深夜、翠星石はふと目を覚ました。
この時間帯に起きているものは誰も居ない。
「ん・・・・?ジュ・・・ン?」
まだハッキリとしない頭を必死に起こそうと頭を振った。
鞄を開けた翠星石の目の前にパソコンの電源を入れたまま眠っているジュンが目に映った。
翠星石は立ち上がり毛布を出してきてジュンにソッと掛けた。
「さてと・・・・・」
翠星石は少しニヤついた表情で鞄を台にして机に手を置き顔をあげた。
「チビ人間はどんな物を見ているのですかぁ?」
などと馬鹿にした様にジュンの方を向いて言った。
「・・・・・・・」
寝ているジュンは当然無言なのだが、翠星石は少し不満げな表情をしながらパソコンの画面を覗き込んだ。
翠星石はパソコンの扱いなど殆どできないので画面だけを見入る形となっている。
「また車ですか。一体こんなものの何がいいんでしょう?」
スヤスヤと眠るジュンに視線を向け少し溜息をついた。
ジュンの顔を見ていると何だか翠星石は恥しくなってきた。
顔を少し赤らめ鞄から降りて眠りにつこうとした時ジュンが何かを言った。
「性・・・・・悪・・に・・・・・・」
その言葉を聞こえてきた時に翠星石はバッとジュンの方を向く。
「何か用ですか?」
「・・・・・・・・・・」
翠星石の問いに答えるものは無かった。
寝息を立てるジュンの唇を翠星石は見つめた。
(今なら・・・・誰も見ていないし、大丈夫ですよね?)
翠星石は目を瞑り無抵抗なジュンの唇と自分の唇を重ね合わせた。
この口付けはとても軽いもので翠星石の行為はこれだけに終わった。
その後、翠星石は自分の胸がドキドキして中々寝付けなかった。
次の日の朝ジュンですら起きていたのに翠星石は中々目を覚まさずにいた。
「性悪人形、今日はどうしたんだ?」
「さぁ」
ジュンの問いに素気なく真紅は答え、ジュンはいつもの事とはいえバツの悪そうな顔をした。
そんなことを言っている内に翠星石が二階から降りてきた。
「おはよーですぅ」
まだ少し眠そうな目をこすりながら翠星石は部屋に入ってきた。
「今日は遅かったな。どうしたんだ?」
「っえ・・・・・・」
翠星石はジュンの顔を見たとたん目が覚め昨晩の行為を思い出す。
顔が段々赤くなりその事をジュンに悟られないように背を向けた。
「なんでもないです。翠星石は顔を洗ってくるですよ」
そう言って部屋を出て行く翠星石の顔は何処か幸せそうなものがあった。