『蒼の誓い』 

ジュンは暗い物置で、ドールズに気づかれないよう黙々と作業をしていた。もしも誰かが見ていたら感嘆していただろう。 
ただの青い布が、鮮やかな手つきと共に美しい衣装へと変じていくのだから。 
「よし、こんなものかな……」 
ものの数時間でそれは完成した。清楚な趣の青く美しいドレスだ。 

「ジュン、僕に用事って?」 
ジュンは、普段あまり使わない客間に蒼星石を呼んだ。ここは他のドールズが興味がひくようなものはないので、1体の 
ドールとこっそり会うのに便利だ。 
「これ、着てみてくれないかな」 
「これは……?」 
蒼星石はジュンが差し出したものを見て目を丸くした。自分の名前と同じ色のドレス。ジュンの意図は明らかだ。 
「ジュン、僕、そんなに女の子っぽくないかな……」 
蒼星石は悲しそうに目を伏せる。最近自分のボーイッシュな外見が妙に気になり始めたのだ。 
「いや、そういうわけじゃないんだ!」 
ジュンは慌てて否定する。 
「感じているときの蒼星石はとても女の子っぽい……っ痛っ!!??」 
「いきなり恥ずかしいこと言わないでよ!!」 
顔を真っ赤にしてジュンを蹴飛ばす蒼星石。その膨れた顔は、いつもの無表情からは想像できないほど女の子らしかった。 
「だから、いつもの蒼星石も好きだけど、僕はもっと色々な蒼星石を見てみたいんだ」 
「……もう、口ばかりうまいんだから……」 
口を尖らせて不平を言いつつ、頬が緩むのを抑えきれない蒼星石であった。 
「せっかくジュンが作ってくれたんだし、着てみるよ」 
「やった!」 
「さて……」 
「…………」 
「えーと……」 
「……早く着替えてよ」 
ドゴッ! 
「あっち向いててね」 
「……なんか、思ったより手が早いんだな、蒼星石……。それに、今更恥ずかしがる仲じゃ……」 
ドグォッ!! 
「はい……後ろ向いていますです」 

『蒼の誓い』 2 

「ジュン、き、着たよ……」 
蒼星石の恥ずかしそうな声を聞いてジュンは振り返った。 
「…………」 
言葉一つ出なかった。青のドレスを身に纏う蒼星石は、どのドールにも負けないほど輝きを放っていた。 
「ど、どうかな……」 
「…………」 
ジュンはただ蒼星石を見つめていた。いつものボーイッシュな格好とはかけ離れた優雅な衣装は、普段との違いを強調する 
がゆえに強い印象を植え付ける。凛とした表情の、透き通るような冷たい美しさを持つプリンセスのようだ。 
「やっぱり僕にはドレスなんて似合ってないかな……」 
悲しそうに目を伏せる蒼星石を無言でジュンは抱き寄せた。 
「きゃっ……」 
めったに出ない女の子っぽい悲鳴を上げる。 
「とても……とても綺麗だよ、蒼星石……」 
「……ほ、本当?」 
「ああ、とても似合う。まるでお姫様みたいだ」 
「でも、それはジュンの作ったドレスが素敵だから……」 
「着ている蒼星石が輝いていないと、僕の作ったドレスはただの衣装に過ぎないよ」 
「ジュン、本当の本当?」 
「本当だよ……」 
蒼星石はゆっくりと笑顔になると、目尻に涙を浮かべてジュンに強く抱きついた。 
「嬉しい……嬉しいよ、ジュン……。ありがとう、こんな素敵なドレスを作ってくれて……」 
「どういたしまして……」 
蒼星石は熱い視線をジュンに向けると、素早くジュンの唇を奪った。 
「そ、蒼星石……!?」 
可愛い不意打ちにジュンは慌てて離れた。そんなジュンを潤んだ瞳で見ながら、蒼星石はゆっくりとスカートをたくしあげた。 
いつものズロースとは違う、このドレス用にジュンがわざわざ作ったレースの白い下着が丸見えになる。 
「蒼星石……」 
ジュンは唾を飲み込んだ。凛としたプリンセスは、いまや淫らな娼婦のようだ。 
「これ、お礼……」 
蒼星石は熱い息を吐きながらスルスルと下着を脱ぎ捨てた。 

『蒼の誓い』 3 

「ん…………」 
蒼星石は、ジュンの指をつかむと、ゆっくりと自分の秘部に当てた。 
「濡れてる……」 
「は、恥ずかしい……」 
口ではそう言いながらも、蒼星石は大胆にジュンの指に秘部を擦り付ける。最初は遠慮がちだったが、やがてジュンの腕を 
抱きしめるようにして腰を動かす。 
「あ……あ……気持ちいい……」 
蒼星石は夢中になって腰をこすりつける。そのたびにジュンの指は蒼星石が分泌したもので濡れていく。 
そんな蒼星石の乱れっぷりに興奮してきたジュンはズボンと下着を脱ぎ捨てる。ジュンの一物はすでに限界まで勃っている。 
ジュンは蒼星石を攻めにかかろうとするが、蒼星石は首を横に振る。 
「ジュン、今日は僕に全部任せて……」 
そう言うとジュンを押し倒す。 
「わ……!?」 
「ふふ……ジュン、今日は僕が犯してあげる……」 
蒼星石は、熱くぬめる舌でジュンの一物をゆっくりと舐めあげる。 
「ちゅるる……ちゅぷっ……ちゅっ……ちゅっ……ちゅっ……」 
「蒼星石……き、気持ちいいよ……」 
「ちゅっ……ちゅぅっ……ちゅぅ……ちゅ……ちゅぷぷ……」 
薔薇乙女の小さな口ではジュンの一物を咥えきれない。そのかわり、小さな舌で隅々まで舐めあげるのだ。 
「ちゅっ……ちゅっ……ちゅぅぅぅ……ちゅぷっ……ちゅっ……ちゅっ……」 
「はあ……はあ……」 
ジュンの息がだんだんあがってきたところで、蒼星石はドレスを脱いでジュンの一物を騎乗位の姿で秘部に当ててこすりあげる。 
いわゆる素股だ。 
「ああ……ジュンのあそこ、とても熱いよ……!」 
腰を大きく動かして快楽を貪る。蒼星石はいつものクールな表情からは信じられないほど乱れ、口からはよだれが垂れていた。 
ジュッ……ジュッ……ジュッ…… 
お互いの分泌物で濡れた秘部のこすりあいが湿った音を部屋に響かせる。その音がますます二人を淫らにさせる。 
「ジュン……! ジュン……!」 
想いを全て込めて蒼星石は最後に大きく腰を動かす。 
ジュッ……! ジュッ……! ジュッ……! 
「ああっ……ジュンっ……、好きっ! 大好きだよ……!!」 
高まった蒼星石の性感はついに限界を迎え、大きくのけぞりながらイった。それと同時に、ジュンも限界を迎え、白い精液を 
蒼星石の身体一杯にかけるのであった。 
プシャァッ……ピシャッ……ピシャッ…… 
蒼星石の身体が白いもので一杯になる。蒼星石は唇の横についたそれを舌で舐めながら、幸せそうに微笑んだ。 

『蒼の誓い』 4 

身なりを整えた蒼星石はいつものボーイッシュなスタイルだった。 
「なんだ、今日ぐらいあれを着てほしかったけどなあ……」 
残念そうにジュンが言うと、蒼星石は真剣な表情でジュンの左手をつかんだ。 
「この格好じゃないとダメなんだ」 
「そ、蒼星石……?」 
蒼星石は緊張した表情でズボンのポケットからそれを取り出した。 
「それは薔薇の指輪!?」 
ジュンは驚いた。ローゼンメイデンがマスターとして選んだ者と契約をかわす指輪。ドールとマスターを繋ぐ力の媒体。 
「確かあの爺さんと契約していたんじゃ……」 
「魂の契約は高齢者には負担が大きくて。最近体調が悪くなりがちだったから契約を破棄したんだ」 
「そうだったのか……」 
確かにドールが力を使うと強い脱力感を覚える。いくら不健康な引きこもりの身とはいえ、さすがに老人よりは体力がある。 
自分でもあれだけ疲れるんだから、ましてや老人には。 
「でも、何で僕を……」 
「ジュンじゃないと嫌だ」 
あまりにストレートすぎる答えに、思わずジュンは顔を赤くした。 
「ば、バカ、恥ずかしいことを言うなよ」 
「ジュン、いつもと立場が逆だね」 
「ば、バカ……」 
しばらく二人は無言で見つめあった。 
「ジュン、この薔薇の指輪に誓って……」 
ジュンは一度目を閉じて考え込んだ。だがそれも一瞬。開いた目には決意が宿っていた。 
「分かった。その薔薇の指輪に誓う……」 
ジュンは目を閉じると、蒼星石が差し出す薔薇の指輪にそっと口付けした。 
パァァァァァ……!! 
一瞬眩い光が部屋を満たした。 
「左指が熱い……」 
ジュンは左の薬指を見ると、これまで真紅・雛苺・翠星石と誓いをするごとに大きくなっていく指輪が、また少し大きく華美に 
なっているのに気づいた。 
「ジュン……ありがとう。ジュンの心を感じるよ……」 
蒼星石は幸せそうに自分の身体を抱き締める。そんな蒼星石を見て口元を緩めるジュンだったが、すぐ難しい顔になった。 
「さて、蒼星石とも契約したことをどうやって真紅たちに説明しよう……」 
それはかなりの難行であることは容易に想像できる。蒼星石に気づかれないようにため息をつきジュンであった。 

 おしまい 

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やっつけ仕事。雛苺とも契約しているとのオリジナル設定で。意味ないですが。 
今回のは書きたくなったやつのつなぎ回です。 
次回は、その書きたくなった『銀(しろがね)の誓い』を投下する予定です。いつ書けるか分かりませんが。 

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