「ジュン、だっこー─!」

そう言うと、雛苺はソファーでテレビを見ていたジュンにいきなり飛びついた。
「おい!見えないじゃないか!」
「だっこー、だっこしてなのー」
ジュンの頭に張り付いて離れない雛苺に観念した、というかあきれ果てたジュンは、
しぶしぶ雛苺を抱きかかえながらテレビを見る事にした。
「ったく、お前は本当にお子ちゃまだな!」
「ジュンがだっこしてくれるなら、お子ちゃまでいいのー」
雛苺の笑顔は、天真爛漫そのものだった。

しかし、この微笑ましい日常の風景を、こころよく思わないものもいた。

「ジュン」
透き通った、少し大人びた声が少年を呼んだ。
「なんだよ」
ジュンは、テレビの方を向いたまま返事をした。

「紅茶を淹れなさい」
「……真紅、見て分からないのか?僕はテレビを見てるんだ」
「雛苺と遊んでるようにしか見えないわ」
真紅の返事は、いささか冷ややかだった。
「こ、これは別に遊んでるわけじゃ……」
ジュンは、自分のひざに女の子(と言っても人形だが)が乗ってる現状に、多少の気恥ずかしさを感じた。
そう言ってる間も雛苺はジュンのひざの上でジュンの指をひっぱったりしながら遊んでいるのだが。

しかし、テレビを見てる自分に対して紅茶を淹れろなど随分乱暴な注文だ。
ジュンは抗議しようと、振り返って、ソファーの後ろで本を読む真紅を見た。
真紅は、不機嫌さを一切隠そうとせずにジュンを見据えていた。
ときどき、ジュンに甘えたがる雛苺をチラチラ見ている。

ジュンはふと、真紅が『雛苺が自分のひざの上にいること』が気に食わないんじゃないかと思った。
よくよく考えれば、真紅も実は甘えたがりの節がある。
「さては、お前…」
「ちがうわ」
間髪あけずに真紅は否定した。
「雛苺に嫉妬などしてないのだわ」
「まだ何も言ってないだろ」

真紅の頬に、少しピンクがさした。
「してたのか?」
「してないわ」

「してたんだろ?」
「してないわ」
真紅の顔はどんどん赤くなっていった。
「正直に言ったら許してやるぞ?」
ジュンがニヤニヤ笑いながら真紅に質問する。こうなれば形勢逆転である。

「…!!してないったらしてないのだわ!!もうジュンなんて知らないのだわ!!」
怒鳴って二階に上がっていった真紅の顔は真っ赤で、目には涙がたまっていたように見えた。

「真紅どうしちゃったなのー??」
指いじりに集中していた雛苺が、ジュンに尋ねた。
「さぁ……ちょっといじめすぎたかな??」
「ジュン、真紅をいじめたらだめなのー!!」
雛苺が、頬を膨らませて言った。
「そうだな、ちょっと謝ってくるよ」
ジュンは、雛苺をひざから下ろして二階に上がっていった。

----

とりあえずこんなカンジ。
気分がのったら続き書きます。

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!