職人さんがいない今のうち…
途中だけどな
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某月某日、昼。
いつもと変わらぬ平日、引き篭もり少年がパソコンに向かう午後。
今日は珍しく静かで、ジュンは通販サイト巡りを満喫していた。
人形達は下のリビングで各々――真紅はくんくんのビデオ、翠星石と雛苺は昼寝――寛いでいる。
一見平和そのもの。
しかし、予期せぬ訪問者が桜田家に旋風を巻き起こす――。
桜田家、ベランダ。
洗濯物の陰に隠れて、縁に取り付く者の姿がある。
黄色いドレス、南瓜形のパンツ、特徴的な広いおでこ……第六ドールの金糸雀だ。
ピチカートを連れて、今日こそ桜田家に侵入してやろうと息巻いている。
「……失敗に失敗を重ねて幾数回、今度こそは絶対に成功よ、ピチカート」
ベランダの縁を恐々歩き、物干し竿に掴まってするすると下まで降りる。
匍匐全身で窓の傍まで行ってから、壁に張り付いて待機。
「洗濯物を干したのが今朝七時半過ぎ、そろそろ取り込まれる筈」
辺りに注意しながら、侵入の時を待つ。
すると、まるで申し合わせたかのようにサッシが開いた。
「チャ――――ンス! 狙った通りよ!」
と、僅かに開いたサッシの隙間から部屋に飛び込む。
「策士金糸雀、華麗に侵入成功かしら!」
セーフ! かと思いきや、次の瞬間サッシは閉まっていた。
そして、部屋の中ほどまで一気に飛び込んだ金糸雀の後ろに佇む少年が一人。
「……で、お前は誰なんだよ」
対峙するジュンと金糸雀。
入って来たのはバレバレ……と言うより、外で煩いのでジュンが入れた、のである。
言い訳無用の、この状態!
「あれぇ!? ピチカート!」
ここで頼みの綱、人工精霊の方を見ようとした金糸雀だったが、窓にコツコツ当たっているのを見て、素っ頓狂な声を上げる。
どうやら、乗り遅れたらしい。
数秒間の沈黙。
「……あのね」
「何だよ?」
「ピチカートもおうちに入りたいのかしら」
「生憎、呪い人形関係は飽和状態だ」
「……駄目なのかしら」
「駄目だ……つーか、お前ローゼンメイデンだよな? 何しに来たんだよ」
ジュンの当たり前と言えば当たり前の指摘。
しかしそれでも、金糸雀は途端にしどろもどろになる。
「か……カナは、ば、薔薇乙女なんかじゃ、ないのかしら!」
「紛うこと無きローゼンメイデンか」
「ローザミスティカなんて知らないのかしら! ほしくないのかしら!」
「……狙いは、まあ分かってたけどな」
ジュンはこのニューカマーに、警戒するよりむしろ呆れていた。
こいつ馬鹿そうだな、と。
弱そうだな、と。
自分でも倒せそうだな、と。
……すると、ちょっとした悪戯心が湧き上がってくる。
別に失敗したら、真紅達を呼んで戦ってもらえば良いのだ。
ジュンは無言で金糸雀を押し倒すと、頬に平手打ちを喰らわした。
「痛っ!? ひぃッッ!」
数分後、金糸雀のドレスと下着は脱がされ、代わりに靴紐が全身を這っていた。
紐は首から股間の脇、乳房の周囲を巡って体の前後で所々四角や六角の形を為すよう複雑に絡み合っている。
所謂、亀甲縛りと言うやつである。
縄目から僅かにはみ出た肌が生々しい。
緊縛の上、首輪代わりの結束バンドから伸びる細い鎖を掴まれている所為で、逃げる事も、屈んで裸身を隠す事も叶わない。
「……そ、そんなに見られたら、は、恥ずかしいのかしら」
羞恥に顔を真っ赤にして、ジュンからの視線に耐える。
「恥ずかしいだって? その割にはお前、感じてるじゃないか」
手足をもじもじとさせる金糸雀を、ジュンは鼻で笑う。
「そ、そんなことないんだからッ!」
「じゃあ、ここがこんな風になってるのは何でだ?」
ジュンが既に固さを帯びた胸元の突起を指で小突くと、金糸雀の口から
「あぅ」
と、切ない音が漏れた。
赤い顔が、更に火を噴くばかりに色彩を増す。
「おいおい……こんなところでそんなに興奮してどうすんだよ」
ジュンは呆れた様子でそう言うと、部屋の隅にある段ボールの山に手を伸ばした。
箱を開け閉めして一分少々、小さな小包を取り出してジュンはニンマリと笑う。
手には、掌に収まるほどの鞭……バラ鞭の携帯ストラップが握られていた。
「さ、お楽しみはこれからだ」
そう言って、悪戯っぽく笑うジュン。
金糸雀は血の気が引きながらも、鼓動が高鳴るのを感じていた……。
手首のスナップを使い、軽く、何度も、白い肌に鞭を振り下ろしていく。
「ああっ! うあぅっ! きゃうっ!」
幾重にも分かれた鞭身が破裂音を鳴らす度、金糸雀は悲鳴を上げた。
だが、この悲鳴に熱い吐息が混じり始めている事に二人は気付いていない。
金糸雀は、徐々に苦痛以外の何かを感じていた。
ジュンもまた、只の悪戯感覚が、この非日常の行為に奇妙な興奮を覚えてしまっている。
ヤリたい盛りの年齢だからと言う訳ではない。
数週間前に見た、あるホームページの所為であった。
その日、冷やかしに見た通販サイトで何の気なしに飛んだリンク先。
あえぎの館――。
何の変哲も無いSMクラブとショップのサイト。
しかし、初めて見る倒錯の世界は少年の抑圧された性を鷲掴みにした。
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No.226 バラ鞭携帯ストラップ(8条、黒)
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本革製バラ鞭の携帯ストラップ。携帯性に優れ、外出先でのソフトな
プレイにどうぞ。
さあ、調教を開始めましょう。
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数日後、小滝奈村とか言う地方の営業所から小さな小包が届いた。
これでSMとは片腹痛い程に小さな鞭だったが、持った時に妙な満足感を覚えたのだ。
「さて、叩くだけじゃあ物足りないよな」
撓りを効かせた強い一撃を見舞った後、ジュンは責めを一時中断し、収納を探る。
「お……あった」
ジュンが懐かしそうに手に取ったものは……。
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今日の深夜か明日の昼くらいまでには何とかしますんで
まあ、嫌ならスルーで
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一際大きな積み木だった。
ジュンは、四角いブロックの上に三角のブロックを乗せ、テープで留めた。
「つ、積み木なんて出してどうするのかしら……」
「……これ? 木馬にするんだよ」
「もく、ば……ふ、むぐっ!?」
鞭打ちが一旦止んで安心したのも束の間、突然紐で猿轡をされる。
「騒がれるとウルサイからな」
ジュンはそう言って、まだ混乱冷め遣らない金糸雀を抱き上げると、
「――――――――!!!」
三角ブロックの上に跨らせた。
自重によって陰部が鋭角に食い込んでゆく。
「……うぐっ!! ぅあぐっ……! っぐ!!!」
即座に顔が苦痛に歪み、喉から搾り出すような呻き声を上げる。
耐え難い苦痛に悶えているのは誰の目にも明らかだ。
しかし、ジュンはそんな様子を尻目に、即席の木馬を揺する。
「!!! んぐ!! アグゥ!!! ……ぅぅ、あぅ……!!!」
「コルクの積み木だから柔らかいと思ったけど、やっぱキツイよな」
「っあ!!! グゥ!! ぅあ……」
瞬く間に全身脂汗にまみれ、眼からは涙が止め処なく零れ落ちる。
今の今までこのように淫靡な責めを受けた事のないであろう乙女の苦悶する姿に、ジュンは息を呑んだ。
股間は怒張しかかり、ズボンの下から自己主張を止めようとしない。
「ごめんな、もう少し……もう少しだけ」
ジュンは立ち上がり、ダンボールの山を掻き分ける。
息も荒く、何かを握り締めて膝を付く。
掌の内に在るは、赤い蝋燭。
ポッ、と火が蝋燭に燈る。
それは程無く周囲を溶かし、蝋の小池を造る。
SM専用の低温蝋燭だ。
少し傾けて、金糸雀の背中に滴らせる。
「……っく! うぐぅ!!! あぁ……」
蝋の熱さに身を仰け反らせ、その動きが股間に更なる激痛を与えた。
既に息も絶え絶え、足元は痙攣を続けている。
それでも責めは止まず、肩に点々と、花が咲くように零れていた。
やがて胸元にまで落とされる。
蝋は縄目で一旦留まり、溢れた分は次の縄目で留まりながら、股間まで流れた。
その姿は全身血まみれのようで、まるでジュンに殺されたかのよう。
「……綺麗だ」
ジュンはこの光景を、素直に綺麗だと思った。
金糸雀は何時の間にか気絶している。
優しく抱き上げ、頬にキスをした。
縄の呪縛からも解いてやる。
「ごめんな……熱かったろう」
ジュンは金糸雀を抱いたままスックと立ち上がり、
「綺麗にしてやらないとな」
そっと部屋を出た。
辿り着いた先は洗面所。
ジュンは水を出し、金糸雀の体から汗と蝋を流してやる。
体にこびり付いた蝋を全て剥がし終わったところで、漸く眼を覚ます。
「お、終わったの……?」
おどおどとした声で、ジュンに尋ねた。
ジュンは無言で彼女を洗い続けていたが、その言葉に洗う手を止める。
濡れた体を抱き上げて、自分の服が濡れるのも気にせず抱き締めた。
「へ……?」
急に優しく扱われ、戸惑う。
が、その間にも洗面所のボウルには水が溜まっていった。
一杯になったところで、行き成り金糸雀を頭から水に浸ける。
ガボガボと空気を吐いて苦しんでも、ジュンは容易には赦さない。
溺れる寸前でようやく顔を水から出してやり、しかし、また直ぐに浸け込むのだ。
数度それを繰り返すと、金糸雀はぐったりして動かなくなった。
疲労は既に極致か、叫ぶ事もすすり泣く事も無い。
「部屋に、行こうか」
「もう……堪忍、して」
残り少ない力で許しを乞う。
されどジュンは金糸雀の訴えを聞く事もなく、
疲労困憊の体をタオルで包み、
再び、自室へと――。
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続きが明日の昼までに―
長々スンマセン('A`)
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今から投下す
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「四つん這いになって、お尻をこっちに向けてくれ」
金糸雀を机に寝かせるなり、ジュンはそう切り出した。
「は、はひ……」
言われたとおりに四つん這いになり、控えめにお尻を向ける。
口調こそ乱暴ではなかったが、有無を言わせぬ力が込められていたのだ。
ジュンは柔らかいお尻を撫で回し、軽く尻肉を摘む。
「あっ、やぁ……」
怯えつつも尻をくねらせて、弱々しく喘いだ。
「可愛いやつだなあ」
ジュンは両の尻たぶをピシャリと打つ。
それから、ほんのり赤くなった尻と腿を掌で包み、横に開いた。
木馬の責めで痛々しく赤に染まった秘所が顔を出す。
「うーん、このまま入れるんじゃ幾ら何でもなあ」
「い……いれ、入れるって……ひぁっ!」
ジュンの舌による、唐突な秘裂への愛撫。
予想はできたとも思える。しかし、唾液を塗しながら舐め上げられる感触に体は反応し、
「ふあっ……はぁ……くぅん……」
よがる声とともに、球体関節がギシギシと音を立てた。
徐々に金糸雀の幼い花弁も蜜を滴らせ、ジュンの唾液に絡み付き、舌を伝って口内に広がっていく。
「……そろそろ、良い頃だな」
愛液の零れ具合に満足そうな笑みを浮かべると、ジュンは反り上がった男根をズボンから開放し、
一息に挿入した。
「ああっ! んぅ! ……くぅ。……あっ!!」
挿入直後から容赦無く動く肉棒に、苦痛とも快楽ともつかない叫びを上げる。
数分前に洗ったばかりの体は、もう玉のような汗が浮き出ていた。
だが、ジュンは決して動くのを止めない。
そればかりか、震え慄く少女に向かって非道にも……
「中で出すぞ」
と言い放った。
「いっ!? ……嫌! 絶対に嫌ッ!!!」
途端に暴れ出す金糸雀。
手足をバタバタと動かし、有らん限りの抵抗を試みる。
ジュンはそれを嘲笑うが如くストロークを速め、金糸雀の体をガクガクと揺らした。
「うっ! ……そら、イクぞ!」
一瞬、ジュンの竿が跳ね上がったかと思うと、熱い液体が止め処なく溢れ、子宮の中に注ぎ込まれた……。
「良かったよ……またやろうな
行為後、こぽこぽと泡沫を立てながら精液と愛液に塗れた肉棒を抜き、ジュンは言った。
何も知らぬ処女をあれだけ惨いやり方で犯しておきながら、その物言いは清々しくさえある。
「……もう嫌なのかしら! 帰して欲しいのかしら!」
穢された哀れな童女は啜り泣き、自らの開放を懇願する。
涙ながらの訴えは……しかし、今のジュンに効く筈も無く、ただ……
最後の審判を、彼に下させてしまった。
「なあ、そっちを見てみろよ」
言われたとおりに見る金糸雀。
その表情が凍りついた。
部屋の隅に設置されたビデオと三脚。
一部始終が、撮られていた。
「もし……こんな姿、真紅達に見られたら……どうする?」
その悪夢めいた言葉が届く前に、
金糸雀の意識は、闇の底に放り込まれた――。
数日後。
桜田家の居間で、楽しく性戯に興じる人と人形の姿。
人が人形を苛めている、おぞましい光景。
けれど、二人の姿はとても仲睦まじくて――。
「そうら、こいつはどうだ?」
「あんっ! 六条バラ鞭なのかしら」
「流石はカナだ、敏感だなあ」
「好きなモノは体が覚えちゃってるのかしら」
あれから数日後、すっかりジュンと金糸雀は深い絆で結ばれ……今日もプレイに耽っていた。
金糸雀はマゾの悦びを大悟し、ジュンの縄や鞭も巧みになって、以前の痛ましい行為はもう影も形も無い。
「今度は首輪で外にお散歩に連れてってほしいのかしら〜」
「ようし、じゃあそれは今日のおとっときだ!」
一応、平和そのもの。
しかし、無論納得しない輩もいるもので――。
「い、い、い、い、い……一体あれは何なんですかぁ!?」
「SMなのよー。雛は痛いの怖いからダメなのー。……でもちょっと羨ましいわ」
「そ、そんなコトを訊いてるんじゃねえです!」
他のドール達は大層不満であり、
精神的に穏やかではなかった。
「蒼星石……自慢の鋏でチ、チビ人間のアレをチョン切っちまうです!!!」
妬いてもいた。
「……それは駄目だよ」
「な、何を躊躇してるですか!? やっちまったモン勝ちです!」
「うん……でも、こうして無視され続けているのも最近何だか快感に……」
新しい快楽に目覚める者も。
「コイツはもう終わっちまったですぅ! 真紅っ! 真……紅?」
『ワタシハモウダメナノダワ。アンナヤツニゲボクヲトラレテ、メノマエデSMダナンテ…』
「ああそうですか、もうダメですか……」
壊れたり諦めたりする者も。
「へっへー、次は目隠しでプレイしてみようぜ」
「素敵なのかしら、ゾクゾクするのかしら!」
何はともあれ、幸福とは人其々、容易には量りがたいものであるけれど、
ジュンとカナは幸せです。
めでたくもあり めでたくもなし
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最後タダノ変態ジャネーカ('A`)