635 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/02/05(日) 23:42:02 ID:tyztF9lA
暇だから、何か書いてみようかと思うんだけど
何がいい?
一応、国語は頑張りましょうレベルだから
期待はして欲しくないね
>カナが大活躍
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全ては、みっちゃんの一言から始まった
「ねぇカナ もう一度彼女達を連れて来てくれないかな?
一生のお願い! もう一度、お洋服を着させたり、写真を取ったりしたいの」
無論、それを金糸雀が断る理由も無く、
みっちゃんの一生の願いを、聞き入れる事になった。
!try.1
「たのもー!」
午後を伝えるニュースが流れる桜田邸のリビング。
そこに、一人の少女、人形の叫び声が轟いだ。
そして、開く邸宅の扉
「何だお前か… 何しに来たんだ?」
無愛想に出迎える桜田家長男、JUMである。
「ちょっ、ちょっと用事があってきたのかしら」
少し物怖じしながらも、的確な答えを返す金糸雀。
「なんだよ一体… まぁ、上がれよ 此処に居ると僕が寒い」
そして二人は、桜田邸リビング
クンクン探偵を熱い眼差しで視聴する、乙女の集団に加わった。
!try.2
「ちょっと聞いて欲しいか……」
「「黙ってなさい! ですぅ!!」」
金糸雀の第一声は、二体のドールの叫びに近い声により掻き消された。
しばらく待つこと数分
クンクンが終り、ソファーから赤いドールが、煩わしそうに金糸雀に近付いた。
「で、何かしら金糸雀?」
「ずばり、もう一度みっちゃん家に来て欲しいのかしら!!」
「嫌よ、それだけはお断りだわ」
即答、赤い人形の返答スピードはは常軌を逸している。
それが、一般的な人形の思考速度なのか、
それとも、頭ごなしに断るつもりで、用意された言葉なのかは、彼女しか分からない。
「うう… まぁいいのかしら、一人くらい居なくても、どうってこと無いのかしら!」
そして金糸雀は、手当たり次第に声を掛け続けた。
vs翠星石
「嫌です、絶対にお断りですぅ」
「かっ…かしら…?」
vs蒼星石
「そう… 君のRMをくれるなら考えてもいいけど?」 注)RM=ローザミスティカ
「ほっ本当かしら!? ……って騙されないかしら!」
vs雛苺
「うゆ? カナが何を言ってるのか理解不能なのよぉ」
「…くっ、どうしてかしら」
vsJUM
「そうだなぁ、考えてもいいけど…」
「助かるかしら、之で一安心かしら」
――バタン
JUMの部屋から、廊下に出た金糸雀は、ぎょっとしていた。
(な…何か違うのかしら……)
金糸雀は一度、みっちゃん家に帰宅した。
!try.3
「……という事なのかしら」
金糸雀は、今までの経緯をみっちゃんに話していた。
「ええ〜、じゃあ彼女達は来て…くれない……のね……?」(グスッ)
「み、みっちゃん泣かないで欲しいかしら!
絶対にカナが連れて来てあげるから、泣き止んで欲しいのかしら…」
「ホントに? カナありがとーー!!」(ガバッ)
唐突に、金糸雀に飛び掛るみっちゃん
「キャー!! マサチューーセッチューー!!!」
その夜、金糸雀の決心と 頬っぺたは
火を灯したように、赤々と燃えていた。
!try.4
――桜田邸
「お願いかしらぁ… 一度でいいからみっちゃん家に来て欲しいかしら」
「五月蝿いのだわ」
「顔を洗って出直せですぅ」
「だからRMを(ry」
「うゆ?」
「で、いつ行けばいいんだ?」
金糸雀は、再度当たるも尽く玉砕していた。
その大半が、取り入る所か相手にすらされていない。
なら、いっその事 実力で… と、考えるも、
彼らとの実力は伯仲
一度目の衝突で学んだ事は、しっかりと策士たる彼女の頭脳に刻まれていた。
それに、向こう側には4体のドールが居る。
之は、どう見ても勝ち目が無い。
「ピチカート、何か良い案は無いかしら…」
気が滅入るなか、彼女は光の玉に相談を持ちかけた。
彼女に使役する金色の玉、それが明滅し答える。
「…やっぱり頼み込むしか無いのかしら」
もう一度 頼み込むと、金糸雀は覚悟を決めた。
「何か用? いい加減しつこいんだけど…」
JUMの部屋で本を読む真紅に、金糸雀は両手を重ね 言い寄っている。
「お願いかしら! どうしても、みっちゃんに会って上げて欲しいのかしら!」
その頼みを、冷めた視線で返す。
面倒事には関りたくない、何の利点も無しにクンクン探偵を見逃す事は出来そうに無い。
それが、面倒ごとを嫌う彼女の理由である。
「そう… なら他の子に頼みなさい 別に、私で無くとも役割は果たせるのだわ」
「でも… みっちゃんが…」
「つべこべ言ってないで、さっさと出てって頂戴! 本に集中できないのだわ」
そう言い放ち、彼女は本に視線を下ろした。
本に挟まった、一枚のプロマイド写真。
それには、彼女の愛するクンクンが写っている。
それを見て、彼女は一息付くのだった。
(グッズをくれるなら、考えてあげてもいいのに…)
もちろん、そんな媚びるような事を彼女は言わない。
何故なら、彼女は誇り高きロー(ry
「もう! あそこまで邪険に扱わなくても、いいじゃないかしら!
そんなに集中できないなら、本を逆さにしなければいいかしら!」
金糸雀は気付いていた(?)
真紅が読んでいた本が、逆さである事に。
そして何故、彼女が集中できないと言ったのか、
その理由は、変った読み方をしている性、 そう金糸雀は曲解していた。
――ところ変って、桜田家の庭
「翠星石ぃ、 たまにはカナを助けて欲しいのかしらぁ」
翠星石は、花に水を上げている。
「ねぇったらぁ」
服を引っ張った途端、するどく彼女が金糸雀を睨みつけた。
「うるせぇです! ちったぁ静かにしろです!」
「だったら、カナに協力して……」
言葉を途中で区切った。
彼女の後ろには、めらめらと燃える陽炎が発生している。
よく見ると、こめかみの辺りに血管(?)のような物が。
「……鬼婆かしら」(ボソッ)
その一言が切欠となり、ジャックと豆の木ならぬ
その童話に出てくるような、巨大な蔓が桜田家庭に生えた。
その間、耳を劈くような奇声が響いていたと言う。 by 通行人
――桜田家の一室、大鏡のある部屋 (便宜上、「倉庫」とする)
そこに、青い服を来た少年…
少女は佇んでいた。
鏡に手を当て、哀愁を噛み締めるかのようにして、うな垂れている。
「や…やっと見付けたのかし…ら」
杖を片手に、ぼろぼろに成った金糸雀は、遂に彼女を発見した。
蒼星石は呟いている、ぶつぶつと何かを繰り返し。
「蒼星石、頼みがあるのか…しら?」
呼びかけた途端、彼女の手にレンピカが精製した、剪定挟みが握られ
それをこちらに向けて、振りかざした。
「ひっ!」
恐怖の余り、悲鳴を上げる。
彼女の挟みが落ちれば、金糸雀は造作も無く破壊されてしまうだろう。
…と、大丈夫だったようだ。
身の安全を確認して、彼女を見やった。
凍りつくような瞳に、蒼白な顔色。
彼女の唇は、きゅっと噛み締められている。
「あの……」
「悪かったね… ごめん」
言葉は遮られ、彼女は鏡の中へと消えていった。
――JUM部屋
「もう、雛一人で良いから来て欲しいかしら」
周囲を見渡し、人の気配が無い事を調べ
それから雛苺は答えた。
「うゆ〜 絶対にNon! なの〜」
雛苺は、にこやかに返す。
ある条件が満たされた時のみに見せる、もう一人の彼女。
今の彼女は、体と頭脳は子供、では無く
体は子供 頭脳は大人 のレベルにまで変っている。
無論、彼女は元から こうだった訳ではない。
コリンヌに見捨てられた時、もう二度と自分が傷付く事が無い様、
彼女はもう一人の人格、賢いサブを作り上げたのだ。
傷付かずに生きる処世術、それは大人と子供を要所要所で使い分ける事。
之が、彼女の生み出した発想、トラウマと成り得た悲しい過去である。
「雛の癖に生意気かしら!」
「生意気って何なの? 雛には難しすぎて理解不能なのよー」
明らかに目は笑っている、なのに金糸雀にはそれを解き明かす術は無い。
金糸雀はあくまで、依頼人。
了承するかどうかは、全て相手の意向に掛っている。
無理矢理、力ずくにやるようものなら、
それが失敗した時、二人の関係が崩れて、二度とみっちゃんの元へ連れて行くことは出来なくなるだろう。
「……わ、悪かったかしら、だからみっちゃん家に来て欲しいかしら」
「生意気なのー 雛に頼むのなら、まず誠意を見せて欲しいの〜」
「くっ… 言わせておけば」
二人の雰囲気が変わり始めたその時、
JUMが扉を開け、部屋に入ってきた。
「何だ… こんな所で遊んでいたのか」
ぶつくさ呟くようにして言う彼に、雛苺は飛びついた。
もう、サブは隠れてしまっているようだ。
「ジューン! 相変わらず来るのが遅いの〜」
「ってなんだよ! 来るのが遅いって… と、首に纏わり付くなぁ!!」
その様子を見て、きゅっと泣きそうになるも、
和やかなその風景を尻目に、金糸雀は部屋を後にした。