おにく 

 桜田家の居間のソファーで静かに寝息を立てている翠星石を、蒼星石はじっと眺めていた。 
普段はあまり見せない無垢で無邪気な素の翠星石の表情を一番長く見られるのは、彼女がこうして 
ソファーなどで転寝をしている時くらいだからだ。 
 可愛い。美しい。 
無垢で純粋な少女のようで、どこか大人びた色気が備わっていると蒼星石は感じた。 
 自身の呼吸が乱れ、胸が高鳴り、股間が疼き出した事に気付き、彼女は戸惑う。 
 そして蒼星石は生唾を、ごくり、と飲むと、ソファーに横たわる双子の姉に、ゆっくりと手を伸ばす―――……。 

 おにく 

 眠りから覚めた翠星石が、最初に覚えた感覚はくすぐられているような妙な感覚であった。 
身動きを取ろうにも体が重い。 
翠は寝起きで冴え渡らない頭で、今の状況を把握しようと思考する。 
 乱れる着衣、自分に圧し掛かっている双子の妹、妹の強張った表情。この時翠星石は、双子の妹の蒼星石に 
体を触られていた事を悟った。 
蒼星石の頬は紅潮し、呼吸は荒く、涙目であった。 
「そ、蒼星石! 一体なにを考えてやがるですか!」 
「……ハァハァ」 
「い、今すぐこの手をどけるですぅ!―――」 
蒼は翠の言葉を無視し、翠の細く白い首筋に舌を這わせた。「―――ひいっ…!」 

 おにく 

「――や、やめるですぅ……双子の姉としてのめいれ、ぁひい……ッ」 
 声を出そうにも、翠の白い首筋を這い回る蒼の舌がそれを阻んだ。 
動こうにも、蒼の両手が翠の両肩をソファーに押し付けている。語りかけようにも 
返ってくる返答は、浅く速い呼吸だけであった。 
 蒼は翠の首筋から耳元までゆっくり舐め上げ、翠のカラダは快感に震え、その唇からこぼれる物は 
甘い声。 
 耳元から蒼のどこかあやしい色気のある荒い呼吸が意地悪なほどよく聞こえる。 
そして荒い呼吸と共に、 
「―――翠星石……翠星石ぃ……」という声が呪文のように延々と翠の耳元で唱えられた。 
「あ……やめ、やめるですぅ……」 
 やめろ、という主張しつつも、翠のカラダは完全に抵抗を示さなくなり、その声も瞳も虚ろだった。 

 おにくッ 

「――翠星石ぃ……ぼくのもの、ぼくのものぉ……」 
 蒼は耳元でそうささやくと、翠星石の顔を両手で乱暴に掴み 
そのまま自分の顔へと引き寄せ、翠星石の唇を舐め、そのまま舌を口の中へ滑り込ませた。 
「むぐぅ……」翠星石は喘いだ。 
 翠星石は自身の口内へと進入してきた蒼星石の舌を拒む事はなく、むしろ歓迎するかのように 
蒼星石の舌に自分の舌を絡めた。くちゅくちゅと色っぽい音が室内に響く。 
 互いの舌が互いの口内で踊り狂い、互いに自分の鼓動が速くなるのを感じた。 
 そして蒼は唐突にキスをやめると、翠を乱暴に突き飛ばし、ソファーへと押し倒した。 
「ぼくのもの……ぼくのものぉ……ハァハァ」 
蒼の表情は弛緩し、唇から垂れる唾液、虚ろな笑みを浮かべているが涙目であった。 
 蒼は突如ズボンを下ろし始め、ズボンと下着を足まで下ろすと、そのまま翠の顔面にまたがった。 
「……して……くちゅくちゅう……あへ、へへ……」 
 蒼はキスの時と同じように翠の顔面を掴み、そのまま強引に自分の性器へと押し当てた。 
 蒼星石は快感に震え、歯を食い縛るもすぐに弛緩してしまった。 
蒼星石は虚ろな微笑を浮かべ、虚ろな瞳から流れる意味の分からない一筋の涙がこぼれ落ちた。 

 つーづーきー 

 翠星石は目の前にある蒼星石の性器に、おそるおそる舌を這わせた。 
「いひぃ……も、もっと……もっとぉ」 
 蒼はそう喘ぎ、カラダも刺激でビクン、と跳ね上がった。その反動でシルクハットが落ちる。 
そして蒼星石はさらに強い快感を得ようと翠星石の顔を強く性器に押し付ける。 
(い、息ができないですぅ……) 
 そんな翠星石の都合を蒼星石は知るよしもなく、ぐいぐいと性器を押し付け 
腰を振って性器を双子の姉の顔面に擦り付け、甘い声を漏らす。 
「んぐぅ! むぐぅ!」 
息ができない事を告げようと声を立てるも、性器に口を塞がれ言葉にはならず、むしろ蒼をさらに興奮させる結果に終わった。 
このままでは窒息すると判断したのか、無意識に翠は蒼を突き飛ばした。 
 蒼は翠のカラダの上に倒れたが、蒼は未だ快感を欲しており、自らの手で自身の性器をいじり始めた。 
「あへ……あへっ……」 

  おにく 

「はあっ……はあっ……」 
 呼吸すら困難だった翠星石はようやくまともに呼吸する事ができた。 
顔には妹の愛液が塗りたくられていた。 
 蒼星石は自分の性器をいじりながらゆっくり起き上がると、虚ろな瞳で 
息を荒げてソファーに仰向けになっている翠星石を見た。 
「……す、翠星石……っ」 
 蒼星石は翠星石のつま先に手を置き、そこからかかと、膝、太股へとくすぐるような 
いやらしい手つきで撫で上げた。気付いたら既に蒼の手はスカートの中。 
そして太股からさらに手は進み、スカートの中で、くちゅ、という音と翠の口からこぼれた甘い声が 
蒼の手が翠の性器へと到達した事を告げた。 
「……やめるですぅ……くひぃ……ッ」声と表情がどうしても弛緩してしまう。 
 蒼星石は翠星石のスカートをめくりあげ、その中に自分の頭を入れてしまった。 
太股に蒼の荒い息と、サラサラした髪が触れる。 
 翠星石は蒼星石が自分のスカートの内部で下着を下ろしているのを肌で感じた。 

 おにく 

「やめ……るですぅ……」 
 スカートの中で下着を無理矢理下ろそうとしている蒼星石に 
言葉になっていない声で呼びかけたが、もちろん蒼星石は返事をしなかった。 
足をじたばたさせ、懸命に抵抗を試みる。 
「……動かないで」蒼星石は呟いた。この声が届いているかどうかは分からないが。 
 蒼星石も姉のスカートの中で奮闘していた。じたばたと暴れる翠星石の足が 
先ほど落ちた蒼星石のシルクハットを蹴飛ばし、ソファーから落とす。 
 蒼星石は一旦脱がすのを諦め、翠星石の下着に顔をうずめた。 
「ひあっ……!」 
 そしてそのまま唇と舌が漏れた下着の向こうにある性器を刺激する。 
 翠星石も快楽でカラダが跳ね上がり、股を閉じたり開いたりを繰り返した。 
蒼星石も姉の股に挟まれて、さらに興奮する。そして蒼星石は自分の性器にも 
手を伸ばした。 

 おにく 

「んんぅ……」 
 蒼星石は翠星石の股間に顔面をうずめ舌を転がしつつも 
自分の性器を人差し指で撫で、甘く喘いだ。 
 翠星石は完全の抵抗をしなくなり、蒼星石にされるがままに弄ばれている。 
「やめ……やめぇ……て―――」 
 蒼星石はここぞとばかりに目の前にある翠の下着を引きずり下ろした。 
「―――ひいっ!」 
 蒼は下着を翠の太股辺りまで下ろすと、剥き出しになった性器に舌を這わせ 
翠星石の甘い喘ぎ声を誘った。 

 おにく 

「ひあぁ……―――」 
 翠星石は自分の性器に舌が這い回っているのを感じ、甘い喘ぎ声を上げた。 
自分の性器がスカートの中で、いやらしい音を立てているのが分かる。 
蒼は翠の性器に唇を当て、わざとらしく音を立てながらすすり始めた。 
「―――んあっ……!」 
反射的に甘い声を上げてしまい、翠は先ほどから紅潮している顔をさらに赤面させ、恥らった。 
「やめやがれですぅ!――んくぅっ……!」快感に負けじと何とかそう呼びかけたが 
どうしてもすぐに、甘い喘ぎ声を上げてしまい、慌てて口を両手で押さえる。 
手に、ぬるり、とした感触が伝わる。先ほど蒼星石に塗られた蒼星石自身の愛液だった。 
 翠は快感の絶頂を迎えたくはなかった、快感に溺れ狂い、みだらな声をあげる姿を蒼星石に見せたくは無かった。 
しかし実際に蒼星石が与えてくれるこの快感に、溺れ狂わぬ自信などなかった。 
 現に、もう絶頂を迎えようとしている。 
「いやぁ……あああっ……も……だめ……ぇ」 
「翠星石ぃ……ぃいいいっ……!」 
 絶頂を迎える寸前なのは、蒼星石も同じであった。 
自分の手が自分の性器を弄び、自身を快感に酔わせている。そして――― 
「―――すい、せいせきぃ……んああ……ああああっ!」 
 蒼星石はそう甘い声を上げると、ビクン、と体が大きく震わせる。翠より先に絶頂を迎えたようだ。 
 翠はスカートに頭を突っ込んでいる蒼の呼吸が大きくなったのに気付いた。 
荒い息が太股に直に当たっているからだ。 
 蒼星石は翠星石のスカートから頭を出すと、落ちているシルクハットを拾い上げ、それで股間を隠した。 
そして赤面し、どこかしょんぼりとした表情で涙でうるんだ目を伏せた。そして、 
「……ごめんね」と呟いた。 

 おにく 

「と……とにかくちゃんと服を着るですぅ!」 
 未だ快感に疼く体に鞭を打ち、翠星石は下ろされた下着を履きなおしつつも 
ズボンも下着も下ろしっぱなしの蒼星石にそう叱咤した。 
「う、うん……」 
 蒼星石はそううなずくと、黙々と足首にまでずり下がったズボンと下着を履く。 
 翠星石の体はまだ快感の絶頂を迎えておらず、体中が疼いていたが、それをこらえ、平静を保とうとしている。 
「まず、この双子の姉にセクハラした理由を述べるですぅ!」 
ハンカチで蒼の愛液にまみれた顔を拭きながら、翠は言った。 
「だって……その……」 
蒼星石はうつむいて恥ずかしそうにブツブツと呟くと、抱くようにして持っているシルクハットを強く胸に押し付けた。 
「だってもクソもねぇですぅ! 蒼星石は変態ですぅ!」 
「え……」 
 その言葉を受けて蒼星石は押し黙り、胸に抱いていたシルクハットを深く被った。 
泣きそうになっている表情を見られないように。 
 翠星石の体は未だに快感を欲していた。触るだけ触って、急にやめられて拍子抜けしていた。 
しかし、もっとしてくれ、などと蒼星石に懇願するのは、翠星石のプライドが許さなかった。 
「す、翠星石……」蒼星石は言った。「本当にごめん……変なことして……」 
「謝るくらいなら最初からするなですぅ!」 
翠星石は突き放すように鼻を鳴らして言った。 
しかしこの間にも、性器が疼いているのが分かる。早くこの体の疼きを鎮めたい。 
蒼星石はまるで叱られた子犬のようにしょんぼりとうつむていた―― 
「――ええい! お説教は明日ゆっくりしてやるです!」翠星石は立ち上がり突然、蒼星石の肩を強引に掴んだ。 
「今日はもう帰りやがれですぅ!」 
「え……で、でも……」 
 翠星石のひと睨みで、蒼星石は押し黙った。この間にもグイグイとドアの所にまで引きずられていく。 
翠星石は一刻も早く蒼星石を部屋から追い出したかった。はやく、はやく鎮めたい。 
そして翠星石はドアの外に蒼星石を放り出した。廊下に蒼星石が倒れる。 
「翠星石……ごめんなさい、ごめんなさい……もうしないから許してよぉ……」 
 蒼星石は廊下に力なく座り、半ベソをかきながら翠星石に懇願した。 
「ダメですぅ! 翠星石は大事な用事があるですよ!」 
 そう叱咤すると、ドアを勢いよく閉め、踵を返した。 
そして小走りでソファーへ登り、先ほどから疼いている股間に手を突っ込んだ。 
翠星石の表情が何かの糸が切れたように、快感に緩んだ。 

「――あひぇ……」 
 疼きに疼いた体がようやく求めていた快感を得、翠星石は甘い喘ぎ声を漏らした。 
もう誰にも見られていない。この部屋には自分1人で、自分がみだらな行為をしても誰にも見られない。 
これらの条件が揃い、ようやく翠星石のプライドが疼いた体に快感を与える事を許可した。 
そして下着を脱ごうと一旦性器から手を離す。ああ、この時間が惜しい、早く性器を弄びたい。 
 愛液がたっぷりと染み付いた下着が放られる。 
そして先ほどまで蒼星石の頭があったスカートの中にその手を突っ込み、性器を激しくいじり回した。 
「いあっ……ひいっ、ひゃうぅ……!」 
 甘い声が翠星石の唇から漏れる。もう我慢しなくてもいい、存分に快感を受け入れてもいい―― 
翠星石は先ほど自分の顔を拭いたハンカチを拾い、それを眺めた。 
……蒼星石の愛液がべったりと付着しているハンカチを―― 
「――蒼星石ぃ……ああぁ……らめでひゅぅ……」 
翠星石はハンカチを口に放り、口の中で弄び始めた。 
翠は虚ろな笑みを浮かべている、まるで快感に酔い痴れているように。 
 そして翠は口から蒼の愛液がたっぷり着いているハンカチを取り出すと 
今度はそれで自分の性器を擦り始めた。 
「――ひいっ!」 
 たまらず、翠星石は甘く喘いだ。 
「あぇ……ああぁ……」 
 何か熱い物が込み上げてくる、そろそろ快感の絶頂を迎えるのだと悟った―― 
「――……す、翠星石……?」 
 ドアからそう声が聞こえ、翠星石はピタリと動きを止め、おそるおそるドアの方を見た。 
声の主はやはり、蒼星石であった。蒼星石の息は荒く、翠星石が最も見られたくなかった翠星石自身の 
みだらな姿を凝視していた。 
「……み、見るんじゃ……ねぇですぅ……」 
 翠星石はあまりの恥ずかしさに、一瞬表情が歪んだと思ったら、その虚ろな瞳から涙を流し泣いた。 
  

「見るな……見、るなですぅ……」 
 翠星石はたくし上げていたスカートを慌てて下ろし、放り投げた下着を慌てて背中に隠して 
そう言った。涙がポロポロとこぼれ、嗚咽を漏らしている。 
「あ、ああ、あ、ご、ごめん……だから泣かないで……」 
 蒼星石は乱れに乱れた着衣を必死に直そうとしている翠星石に歩み寄った。 
しかし内心、自分の名前を呟きながら快感に酔い痴れてくれた事や、自分の愛液にまみれた 
ハンカチをおかずにしてくれたことが、すごく嬉しかった。 
 翠星石は泣きながらも弁解しようとするが、無駄な努力であった。 
「こ、これは、ちが……ちがっ……ぅ」 
 翠星石は泣きながらも、あくまで平静を保とうとしているようであったが、それも無駄な努力であった。 
嗚咽を漏らしながらでは、まともに喋る事はできていない。 
泣きながら必死に弁解をしようとする翠星石の態度と表情は可愛らしかった。 
それを蒼星石はどう慰めたらいいのか分からず、ただただアタフタしている。 
「す、翠星石……その、だ、誰にも言わないから……ね?」 
 蒼星石は強張った笑顔で両手の平を翠星石に向け、なだめるようにして優しく言った。 
これが蒼星石が思う最善の一言であった。 
「ふえ……ええええええええん!」 
 翠星石は顔を表情を涙で可愛らしくくしゃくしゃに歪めると、蒼星石の胸に抱きついた。 
「ばか! ばかばかばかぁ! そう、そうせいせきが……があ、あんな事するからですぅ……!」 
 翠星石は蒼星石の肩を、きゅっ、と掴んだ。これすらも、蒼星石にとっては快感だった。 
蒼星石はこのまま泣きじゃくる翠星石を押し倒して、体中を舐め回したい衝動を押さえ、優しく翠星石を 
抱きしめた。そして 
「ごめんね……ごめんね……」 
と、何度も優しく呟いた。 

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