今から投稿します。エロ小説のほうには2、3度投稿したことがあります。

注1)ローゼンメイデンの薔薇乙女たちのイメージが崩れるのが嫌な方は
  あまり読むのをお勧めしません。

注2)作者は水銀燈信者です。こういった文章を書くからといって、
   水銀燈が嫌いなわけではありませんのでご了承下さい

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ガシャアアアンン!!!
桜田家に何かが割れる音がした。皿を落としたのだ。
皿を落としたのは水銀燈。一緒に皿洗いや食事の片付けをしていた真紅たちは
一斉に水銀燈を見た。「あ・・・あの・・・御免なさい。私の不注意で」
水銀燈は顔を暗くして謝った。だが、返ってきた言葉は優しいものではなかった。
「全く、これだから“ジャンク”は嫌なのだわ。やることなすこと全てがとろくて」
「しょうがないですよ真紅。何たって水銀燈は“ジャンク”なんですから」
「どうしてこんなとろいのが僕たちの姉妹なのか理解できない。お父様の唯一のミスだね」
「ごめんなさい・・・」普段の水銀燈なら強気で反論していたのだが、何せこの家で自分の置かれている
状況を思うと無理だった。そこにノリが帰ってきた。「まぁまぁ、何てことなの?誰がお皿を割ったの?
真紅ちゃん?翠星石ちゃん?蒼星石ちゃん?」ノリが訊くと、一斉に3人は水銀燈を指差した。
「あ・・あぅ。ご、ごめんなさいノリ様・・・」 ノリはしばらく間を置いて、笑顔で水銀燈に声をかけた。
「そう。水銀燈ちゃんだったの。仕方がないわよね。誰でも不注意はあるもの」
水銀燈はガクガク震えながらノリの顔を見た。
「気にしなくていいのよ。あなたは“ジャンク”だったんでしょ?欠陥品って
いうのはどこかネジが足りないのよ。でもね、やっちゃったことを謝るだけで
済まそうと思うのはむしがよすぎると思わない?どう?」
ノリは笑顔で水銀燈の肩に手をかけたが、水銀燈は下を向いて震えていた。
「そ・・・その通りですノリ様」
「本当に反省しているか分からないですぅ!やっぱり罰は必要ですぅ」
翠星石が横から口を挟み、真紅も口を挟んだ。
「そうね。“ジャンク”ごときが、私たちの家で飼わせてもらって、エサも
与えてやってるっていうのに、皿を一つも割るとは。それで罰がない
ほうがおかしいのだわ」
「真紅ちゃんもそう“ジャンク”なんて言ったら駄目でしょ?本当のこと
言われて嬉しくないでしょ?」
「そうなのだわ。悪かったわね水銀燈。本当のことを言って」  「い・・・いえ」
「でも皆も言うように罰は受けないとね。じゃあ罰は、みんなの残りの
皿洗いをしておくこと。部屋を掃除しておくこと。みんなのお洋服の
洗濯をしておくこと。それからお買い物に行って、みんなのお夕食を
作ること。これぐらいなら水銀燈ちゃんでもできるでしょ?」
水銀燈は小さな声で「はい・・・できますノリ様」と答えた。
「聞こえないのだわ!『ちゃんとしておきます、真紅様』と大きな声で
言いなさい!」真紅が水銀燈に怒鳴ったので、水銀燈はびくついて答えた。
「ちゃ、ちゃんとしておきます、真紅様」
翠星石と蒼星石も便乗した。「私にも聞こえるように言うですぅ!『ちゃんと
しておきます、翠星石様』と!」
「僕にも言ってくれ」
水銀燈は聞こえるように言った。「ちゃんとしておきます・・・翠星石様、蒼星石様・・・」
「分かればいいですぅ」そう言うと翠星石と蒼星石とノリは台所を出て行った。

真紅だけは残っていた。真紅はさらに水銀燈に近づいて、下を向いている水銀燈
の顔のあごをしゃくった。「いいこと?この家ではお前は犬、いや犬以下同然
なのだわ。犬以下は主に言われた通りにしておけばいいのよ?」
「は、はい真紅様・・・」
「それからあまりジュンに近付かないでくれる?ジュンは私の大切なミーディアム。
ジュンを色気でそそのかそうとしてもそうはいかなくてよ?胸がでかいからって
調子に乗ってるんじゃないわよ?」
「そ、そんなことしておりません・・・」
「あら?そう? とにかく分かったわね水銀燈?返事は?」真紅は顎を掴んでいる右手
に力を込めた。
「あ…あう…はい真紅様」 それを聞くと真紅は右手を離し、部屋を出て行った。
ポツンと一人残された水銀燈。水銀燈は静かに、床に散開した皿の破片を拾い出した。
顔は相変わらず下を向いていた。自分の置かれている状況と、何もできない自分の
ことを考えると、目に涙がたまってきた。
「う・・・う・・ひぐ。めぐ・・・早く帰ってきてぇ・・・。もう私、我慢できないわぁ・・・ひぐっ」
「ただいまー」外から声がした。ジュンの声だ。水銀燈の顔は明るくなり、ジュンを迎えに
行こうとした。だが、部屋の外から真紅の声が聞こえてきた。
「あらおかえりジュン。勉強ははかどってる?」
「あ、うんまあね。ところで水銀燈はどこにいる?」
「あの子に何か用事でも?」
「前にね、水銀燈がケーキが欲しいって言うから買ってきてやったんだ」
その言葉を聞いて水銀燈は嬉しくなった。確かに、以前めぐと一緒に食べたケーキ
が欲しいとジュンに言っていたのだ。
「水銀燈がそんなこと言ったの?」
「うん」
「おかしいわね。あの子はケーキは大の苦手なのよ?もう見ただけでアレルギー
が出るほどなのに。何かの間違いなんじゃないの?」
水銀燈は、急いで部屋の外に飛び出そうとしたが、出ていく気がなくなった。
「そうなんだ。残念だなあ。じゃあもったいないし、一緒に食うか?」
「そうね。みんなで食べましょう」
階段を上がっていく音がした。みんな上に行ってしまった。水銀燈は部屋の隅に行き、
落ちていたくんくんのぬいぐるみを抱いて体育すわりをした。
「もう・・・いや…。早く、早くめぐに会いたい…ふっ、ひぐっ」
自分が何故こんな状況に陥ってしまったのか、水銀燈は数ヶ月前のことを思い出した。

−数ヶ月前−
「ドイツに行っちゃうの?めぐ?」水銀燈は声をあげた。個室の病室とはいえ、誰かが
駆け寄ってきそうな大声だった。
「そうよ。今更って感じだけど、ドイツで診療したらもしかしたら私の病気が治るかも
しれないって訳で、数ヶ月ドイツに行くことになったの。私はそんなことしなくても水銀燈と
いたかったんだけど。やっぱり水銀燈は私がいないとさびしい?」
笑顔で語りかけためぐ。正直、突然な話だったので水銀燈はどうすればいいか心の中で
あたふたしていた。
「はん、馬鹿じゃない?何で私がめぐがいないからってさびしがらないといけないわけ?」
「ふふふ。水銀燈らしいわね。でも一緒に来てもいいのよ?」
「馬鹿ね。私にはアリスゲームがあるのよぉ。わざわざドイツまでついていくわけないでしょう?」
「そのことだけどね水銀燈」 めぐはかしこまって言った。水銀燈はキョトンとした。
「私がいない間だけ、あなたのライバルの子たちとは仲良くしててくれない?」 唐突だった。本当に
めぐはイカれたのかと水銀燈は思ってしまった。
「はぁ?どうして私が真紅たちと仲良くしてないといけないわけぇ?ありえなぁい」
「だって私がいない間に水銀燈がアリスゲームして、その間に私が死んじゃったら意味ない
でしょう?私は水銀燈に死に顔を見てほしいのよ?」
まったくこの子はどうして、いっつも唐突に訳の分からないことを言うのか。だがそれも
既に慣れていた。
「やっぱりあなたイカれてるわぁ。分かったわ。あなたがいない間だけよ」 水銀燈はわざと
ため息をついてみせた。めぐはそれを見て微笑み、さらに信じられないことを言った。
「それと、せっかくだから私がいない間、そのライバルの子たちの家にいといてくれない?」
「はぁぁ?めぐ?本当に大丈夫?どうして私が真紅たちと居候しなきゃいけないのよ?」
「だって、一度ぐらいは仲良くしておいてもいいと思わない? 私との約束よ」 めぐは小指を差し出した。
「分かったわぁ。その代わり、早く帰ってきなさいよぉ」
「うん。約束」 水銀燈はめぐと小指を絡め、約束をした。

最初、水銀燈がジュンの家に来たとき、みんな驚いていた。当然だった。あの水銀燈がことも
あろうに居候させてくれと言うのだ。水銀燈は「嫌ならいい」とは言ったのだが、真紅たちは快く
迎え入れてくれた。ノリの作った豪華な夕食で、パーティもしてくれた。
だが、そのうち真紅たちは本性を見せ始めた。あの普段、攻撃的な水銀燈が何をやっても特に
怒らないのだ。ドールたちの中に、黒い思いができ始めていた。最初は、嫌がらせ程度だったが、
どんどんエスカレートしていった。例えば、寝てる間に靴がなくなっていたのだが、数日後に
ゴミ箱の中から汚れてでてきたり、寝ようと思って鞄を開けてみると画鋲がばら撒かれていたこと
もあった。御飯も、一食分忘れられたこともあった。そしてそういう時に限って、真紅たちはコソコソと
集まって水銀燈を見てクスクス笑っていたのだ。水銀燈はさすがに怒ろうと思ったが、めぐの言葉を
思い出し、怒ることもできなかった。
あるとき、洗濯したはずの水銀燈の服が破れていたことがあった。水銀燈はこれが誰がやったか
分かっていた。水銀燈は代わりの服を着て、ジュンに服を直してもらうことにした。

「お前たちってボクが着てるのよりいい服着てるんだもんな」 ジュンは水銀燈の服を縫いながら
水銀燈に話しかけた。「でも何で破っちゃうんだ?こんなにいいの」 「私じゃない・・・」 
いつものような元気がない。ジュンは水銀燈に訊いてみた。
「最近お前元気ないよな?何かあったのか?」 水銀燈は首を横に振った。絶対何かある。
「言えよ。お前何か隠してるだろ?」 水銀燈は少しだけ話してみることにした。

「そうか、真紅たちが」 「たぶん、私がいるのが嫌なんだと思うわ。私、出て行くわ」 その異様な落ち込みに
ジュンはさすがに見て見ぬフリはできないと思った。
「わかったよ、ボクが真紅たちに言ってみる。水銀燈、何か困ったことがあったらボクに言えよな」
「ジュン」 初めて水銀燈は、ジュンが頼りになる人間だと思った。 だが・・・

「な、何をするのよ!真紅」 「文句でもあるの?」 就寝時、真紅たちが水銀燈の鞄をジュンのベッドの下に入れたのだ。
「だって、私たちはその鞄で寝るのよ?」 必死に訴えたが、真紅と翠星石と蒼星石に囲まれた。
「あんまり大きな声を出すなですぅ。ちび苺が起きるですぅ」 「何よ?あんたたち。私にどうしろって言うの?」
「簡単なことだよ。下の台所で寝てくれ。それが嫌なら家の外で寝てもらってもいい。僕たちは
君と同じ部屋で寝たくないんだよ」 その冷静に喋る蒼星石の口調がとても黒く感じた。
「なにを・・・」  「貴方、ジュンに告げ口したわね? 居候のくせにもっと自分をわきまえなさい。それから
あなたはジャンクなのよ。ジャンクはジャンクらしく私たちに従っていればいいのだわ」
さすがにこの言葉に切れた水銀燈は羽を広げようとした。
「ジャンクだなんて言わせないわよ・・・!」 真紅たちは少し距離を置いた。だが、攻撃しようと
した水銀燈の脳裏に、めぐの言葉がよぎった。『仲良くしてね』    水銀燈は羽をしまい、無言で
部屋を出て行った。そのとき、ジュンとすれ違った。「おい、どこに行くんだよ?」 「下で寝るの・・・」
その夜は、水銀燈は一階のソファでくんくんのぬいぐるみを抱いて寝た。「めぐ・・・早く帰ってきて」

そんなことを水銀燈はいろいろ思い出している内に、水銀燈はいつの間にか眠っていた。起きると、
既に一時間が経過していた。 「いけない…一時間も寝ちゃったわ。真紅様たちに怒られちゃう」
しかし、タイミング悪く上の階でケーキを食べていた真紅たちが戻ってきてしまった。
「何をやってるの?全然片付いてないじゃないの? こんな簡単なこともできないの?」
「あ・・・違う」 「言い訳はなしですぅ!こんなこともできないなんてやっぱりジャンクですぅ!」
「君が同じ薔薇乙女だなんて、恥かしいよ僕は」 3人は言いたい放題だ。水銀燈にはもはや
言い返す気力はなかった。そこにノリのトドメがきいた。 「こんなこともできないなんて、水銀燈ちゃんは
ふざけてるの? 水銀燈ちゃん、罰として今すぐに夕御飯を作りなさい。ただし、水銀燈ちゃんは
今日は夕御飯抜きよ。わかった?お返事は?」 ノリの口調は強かった。水銀燈は「はい・・・」と
元気なく答えた。

夕飯時。水銀燈は台所の隅で体育座りをしていた。テーブルではみんながおいしそうに水銀燈が作った
御飯を食べている。雛苺が水銀燈に気づいた。水銀燈は目をそらした。
「ねえー真紅ー、どうして水銀燈は御飯を一緒に食べないのー?」 無邪気な質問だった。だが非情にも
真紅は「彼女はお腹がすかないらしいのよ。だからいらないらしいわ」と答えた。 
夕飯後も水銀燈は後片付けをやらされ、リビングで寝ることになった。 寝ようとしたとき、誰かの気配が
した。雛苺だった。 「何よ雛苺? 私を笑いに来たの?あんたは真紅たちの真の恐ろしさを知らないから
いいわね・・・」。 そう言ったとき、雛苺がケーキの乗った皿を差し出した。ジュンが買ってきたケーキだった。
「え?」 「水銀燈、やせ我慢しちゃ駄目なのー。雛が後で食べようと思ってたけど、水銀燈にあげるのー」
「雛いち・・」 雛苺はそれだけ言うと、二階に戻っていった。水銀燈はケーキを見た。 「馬鹿みたい」
そう言うと、水銀燈はケーキにささってるフォークでケーキを食べようとした。 
 また誰かの気配がした。真紅が来たのかとビクついたが、そこにいたのはジュンだった。
「雛苺がくれたのかそれ?」 「ええ・・・。何しに来たの?」ジュンは水銀燈の横に座った。 
「お前、本当は夕飯食べたかったんだろ?」 「・・・・・・・・・・」「ボク言っただろ?困ったときは言えって」 
「うん」 水銀燈は、ジュンを見直していた。自分にここまで優しくしてくれるとは思わなかったからだ。
「もしこれから真紅たちがお前をいじめようとしたらボクが助けてあげるからさ。な?」 「ええ」
「だけどさ、その代わりボクのこと『お兄ちゃん』って呼んでくれない?」 「え?」 突然何を言い出すのかと
思い、ジュンのほうを見ると、ジュンの顔が近くにあった。「ちょっと、なに?」
「これからはいつでも助けてあげるからボクのこと『お兄ちゃん』って呼んでくれよ」 水銀燈は(?)な顔を
したが助けてくれるならと思い「分かったわよ、お兄ちゃん。これでいいんでしょぉ?くだらないけどぉ」と
言った。するとジュンは覚醒したような顔で嬉しそうに言った。「ボク、ずっと妹がほしかったんだ。真紅
たちに『お兄ちゃんって呼んで』って言っても相手してくれなかったからな。ありがとう、ボクの妹。お兄ちゃんは
君を守るよ」 ジュンの息が荒くなってきた。水銀燈は本能的に嫌な予感がした。
 ガバッ!ジュンがいきなり水銀燈を押し倒した! 「ちょっ!何するのよ!人間!放しなさい!」
「駄目だろ! ボクは『お兄ちゃん』だ!!」 顔が間近だった。ジュンは水銀燈の服に手をかけ、脱がそう
とした。「いやあああああ!」 水銀燈はそばにあったケーキをジュンの顔に投げつけ、羽を広げ窓から出て行った。

「もう嫌ぁ・・・めぐ・・・ひぐっ、うえっ・・・もうあんな家行きたくなぁい・・・ひぐっ」
水銀燈は病院に戻ってきて、めぐの病室を覗いた。誰もいない。水銀燈はまたどこかに飛んで行こうとした。
そのとき、めぐの病室の電気がついた。「え?」 振り向くと、病室にめぐがいた。
「め、めぐ・・・・・・めぐぅ!」 水銀燈は病室に入っていき、ベッドに横たわろうとしためぐに抱きついた。
「す、水銀燈?どうしたの?こんな夜中に?」 「帰ってるなら、帰ってるって言いなさいよぉ!」
「泣いてるの?ごめんね。今日帰ってきてたんだ」 めぐは泣いている水銀燈を抱きしめた。
「もう私いやよぉ、あんな家と関わりたくなぁい!真紅も翠星石も蒼星石も人間とも関わりたくなぁい!」
わあああと大声で泣く水銀燈。それをめぐは頭を撫でて落ち着かせる。「何があったか知らないけど、
とりあえず泣き止みなさい。誰か来ちゃうでしょ?もう、水銀燈って本当は甘えんぼさんだったのね」
「もうどこにも行かないでめぐ」 水銀燈の必死の涙の訴えに、めぐは優しく答えた。
「うん。行かないわもう。私だって水銀燈と離れたくないもの」

その夜、水銀燈はめぐと一緒に寝た。「もうどこにも行かないで」という水銀燈の寝言を聞いた
めぐは優しく微笑んだのだった。

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終わりです。あまり面白くなかったかな?文章詰めすぎたし。イメージが違うし。
でもここまで読んでくれた方々、ありがとうございました。機会があればまた
投稿したいと思いますので、その時は宜しく御願いします。

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