薔薇水晶は無表情のまま立ち去ろうとした。すると
『待ちな。まだゲームは終わっちゃいないぜ』
「!?」
先程のデュードのほうを振り返ってみるが、無残な彼の死体のままだ。
「ここだよ!」
と、後ろから何者かに肩を掴まれた。デュードである。
「ゲームはまだ終わってないぜ。ばらすぃちゃんよ」
「なぜ?倒したはず」
「そいつはどうかな。よく見てみな」
言われるがままに死体の方を見るが、明らかにデュードの体だ。
「違うよ。首だよ首」
「これは・・・お父様!?」
踏み潰した首をよく見ると、それは金髪で綺麗な顔立ちの青年だった。無論、ほとんど半分は砕け散っており見るに堪えないが。
「お父様ぁ!」
それに向かって走り出す薔薇水晶。さっきまでの冷静さとは打って変わってだ。
「お許しください・・・お父様・・・」
その首を抱えて涙を流す薔薇水晶。そこへデュードはナタを持って歩み寄る。
「まだゲームは終わってねえって言っただろうが。続き始めようぜ!」
そう言ってデュードは薔薇水晶の両足を切断した。
「っく・・・ううう・・・なぜ・・・」
薔薇水晶の体に激痛が走る。
デュードは足を切られて動けない彼女を踏み付けにした。
「ポスタルゲームってのはよ、お前らの弱点を利用するんだよ。そいつの失った時に降り掛かる痛みがこれよ」
さらに腹部にスレッジを叩きつけた。
「あ・・・ぐ・・・」
「へっへっへ。痛いか?もっと苦しめ!ニヒルなクズが苦しむ姿はたまんねえぜ!」
そして苦しむ薔薇水晶の目の前に先程彼女自らが踏み付けた青年の首を置く。
「こいつをどうするかわかるか?」
デュードはスレッジを大きく振りかざした。
「まさか・・・やめて!」
だが遅かった。首は粉々に吹っ飛び、肉片が薔薇水晶の顔に飛び散る。
「あああああああ!!!お父様ぁあああぁぁあ!!!」
「うっせえよメス豚ぁ!」
そんな薔薇水晶の顔を思い切り蹴飛ばす。
「お父様・・・お父様ぁ・・・」
「オヤジオヤジってうるせえやつだな。俺なんてパパの墓に小便かけてやったってのによ。そんなに欲しけりゃくれてやるよ」
デュードは飛び散った肉片を掻き集め、薔薇水晶の口の中に無理矢理詰め込んだ。
「おら!パパの愛情をたっぷり受け取りな!」
「あ・・ぐぇぇ!気持ち悪い・・・っぶほっぶほ!」
「こんなものも食えねえくせにオヤジのこと気にかけてんじゃねえよ!」
今度はスレッジで両腕を潰した。
バキバキと音を立ててひび割れていく。
薔薇水晶は痛みなのかお父様を失った悲しみになのか、ただただ泣き続けるだけだった。
「お父様・・・私をお許しください・・・」
「っち、胸糞わりぃ(ここで壊したらこいつを救うことになっちまうなあ)」
デュードは少し考えた後
「そのままそこに転がってな。オヤジと仲良くやれよ。じゃあな」
そう言って闇に消えていくデュード。しかしその表情にいつもの満足さはなかった。
彼自身の手で彼女を苦しめたというより、お父様を失ったことによる絶望のほうが強かったからである。
「お父様ぁ・・・」
薔薇水晶は何度もその名を呼びながら、やがて動かなくなった。

The End

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