「ジュン、紅茶を淹れて・・・!?」
彼女の言葉はそこで止まってしまった。
それはジュンの奇怪な行動を目にしてしまったからだ。
「お〜う、真紅〜おれぁ大丈夫だぜぇ」
ジュンはフラスコのようなものを鼻に近づけて鼻を啜らせていた。
フラスコのようなものの底ではゴポゴポと沸騰した水のような音がしている。
「ちょ、ちょっとジュン、本当に大丈夫?」
真紅はジュンの肩に手を触れた。するとジュンは仰向けにバッタリと倒れてしまった。
「ジュン!しっかりして!」
彼女は必死になってジュンを揺さ振った。
ジュンはやる気なさそうに返事を返すが
「よぉひんく・・・おれぁあはまんなか大丈夫だぜぇ・・・」
とかなんとかわけのわからないことを言う始末であった。
「何をわけのわからないことを言っているの?しっかりしなさい!」
そう言って真紅はジュンの頬に平手打ちを一発食らわせた。
「!?」
途端にジュンの形相が酷くなった。
「ってぇな!糞人形が!」
いきなり怒鳴るので真紅は驚いた。
「いつまでも寝ぼけているからよ。早く紅茶を淹れてきなさい」
「おお?どうやらお前もポスタルゲームを始めたいようだな・・・。人が○○楽しんでるのに邪魔しやがって!ぶっ殺してやる!」
「ポスタルゲーム?まさか!あなたが蒼星石を酷い目に合わせたデュードね!今すぐジュンの体から消えなさい!」
「まあそう言わずにこれでもまずはこれでも喰らいな!」
ジュン(とはいってもほぼ狂気に染まるデュードに取りつかれているが)は先ほどのフラスコ(パイプ)を無理矢理真紅の鼻に押し込むように近づけた。
「ちょ、ちょっと!やめなさい!ジュン!」
途端に真紅の頭の中はボンヤリし始め、次第にジュンの顔がドーナツ状になり回転し始めた。
「こ、これは、いっひゃい・・・」
仕舞いにはまともに口も開けなくなってしまった。

『おい!』
目の前が真っ暗で見えない。だが微かに声が聞こえる。
『おい!起きろってんだ!』
やがて声が大きくなったかと思うと、はっと目が覚めた。
真紅は咄嗟に起き上がり、辺りを見回した。
「ここは・・・」
『ここは俺のフィールドだよ。すげえだろ』
真っ白で何もない世界から、どこからともなく声が聞こえる。
「デュード、隠れてないで出てきなさい!」
『その威勢の良さ、壊しがいがあるぜ・・・へっへっへ』
「早く出てきなさい!」
真紅が呼ぶと、後ろからぬっと手が伸びてきた。その手の持ち主は黒いコートに身を包んだ長身の男。デュードであった。
デュードの手は真紅の肩をがっちりと掴む。
「俺はここにいるぜぇ?」
「う・・・く・・・」
真紅はその手を必死に退けようとするが、力が強いらしくなかなか離れない。
そのまま片手で持ち上げられてしまった。
「さっき言ったとおりポスタルゲーム始めるぜ!」
そう言ってデュードは真紅の腹部に思いっきりパンチを喰らわせた。
「っきゃ!」
距離にして五メートルほど吹っ飛んだだろうか。真紅も小さく声を上げる。
「いいか?このゲームではお前に体の一部が欠けることの恐怖を再び教えてやるためのものだ。覚悟しやがれ!」
デュードはナタを持ち出すと横たわる真紅の右腕を切断した。
「!・・・私の腕が!」
「へっへっへ、この腕をどうすると思う?」
デュードは転がった右腕を拾い上げる。しかし真紅は動じない。
「愚かね、デュード。あなたは『絆』というものを知らない。片腕を失ったところでその力は衰えないのだわ」
あくまで強気の真紅。デュードもそれで動じることはない。
「そうかい。ならこいつも頂くぜ!両手両足ぃ!」
デュードはナタを振り回し、真紅の左腕と両足も切断した。
「あああああぁ!」
「ほら!泣けよ!ここには俺とお前以外誰もいないぜ!」
「う・・・わ、わたしは・・・こ、この程度で泣かないのだわ!」
真紅は泣くのを必死にこらえた。デュードはそれを見てニヤニヤする。
「人前じゃ弱音を見せないもんな。だがここには弱いお前を知るのは誰もいない。遠慮することはねえ、さっさと泣いちまえ!我慢は体に毒だぜ!」
デュードは四股を切断され、胴体と首だけになった真紅の体を踏みつける。
「ほらよ。こんなことされて本当は苦しいんじゃないのか?」
真紅は黙りこんだままだ。
「仕方ねえなあ。それならもう二度と元の体に戻せないようにしてやるか」
そう言ってデュードは転がっている両手両足を真紅の目の前に並べた。
「な、何をするの!?」
「こうするんだよ!」
デュードは大金槌を構えた。
「いや!やめて!お願い!」

だが遅かった。真紅が叫んだ時には彼女の右手は既にバラバラだった。
「いやあああああ!!!」
「次!次!」
さらに左腕、右足、左足と、順番に破壊していった。
「どうだ?いくら腕をくっつけられるガキでもものを生み出すことはできないぜ!お前は永遠にジャンクだ!ほらよ!さっさと泣いちまいな!」
デュードは真紅の頭を踏みつけた。
「その苦しみ、わかるぜえ。水銀燈をジャンクにしちまったり、体の一部を失ったりと、心の弱さを一番知ってるのはお前だからな。だからこそつらいんじゃないか?もう二度と元の体に戻れないのはよ!」
「う・・・えぐ・・・っぐす・・・私は・・・永遠に・・・ジャンク・・・」
とうとう真紅は大粒の涙を流し始めた。
「ひゃっはっはっはっは!こいつはたまんねえぜ!だがまだ終わらないぜ!次はその『絆』とやらを断たせてもらうからな!」
デュードの手に抜け殻のようになったジュンの体が出現する。
「ジュン!彼に何をするつもり!?」
「言ったろ、絆を断つってな!」
「ジュン!起きなさい!早く!起きて!」
「無駄だよ。こいつ○○やりすぎて体ぶっ壊れてるからよ。おまけに俺がいなけりゃ精神脆すぎて廃人同然よ!」
デュードはジュンを投げ捨てると、大金槌を振り上げた。
「何をするの!ああ・・・やめて、そんなこと!お願い!ああああああ!!!」
大金槌はジュンの脳髄目掛けて振り下ろされた。
途端にグシャリと音を立てて粉々になってしまった。
肉片が真紅の顔に飛び散る。
「いやああああ!!!ジュン!!!」
「へっへっへっへ。そのままそこでグッタリしてな。俺は午後のビールでも楽しんでくるぜ!あばよ!」
デュードがそう言うと、真紅の目の前が真っ暗になり、気を失ってしまった。
「・・・」
しばらくして真紅は目が覚めた。
「・・・ここは・・・家?」
真紅が目を開けると、パソコンに向かうジュンがこちらを振り向く。
彼女は彼をまじまじと見つめる。
「な、なんだよ・・・」
「ああ・・・ジュン!」
真紅はジュンに抱きついた。
「うわ!なんだよ急に!」
驚きながらもなすがままにするジュン。
「やはり貴方は失いたくないわ。例え夢の中でも・・・」
「え?」
「それよりもジュン、早く紅茶を淹れてきて頂戴」
先程の夢か何かの出来事が嘘のように、いつもの本調子に戻る真紅。
「ったく・・・甘えてるのかと思うと、元に戻りやがって」
「ごちゃごちゃ言わないの。言われたとおりにしなさい」
「はいはい。でもこの時間なら紅茶よりビールが良いんだよなあ。さっき死ぬほど働いたから喉がカラカラ」
「え?」
ジュンの口調が先程のデュードに似た口調に変わると真紅は凍りついた。

The End

これほど気持ちいいことはないぜ

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