の元飼主、柏葉巴にお説教とお仕置きを喰らったのだった。

雛苺へのイジメは翠星石のライフワーク。
それにケチを付けられ、挙句にお尻をひっぱたかれては黙っていられない。

しかし正面きってリベンジするにはこれ以上なく恐ろしい相手。
そこで自筆のSSをネットに流し、評判を落としてやろうと考えたのだった。

「それじゃあ早速、投稿するです。」
「・・・・それは困るなぁ。」
「大丈夫です! 地に堕ちるはあの男女だけですよ♪」
「へぇ〜、それって誰のこと?」
「何言ってるですか? あの柏葉・・・・?」

奇妙な違和感にゆっくりと後ろを振り向く翠星石。
するとそこには―――

「わ・た・し?」
「・・・・」

―――鬼

一言で言うならそうとしか言えないモノがそこにいた。
少なくとももはや人間ですらない。
ふんじばられた蒼星石がこっちを見て泣いている。

「・・・・オ〜ホッホッホ♪ こんなもんちょっとした軽いジョークです!」
「ウフッ♪ なかなか面白い遺言ね? 笑いのセンスあるわ貴女。 
 続きは閻魔様にでも聞かせてあげてね?」 

 パチッ

巴は木刀「綾辻」の柄にある止め具を親指で外す。
仕込みの刃を使うのだろう。

――この女、マジ殺る気だ

「・・・・あっ、ジュン! どうしたんです?」
「っ!? ジュ、ジュン君!? これはあの・・・・」

 バッ!

翠星石は窓から飛び出し、一目散に駆けていく。

「まぁてぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

人形を抱えた鬼女がその後を追って行く。
果たして翠星石は三枚のお札を持っていたろうか?

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「被虐の罠」はこれで一応完結です
結論から言えば「蒼虐待」作品は結局失敗でした・・・・
しかし嫉妬・狂喜・嗜虐という好きなネタが書けたので個人的には満足
反省を活かし、コンパクトにまとめられたと思います
御感想、御指摘よろしく

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