呪いのブードゥー人形
僕はこの桜田家の一室に安置されている、呪いのブードゥー人形だ。
持ち主は引きこもりの中学生で、毎日パソコンに向かっては通信販売を楽しんでいる。
僕もその通信販売で売られていたクチだ。
デザインは誰が見ても閉口するであろう悲惨なものだ。
垂れた耳、額には"呪"の文字、更に胸には打ち込まれた杭…製作者の意図が理解できない。
しかも名前が"呪いのブードゥー人形"である。センスも何もあったもんじゃない。
こんな人形を製作して販売した連中はどうかしてる。
そして購入した今の持ち主の感性もどうかしてる。
疑問に思いつつも、静かに持ち主の生活を見守り続けていたある日、転機が訪れた。
突然この家にやってきて動き出した赤い人形は、僕を抱きかかえると…。
赤い人形「お前、人間にしてはなかなか良いドールを持っているわね!」
…マジか。
この後、僕は人形達の闘いに巻き込まれることになるのだが、それはまた別の話。
おわり