いつもの様に人形達がリビングで遊んでいた。
ふと翠星石はあることを疑問に思った。
「今日人間はどうしたですか?」
翠星石は今日桜田家に来てからジュンを見ていなかった。
「ジュンは今日風邪を引いて、部屋で寝ているわ」
真紅は普段通りの口調で言った。
「そうですか・・・・」
しばらく翠星石は考え込んだ。
翠星石はいきなり立ち上がり桶に水を入れタオルを持ち出した。
そして、水を入れた桶を持ってジュンの部屋へたどたどしい足つきで上がって行った。
ジュンの部屋のドアを翠星石はノックした。
返事が無かったので翠星石はドアを開け部屋に入っていった。
「ん?何だ性悪人形か・・・・」
ジュンは一言そう言ってパソコンの方を向きなおした。
「何だとは何ですか!?そんな事より風邪を引いてるんじゃないんですか!?」
「これくらい平気だよ」
翠星石の心配をよそにジュンはパソコンに熱中している。
翠星石は持っていた桶とタオルを置いてジュンに詰め寄った。
「平気じゃないです。ベッドに入って寝てろです!」
翠星石はジュンの座っている椅子を揺らした。
「っわ!!危ない、止めろ!!」
しかし、翠星石はジュンの椅子を揺する事を止めようとせず、更に激しく揺らした。
その時にバランスを崩したジュンが椅子から翠星石の方へ倒れてきた。
「っえ?キャアアアアア!!」
翠星石の悲鳴が桜田家に響き渡った。
リビングに居た人形達やノリが慌ててジュンの部屋に駆けつけた。
「どうしたの!?翠星石」
真紅がドアを開けてジュンの部屋に入って来た。
「ジュンが・・・・・ジュンが」
翠星石が泣きそうな顔で真紅の方を見た。
真紅は翠星石の隣で倒れているジュンを見つけた。
「ジュンが私の方に倒れてきて、その時私を潰さないようにと庇ってそれで、桶に頭をぶつけて・・・・」
ジュンは翠星石の言った様に桶に頭をぶつけて気絶し、さらに桶に入っていた水を頭から浴びてしまっていた。
元より軽い風邪を引いていたジュンはこれが原因で本格的に風邪を引いてしまった。
数時間後。
ジュンが目を覚ました時、ジュンの隣には心配そうな顔をして必死に看病をする翠星石が居た。
翠星石はジュンが目を覚ました事に気付いた。
「大丈夫ですか?さっきはごめんなさいですぅ」
「・・・・別にいいよ。それより僕と一緒に居ると風邪がうつるぞ」
「私は人形だから、風邪など引かないのです」
翠星石はジュンの額に乗せてある濡れたタオルを取った。
そして、翠星石は顔をジュンに近づけ額同士をくっつけた。
「まだ、熱があるです」
この時、ジュンには翠星石の息がかかるところまで近づいていた。
ジュンは顔を真っ赤にした。
翠星石が額を離した時、ジュンは照れ臭そうに一言言った。
「翠星石・・・・ありがとう」
この言葉を聞いた時翠星石も顔を真っ赤にした。
「か、勘違いするなです。これは唯の慈悲なのです。お前みたいな奴の面倒など私以外に見れるものなど居ないから仕方なくこうしてやってるのです」
翠星石はいつもの憎まれ口をジュンに吐いた。
「言ってろ。この性悪人形」
ジュンは優しくそう言い再び瞼を閉じた。
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はい終了。
超ショートストーリー。
1日で終わりかよって突っ込みたくなるなw
もうちょっと続くもん考えやんとなw