蒼星石は何故こうなったのか、その理由を考えていた。 
 自分がした事と言えばマスターに自分が何者であるかを知らしめた……たったそれだけだ。 
 だが『それだけ』が今の結果を生み出している。 
 自分は押し倒され、老人はその上に覆い被さったのだ。 
 繰り返し蒼星石は思考する。 
 何故それがマスターを狂わせたのだろう、と。 

「……やめて、マスター」 

 蒼星石は震える声で懇願する。 
 こんなの何時ものマスターじゃない。 
 如何して貴方がこんな事をするのですか、と。 

「何を言ってるんだ……誘ってきたのはお前じゃないか?」 

 老人は息を弾ませながら蒼星石のスリップに手を滑り込ませ、裸身を弄ぶ。 
 目を血走らせ、額に汗ばみながらも、一心不乱に行為に及ぶ姿は醜く、無気味でさえあった。 
 最早、信頼と親愛を寄せていた老爺は何処にも居ない。 
 低劣な欲望に身を焦がせた男が居るのみ。 

「……っ!」 

 ぎこちない、拙い愛撫ながらも、脇腹や乳頭に触れられる都度、身体は反応してしまう。 

「はぅ……。ま、マスター……やだ……止め……あぅ……ん」 

 押し殺していた声が次第に洩れ始め、何時しか老人の耳に届く程にまで大きくなっていた。 

「そうかそうか……そんなに気持ち良いのかい」 
「ち、違うよマスター……あぁぅっ!」 

 老人がズロースの上から指を捻じ込む。 
 下半身を蕩けさせる感覚に腰が浮き上がり、その拍子に股間の異変に気付かされた。 
 秘部が、ズロースの生地から染み出しそうな程濡れていたのだ。 

「おや、もうこんなに濡れてるねえ じゃあ、そろそろか……」 

 老人は御満悦で頷くと、ズロースに手を掛ける。 
 少しずつ中身を見るのが楽しみであるかのように、ゆっくりと擦り下ろした。 

「マスター! 一体何をするの!?」 
「決まっているだろう、お前の中に入るんだよ」 

 ズボンが下ろされ、老爺の男根が顔を見せる。 
 小さいながらも、それは立派にそそり立っていた。 
 ズロースを剥ぎ取り、足を無理に開かせる。 

「よし、行くぞ!」 
「嫌だぁっ! 止めてマスター! 嫌ぁっ!」 

 男根が挿入された。 

----
みたいな感じで如何か? 

----

「痛い痛い痛いぃっ!!! 痛いよぉ、マスタ――ッッ!」 

 手加減の無い欲望塗れの侵入に、蒼星石は絶叫する。 
 しかし一時の猶予も無いまま運動が始まり、肉棒が粘膜の壁を抉った。 
 激痛に全身が強張り、大粒の涙が溢れ頬を伝う。  
 それでも、欲望は些かの翳りも見せない。 

「良いぞ……良いぞ! お前は何て良いんだ!」 

 否……翳りを見せぬどころか、仮初とは言え一度は親子同然に過ごした少女の純潔を穢す背徳感が、 
 情欲を益々煽り立て、邪な感情を爆発させた。 

「もうあんな寝たきり婆さんのオ○マンコなど要らん! お前だけ居れば良い!!!」 

 狂おしく叫び、腰の動きを強く、小刻みにしていく。 
 激しい震動に蒼星石の身体はガクガクと揺れ、関節が今にも外れそうな程軋んだ。 

「お願いマスター……もう、赦して……」 

 今にも壊されそうな中、蒼星石は掠れた声で懇願する。 
 ドールの力を使えば、此れほど苦しみもせずに切り抜けられるであろう筈。 
 けれど、己がミーディアムの理性を信じたかった。 

 だが……これが現実だ。 

「お前ならきっとカズキを産んでくれる……カズキを産んでくれぇ!」 

「やだやだやだぁっ!!! 助けて翠星――」 

 思わず上げた、姉に向けての悲痛な叫び。 
 全てを言い終える前に唇を塞がれ、 
 自らの耳にすら、届かない。 

 唇はすぐに離された。 
 それだけではない。 
 あれほど乱暴だった運動も収まり、秘所を押し広げる感覚すら薄れつつあった。 

「ああ……何て事だ。こんな時に……そんな」 

 ……男性機能の限界であった。 
 高血圧症は、性的能力の減退に繋がると言う。 
 高齢もあってか、射精も出来なかった。 

「くそ……勃て、役立たずめ、ほら!」 

 中折れした息子に、祈りにも似た激を飛ばす。 
 その表情は余りに情けなく、威信を根こそぎ奪われた貌に見えた。 

「ああ……頼む、ああ……カズキ」 

 ガックリと落とした肩。 
 不意に、紐の輪が掛かる。 
 それは急に狭まって首を締め上げた。 

「!?」 

 後ろに下がる老人の体。 
 肉棒が抜かれ、破瓜の血と愛液が流れ出す。 

 疲れ切った心と身体。 
 だが、蒼星石は確かに見た。 
 老婆が老爺……柴崎元治の首を締め上げている姿を! 

 事の発端は、洗濯する為に上着を脱いだ事。 
 スリップとズロース姿に元治は「やっぱり女の子なんだねえ」と言った。 
 洋服が乾くまでの間は、店でお茶を喫しながらの取り留めのない話。 
 何気無く口にした「好きです」の一言。 
 純粋な好意としての言葉。 
 たったそれだけの事が、全てを変えた……。 

 ……血塗れになった床の上に佇む蒼星石。 
 老婆は――柴崎マツは――元治の首を締めた後、蒼星石に襲い掛かった。 
 痛みの残る体で逃げ回り、必死の思いで庭師の鋏を掴んだ。 
 そこからは良く憶えていない。 
 気付いた時には、二人とも事切れていた。 
 蒼星石は何も言わず、元治を見詰める。 

 ごめんね、ごめんねマスター。 
 ごめんね……ごめんね……ごめんなさい……。 

「ごめんなさい、マスター……」 

 蒼星石は庭師の鋏を喉元に押し付け、 
 力を、込めた。 

(終) 

----

以上、32がお送り致しました。 

不愉快だったら御免。 

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!