常連さんから許可(?)が出たようなので投下させて頂きます。 
最近不足気味の真紅*JUMです。前半は殆どエロが無いですが後半からエロを入れるので 
こちらに書き込ませていただきます。 

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■Scarlet Palace(紅の宮殿) 1-1 

+++???+++ 

気付くと俺はそこに居た。 
そこは凍っていた。誰も居ない、何も無い、ただ、雪が降っているだけの寂しい場所だ。 
深々と降り続ける白銀の雪。その雪は、止まる事なくひたすら振り続けている。 
静寂が包むその街に降り立つ一つの影。その影の正体は紳士服を着た、ウサギだった。 

「こんにちわ、坊ちゃん」 

そのウサギはそう言うと軽く会釈をし、こちらへゆっくりと近づいてくる。 
「何か私に御用かな?」 
ウサギはこちらをジロジロと見ながら一人で「フム」「これはこれは…」等、勝手に納得しては再びこちらをジロジロ見る。 
そんな動作を2,3回繰り返した後、こう言った。 
「面白いお方だ、貴方はこの世界の人間ではないな」 
180度振り返るとウサギは、再び口を開いた。 

「綺麗」は「汚い」 
「治す」は「壊す」 
「好き」は「嫌い」 
「在る」は「無い」 

一呼吸感覚を置き………。 

「これが美しき因果律の在り方…貴方もまた…おっと…」 

意味の分からない事を言い出し、急に口を止める。 
「これを言ってしまってはお楽しみが減ってしまいますね」 
何処からとも無く、漆黒色のステッキを取り出すウサギ。 
そしてそのウサギは、取り出したステッキで怪しい魔法を唱え始める。 
「世界の未来は無限です……今と言う現実から幾つもの未来が枝分かれしている……」 
「何の為に、この世界に貴方が赴いたかは解りませんが、折角来て下さったのだ、最高の楽しみを送呈しましょう」 
「最も美しく、最も汚い物語を……・」 

カッ!と辺り一面が真っ白に光る。明るすぎて何も見えない 

「これから貴方が見る世界は、幾つにも分かれた未来の内の一つ…」 
「もし、見たくないなら目を逸らせば良い」 
「もし、見たいのならばこのまま目を開き続けてればいい……」 
「貴方にはそれが出来るのだから」 
明るすぎる輝きはやがて少しずつ柔らかな、優しい光に成って行く。 
「尤も……私には貴方が此処に来た理由が、”この未来”を見せて貰いたいから、と見えますがね…フフフ」 

■Scarlet Palace 1-2 

+++AM.7:30分 ジュンの部屋+++ 

暖かな日光と、雀の鳴き声が僕の目覚まし時計だ……。つい、この前までは。 
だが、今は違う。毎朝、毎朝、毎朝、本当に嫌になる。 
「ちびぃー人間!朝ですよ!朝!おーきーなーさーいー!」 
そう言うと翠星石は、ジュンの寝ているベッドへ向かって豪快にダイビングをかます。 
「グブヘェッ!」 
向こうにそのつもりは無いだろうが、あのダイビングはいつもピンポイントでミゾオチにブチ当たる。 
本当は狙いって居るのではないか?と思えるほど的確だ。 
「ま〜ったく、ちび人間ときたらこうして毎日毎日翠星石に起こして貰わないと起きられないなんて、しゃーないやつですねぇ」 
ベッドの中でうずくまるジュンを横目に、やれやれと言った形でため息を付いた。 
「だ、だれも起こしてくれなんて頼んで無いだろ…ゲホッゲホッ……あー、吐くかと思った」 
「うるさいです、7時間も寝れば人間十分に生きていけますです」 
ちょこん、とジュンの傍に座る翠星石。 
「夏休みも、もうスグ終わりなのです。時間を大切に使いやがれなのですぅ」 
「い、言われなくたって分かってるっての!」 
そう言うとジュンは時計に目をやる。時計はAM7:30を指していた。 
「ってまだ7時30かよ!?」 
「一々うっせーリアクションするですねー。今日は図書館に行くのじゃなかったのですか?」 
「そ、そうだけど図書館が開くのは10時からだろ!あと2時間も在るじゃないか!」 
「だーかーら、時間を無駄にするなって言ってるんですぅ。ちび人間は夏休みが終わったら学校に行くのでしょう?だったら残りの夏休み…1分1秒も無駄にしちゃダメですぅ」 
「だからってこんなに早くに起こさなくても………」 
「ぐーちーぐーちうるせーです!やる事がないなら朝のシャワーでも浴びて来たらどうですかってーんです!」 
「……はいはい…分かりましたよ」 
そう言うとジュンは言われたとおりシャワーを浴びに行くのか、着替えを持って下へ降りていった。 
トントンとテンポ良く階段を下りていく。 
「………」 
ジュンは考えていた、彼女達の事を。そして、自分のことを。 
「アイツは………強いよな」 
ボソリ、とつぶやく。アイツとは勿論翠星石の事だ。 
「やりたくも無いアリスゲームに無理矢理参加され、一度殺され、更には最愛の妹まで失ったって言うのに……」 
ジュンは分かっていた。翠星石がどうして最近、無駄にハイテンションなのか。 
「見せたくないんだろうな………きっと」 
パジャマを脱ぎ捨て、風呂場へ入る。朝、シャワーを浴びるなんて良く考えたら今まで一度もした事が無い。 
「そういえば……、朝シャワー浴びるなんて初めてだな」 
初めての朝の風呂場はジュンにとって少々、神秘的な感じがした。 
数秒後、風呂場から水の流れる音がし始めた。 

+++A.M.7:39分 ジュンの部屋+++ 

ジュンが風呂場へ行った後スグに真紅が目を覚ました。 
ガチャリ、と鞄の蓋が開き、真紅が顔を出す。 
「…………」 
無言のまま辺りを見回す真紅。 
そこにはジュンの部屋を掃除している翠星石の姿だけが在った。 
「あっ、真紅おはよーですぅ」 
パタパタと手際よくベッドを綺麗にしたり、机の上を整理したり……まるでメイドの用だ。 
「お、おはよう…翠星石」 
翠星石はスグに分かった、真紅の挙動が少しおかしい。 
掃除の手を止め、真紅の元へ近づく。 
「どうしたんですか真紅?そんなに怯えて?」 
その質問に一言。 

「ジュ、ジュンは何処?」 

とだけ真紅は答えた。 
「ちび人間ですかぁ〜?今頃シャワーでも浴びてるんじゃねーですかねぇ」 
「そ、そう、それなら良いわ」 
起き上がり鞄から出て、服装を整える真紅。 
「…なーに怯えてやがるんですか?真紅?」 
「え、わ、私、そんな風に見える?」 
辺りを恐る恐る見回し、びくびくしながら物音が立つ度に、そこへ視線をやる真紅。これじゃあ、おかしくないと見える方がオカシイ。 
「すげー見えやがります。もう、何て言うか挙動がアヤシイです。怖い夢でも見た………」 
そこで翠星石は思い出した、真紅の言葉を。”ジュンは何処?”と言う言葉を。 
「もしかして……真紅、あのちび人間に夢の中で何かされたんですか?」 
ビクンっ!とその瞬間真紅が跳ね上がる。どうやら図星のようだ。 
「や、やっぱり何かされたんですね!?あのちび人間めぇ……とうとう真紅に毒牙を伸ばし始めやがりましたか!」 
「ば、馬鹿ね!幾ら私や貴方と契約してるからと言ってもジュンは人間よ?夢の中に入ってくる能力なんて…あ、在るわけ無いじゃないの!」 
やたらと必死に抵抗する真紅。 
「と、とにかく何でも無いわ。気にしないで」 
「し、真紅がそう言うなら翠星石はもう何も聞きませんけど……何かあったら力になりやがりますよ?」 
心配そうに真紅の顔をのぞく翠星石。 
「ありがとう、心配しないで翠星石。私なら平気よ」 
部屋の扉を開け、したの階へ向かう真紅。 
「何処に行くんですか?」 
「朝ご飯よ、貴方も一緒にどう?」 
「翠星石は……もう少しちび人間の部屋を綺麗にしてから行くです。この部屋埃っぽくてかなわねーです」 
「そう……頑張ってね」 
「はいですぅ」 
そう言うと真紅は、扉を閉め下の階に下りて行った。 

+++A,M:8:20分 ジュンの部屋+++ 

ガチャリ、と扉の部屋が開けられる。 
部屋に入ってきたのはこの部屋の主ジュンだった。 
部屋の中では真紅と翠星石が、朝の紅茶時間を楽しんでいる。 
「な、何か綺麗になってないかこの部屋」 
「翠星石が綺麗にしてやったですぅ。感謝しやがれですこのちび人間」 
「あ、ありがとう。掃除苦手だから助かる」 
「どういたしましてですぅ、今度ポッキーでもおごりやがれですぅ」 
「はいはい……」 
パジャマを綺麗にたたみベッドの上に置く。 
真紅の方へ視線をやるジュン。いつもだったら「おはよう」の一言ぐらいは在る筈なのだが……。 
真紅から挨拶が無かったのでジュンは自分から真紅に話しかけた。 
「真紅起きてたのか、おはよう」 
「……」 
反応が無い。反応が無いどころか、挨拶した途端に、読んでいた本で真紅は自分の顔を隠した。 
「……真紅?どうしたんだ?礼儀には五月蝿いお前が…」 
心配になってジュンは、真紅に触れようとしたその時だった。 
「お、お、おはよう。ジュン」 
と言う言葉が返ってきた。 
「お、おはよう。どうしたんだ?具合でも悪いのか?」 
返事が返ってきたことに安心したのか、ジュンは真紅の傍を離れ、自分の机に向かいPCの電源を入れた。 
「この子、朝から調子がおかしーんですよ。翠星石がおはようって挨拶したときもちょっと変だった……」 
「な、何を言ってるの翠星石!私は変じゃないわ!いつも通りよ!」 
翠星石が全てを言い終わる前に、真紅の怒鳴り声で彼女の言葉はかき消されてしまった。 
急に大声を真紅が上げたため、ジュンも流石に驚いたのだろう。真紅の方をずっと見つめていた。 
緊迫した空間が広がる。 
「そ、そうだよな。大して変でも無いよな」 
「そ、そうですねぇ、翠星石もそう思いますぅ」 
2人ともこれ以上、真紅に質問するのはマズいと感じたのか、一応納得したと言う事で前の雰囲気に戻った。 
ジュンも成長したのだ。前までのジュンだったら「人が心配してやってるのになんだその態度は!?」とか言ってたに違いない。 
しかし、ジュンは見てしまった。真紅の顔を。だから敢えて変と分かっていても、真紅には触れないようにした。 
普段は雪のように白く、美しい真紅の顔が耳の先まで真っ赤になっていたのだ。 
(……何かあったのかな。本で顔を隠さないほどいけなくなるほどあの真紅が照れるなんて) 
(……絶対に変ですぅ。後でジュンが居なくなったら真紅に聞いてみようですぅ。原因は絶対にジュンなのですぅ。翠星石のセンスがそう言っているのですぅ) 
非常に何とも言えない雰囲気が漂う。 
窓から入ってくる清々しい朝風だけが、その雰囲気を流してくれた。 

+++A,M9:30分 ジュンの部屋+++ 

「それじゃ、行って来るよ」 
ジュンはそう言うと、鞄を手に持ち部屋を後にする。 
「行ってらっしゃい」 
「行ってしっかり勉強してきやがるですよぉ」 
後ろから声がした。階段をパタパタと下りて行く。 
玄関で靴を履いていると、扉を開けて金糸雀が入ってきた。 
「おはようなのかしらー!お邪魔するかしらー!」 
「おはよう」 
金糸雀の挨拶に、挨拶で答えるジュン。 
最近、コイツが一番礼儀正しいドールなのでは無いかと思えてきた。 
何時の間にか桜田家の常連に成っているが、まぁ雛苺の代わりだと思えば全然平気だ。 
むしろ、僕にとっては嬉しい。静かにならずに済む。 
「あらー?何処に行くのかしらー?」 
「図書館だよ、勉強しに」 
「図書館って、あの本が山程ある建築物の事かしらー?」 
「そうだよ」 
靴を履き、扉に手をかけるジュン。 
「人間は色々大変なのかしらー。みっちゃんも毎日仕事で大変だって言ってたかしらー」 
「そうそう、人間は色々大変なんだよ。色々と。じゃーな」 
「ばいばいなのかしらー」 
トテトテと階段を上がって行く金糸雀。 
扉を閉め、外に出ると数歩歩いてジュンは大きな伸びをする。 

「……お前達ほどじゃ、ないけどな」 

ぼそっ、と呟くと、図書館へ向けてジュンは歩き始めた。 

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とりあえず今日は此処までです。板汚し申し訳ないです。 
……エロ板なのにエロが全く無くてすみません orz 
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■Scarlet Palace 1-3 

+++AM9:35分 ジュンの部屋+++ 

そこは静まり返っていた。朝だとは思えないほどに。 
真紅は本を読み、翠星石は紅茶をすすりながら菓子を口に運ぶ。 
長い、一分一秒が非常に長く感じられた。 
チクタクチクタク、と時計だけが動いている。 
もう10分位経っただろうか。 

「あ、あの真紅……」 
「ね、ねぇ、翠星石…」 

2人の台詞が同時に重なった。 

「な、なんですか真紅?」 
「そ、翠星石こそ一体、どうしたのかしら?」 

……沈黙が再び戻ってきた。 

「…………」 
「…………」 

さっきより更に重く、淀んだ空間が出来てしまった。 

「し、真紅が何も言わないなら翠星石が質問するです!」 

「………何かしら」 
「一体、何があったんですか…真紅。今日の真紅は真紅じゃないです……」 
「………」 
真紅は答えなかった。ただひたすら、本に目を通しているだけで。 

「わ、私は真紅の事が本当に心配なんですよぅ。真紅の身に何かあったら、もう……」 

翠星石はポロポロと涙を流しながら真紅に言った。 
この目は、興味本心で聞いているのではなく、本当に心の底から真紅の事を心配しているのだ。 
「もう……、姉妹を失いたく無いのです……真紅まで居なくなったら…もう翠星石は……」 

*** 

「あ、あちゃー……何だか非常に入り辛い雰囲気なのかしらー……」 
壁に耳有り障子に目有り、とはまさしくこの事だろう。 
桜田家に遊びに来た金糸雀は、部屋に入ろうとした所で彼女達の話を聞いてしまったのだ。 
「と、とにかくここは薔薇乙女一の頭脳派として、もう少し様子を見るべきなのかしら……」 
足音を立てないように、金糸雀はゆっくりと扉に近づいた。 

*** 

「……ごめんなさい、翠星石」 
「えっ…………」 
真紅はそう言うと、持っていた本を床に置く。 
「貴方をそこまで心配させてしまって……、挙句の果てに、涙まで流させてしまって…」 
「真紅……」 
真紅はそう言うと、ふぅ、とため息を一度付き、翠星石に言う。 
「別に……、そこまで心配するような事じゃないの……アリスゲームだって関係ないわ」 
「じゃ、じゃあ、一体どうしたって言うんですか?」 
「ちょ、ちょっとね……貴方の言った通り、夢の中でジュンと色々在ったのよ」 
「ジュ、ジュンと何が在ったんですか?」 
真紅の顔がまさしく名前の通り、真っ赤に染まる。 

「夢の中で……ね…私は、ジュンと躯(カラダ)を重ねていたの……それも、人形ではなく、人間の、女の子の躯として…」 

真紅の顔が真っ赤になっていく中、翠星石の目はキョトンとしていた。 
翠星石が驚く気配は全く無い。 
「そ、それは夢の中でジュンとヤったって事ですか……?」 
「ヤ、ヤったなんて汚い言葉、薔薇乙女の1人である貴方が使う物ではないわよ!」 
「ご、ごめんなさいですぅ」 
「と、とにかくそれだけ。夢の中だから別に大した問題じゃないわ。朝ジュンの顔が見れなかったのも夢のせいよ」 

「そ、そうですか……」 
「お、驚かないのね、翠星石」 
「べ、別にそんなの驚く事じゃねーですよぅ。愛する者同士が体を重ねるのは、人間の世界では至って普通の事じゃないですかぁ」 

翠星石は全く驚いていなかった。むしろ不思議がっていた。 
”何故そんなことであそこまで恥ずかしがるのだろう”と。 
それと同時に、真紅へ対する”彼女を失う恐怖”が消え去っていった。 

「で、でもね翠星石?私達は”薔薇乙女”なのよ?その私が、人間の躯を持って、快楽に溺れる夢を見るなんて………」 

そこで翠星石は理解した。真紅は、異常なまでに”薔薇乙女”を意識しすぎなのだ。 
確かに私達は、”一点の曇りも持っていない無垢で、至高の少女”を目指すためにお父様に作られた。 
でも私達はただアリスに成らなければいけないだけで、それ以外の事は特に拘束されていない。 
たとえば、人を好きになる事も彼女達の自由だ。 

「真紅は…・・・…ジュンの事が嫌いなんですか?」 
「きゅ、急に何を言い出すの?翠星石」 
「真紅は、ジュンの事が嫌いなんですか?好きなんですか?」 
「わ、私は………」 
真紅の口が止まる。 
「確かに、私達は”穢れの無い至高の少女”になるために生まれてきた存在です。でも……」 
「でも……?」 

「他人を好きになっちゃいけないなんて…お父様には言われてないです…」 

それを聞くと、真紅の顔は驚きを隠せない様子だった。 

「翠星石……貴方、お父様の意思に逆らう気なの?」 
「だ、だれもそんな事言ってねーじゃねーですか!」 
「私には、そう言う風に聞こえるわ」 

やはりそうだ。真紅はお父様の理想に拘り過ぎている。 

「躯を重ねたり、キスをしたりするのは別に汚らわしい事じゃねーって事です!翠星石が言いたいのは!」 
「翠星石……本気で言っているの?」 
「本気も本気ですぅ!」 
「そんな……信じられないわ」 
「信じられねーのは翠星石も同じですぅ!」 
「良い事、翠星石?”快楽”は彼の”7つの大罪”に属するほど酷く汚らわしい感覚なのよ?それを薔薇乙女である貴方が肯定するなんて……」 
「じゃあ何で真紅はその夢を見たんですか!しかも相手はジュンですよ!」 

「そ、それは…………」 

「翠星石が答えてあげましょうか?真紅はジュンの事が好きで、ジュンにそうされたいと心の何処かで思っているからですよ!」 

「!!」 

翠星石が勝利したのは明らかな事だった。真紅はどう言い返せば良いのか分からずただあたふたしているだけだ。 
真紅がジュンを好きな事は、前々から十分に分かっていた。白雪姫の練習をした時、洋服を洗濯中に行った真紅の行動。 

「……わ、私は……」 
翠星石は真紅の手を取ると言った。 
「真紅は……、お父様の言いつけに拘り過ぎているのです………。例え、この世にどれだけ穢れの無い至高の少女が居たとしても、 
その少女はいずれ、誰かに恋をするのです…」 
「翠星石……」 
「例えそう言う事が起きたとしたら、その少女が何をするのか翠星石には解りません。でも、キスをする事や躯を重ねるのは一種の愛情表現だと 
どこかの本で見た事がありますぅ…。例え、”快楽”がどれだけ汚い存在であろうとも、考え方次第ではとても美しく見える存在になる…と翠星石は思うのですぅ…」 

「………」 

真紅は完全に黙り込んでしまった。 
「と、とにかくもう少し自分に素直になったほうが良いですよぅ。訳も分からず、真紅が逃げてたらちび人間も心配するですよぅ」 

「……よいのね、翠星石は」 

「…ぇ?」 
「強いのね、翠星石は」 
「ど、どうしてですか?」 
「最愛の妹を失って、もう泣きたい程に今でも辛いのでしょう…?なのにジュンの前ではああやって、ジュンの身の回りの手伝いをして涙を無理にでも 
抑えて……。それに比べて私は、ちょっと変な事が在っただけでもこうやってうろたえてしまう……」 

「す、翠星石は真紅が思ってるほど……グスッ、つ、強くなんて…グスッ、無いのですよぅ」 

ポロポロと涙を流しながら、翠星石は答えた。 
そして、その翠星石を優しく抱きかかえる真紅。 

「し、真紅…?」 
「ありがとう、翠星石。貴方のおかげで、何かが吹っ切れた様な気がするわ。そして、ごめんなさい。つまらない事で貴方を悩ませてしまって」 
「べ、別に謝る必要なんて…グスッ、ねーですよぅ……。姉として…グスッ…当然の事をしたまでなのですから……」 

「翠星石……」 
「し、真紅ぅ…」 

2人で抱き合い、お互い静かに涙を流す。 
家での主導権を握っているような2人だが、今は、彼女達の姿が非常に小さく見えた。 
まるで、雛鳥の様に。 

だけど、何処か、それは、美しく、そして、儚かった。 

*** 

「み、見ちゃいけない物を見てしまったような気がするのかしらー……此処は、見つかる前に逃げるのかしらー…」 
まだ、金糸雀は見ていた。そして、まるで泥棒の様にソロリ、ソロリと足音を立てず階段を下りて行き、桜田家を後にした。 
「こ、これは非常に扱いが危ない情報なのかしらー。しばらくは……薔薇乙女一の頭脳派として様子を見るのかしら」 

*** 

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今日の投下分です。一部文字訂正が「選択中」→「洗濯中」です。 

脳内設定多すぎですが、最後まで読んでくだされば幸いです。 
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■Scarlet Palace 1-4 

+++PM5:35分 街の本屋+++ 

「……何処も似たり寄ったりな参考書ばかりだな」 
ジュンはそう言うと、手に持っていた教科書の参考書を元の場所に戻す。 
彼は図書館での今日のノルマを終わらせ、家に帰る途中に本屋に寄っていた。 
「……久しぶりに漫画でも何か買って行くかな?気分転換になるだろうし」 
そうして漫画を売っている階へ足を運ぶ。 
「相変わらず漫画も凄い量だなぁ」 
適当に面白そうな漫画を探して、手に取る。 

「って何だこれ」 

ジュンが手にしたのは、普通の漫画では無くピンクな内容……いわゆるエロ本だった。 
「何でこんな物がここにあるんだよ…」 
と言いつつも、その本に目を通してしまう。 
ジュンもまだまだ思春期なのだ。 

「……」 

いつの間にか、凄い集中して読み始めるジュン。 
自分の下半身が少し熱くなるのを感じていた。 
「………真紅達の体も、こんな風になっているかな」 

漫画のキャラクターを自分と、薔薇乙女達に変えて妄想する、ジュン。 

(…犯したい) 
ドクン、と心臓が一回だけ高鳴った。 

「……って何で僕はこんな事考えてるんだ!」 
本を閉じ、元の場所に戻し、本屋を去る。 

「何考えてるんだよ、僕は……。最低だ…」 
家に帰りながらジュンはそう思った。 
(でも……仕方ないよな…あいつらが家に来てから、全くオナニーしてないし…) 
ジュンは、オナニーが嫌いだった。否、行為をする事は好きだがその後が嫌いだった。 
インターネットなどで手に入れたエロ画像を見ながら自分の妄想で、自分のモノをしごく。 
確かにキモチが良い事だ、だが、その後の虚無感がたまらなく彼は嫌いなのだ。 

そして、彼は過去一度だけ、薔薇乙女をオカズにオナニーしてしまった事が在る。 
勿論、相手は真紅だ。 
思い出したら、また最悪の気分にみまわれた。アリスゲームを見た後だから尚更だ。 

「はぁ…………、真紅」 

たまらなく気持ちの悪い”何か”が自分の中で動き出してしまったような気がする。 

何時から僕は彼女の事を好きになったんだ? 
僕は本当に彼女の事が好きなのか? 
僕はただ、あの美しく、穢れの無い体を、犯して、壊して、彼女の泣き顔を見たいだけじゃないのか? 

その”何か”はひたすら、”真紅、真紅、真紅”、と叫び続けていた。 
何なのだろう、気持ち悪い。ため息を付きながらジュンはそう思った。 
気付くと彼の足取りは速く、既に家の近くまで帰って来ていた。 

■Scarlet Palace 1-5 

+++PM5:50分 桜田家+++ 

「ただいま」 
靴を脱ぎ家へ上がる。 
「あらジュン君、お帰りなさい」 
のりがリビングルームから顔を覗かせた。 
「ただいま、真紅達は?」 
「テレビを見てるわよ」 
「そ、そう」 
のりを避け、リビングルームをちらっと覗く。 
真紅と、翠星石が2人でテレビを見ていた。 
勿論、番組はくんくん探偵だ。 
ジュンが帰ってきた事に気付いたのか、真紅達は後ろを振り返り 
「あっ、ちび人間お帰りなのですぅ」 
「おかえりなさい、ジュン」 
と、放った。 
「た、ただいま」 
何故か、真紅の顔を見る事が出来なかった。 
「どうしたの?ジュン?」 
「い、いや、何でもない」 
そう言って自分の部屋へ歩き始める。 
「もうスグご飯だからね」 
のりはそう言うと、キッチンへ戻っていった。 

「どうしたんでしょうね?ちび人間。真紅に冷たくされたのがショックだったのでしょうか」 
「そ、そんな。ジュンはあれ位でブルーに成る程弱い人間じゃないわ!」 
「じょ、冗談ですよ〜。何もそんなにムキにならなくても……」 
手をグーにして翠星石を睨む真紅。 
「ご、ごめんなさい。ちょっとムキに成りすぎたわ」 
そう言うと、まだくんくん探偵の途中だと言うのに真紅はリビングルームを出ようとする。 
「何かするのですか?」 
すかさず、翠星石が質問を入れる。 
「一応、ジュンに謝っておこうと思って」 
「そうですか」 

階段を上がって行き、ジュンの部屋の前で止まる。 
そして……。 

コン、コン、とノック。いつもならノック等しないのだが、何故か今日はしたほうが良いと思いノックをする真紅。 
「だ、誰だっ!?」 
中のジュンは、酷く驚いた様な感じで返事をした。 
「私よ、ジュン」 
「し、真紅か……」 
「入るけど、良い?」 

”何故”そんな事を聞いたのだろう。真紅はそう思った。 
この部屋は私の下僕のジュンの物だ。ならば下僕の部屋に入るのに態々許可など取る必要ない。 

「ちょ、ちょっと今着替えてるから用が在るなら後で食事の時にしてくれないか?」 
「別に、用って程の事でも無いから入られたくないならここで言うわ」 
「え………?」 

「今朝はごめんなさい」 

「………」 
返事が無かった。 
「ジュン……怒っているの?」 
扉越しの真紅の声は、何故か非常にか弱く聞こえた。 
「い、いや、怒ってるワケ無いだろ」 
「じゃあ許してくれるのね?」 
「あ、当たり前だろ…ってか、あんな事で怒るほど器の小さい人間じゃ無いよ僕は…と言うか、真紅こそ本当に大丈夫なのか?」 
「な、何が?」 
「いや…今日の真紅は何か変だな、と思って…部屋に入ってくるときにノックはするし、わざわざそんな事で謝りに来るし…」 
「私は平気よ、って言うかなあにそれ、まるで普段の私が酷いみたいな言い方じゃない」 
「い、いや誰もそんな事…・・・と、とにかく何でも無いならそれで良いんだけど」 
「心配させて御免なさいね」 
「う、うん」 

「じゃ、じゃあそれだけだから私は下の階に戻るわね」 
「わ、わかった。すぐに僕も行くよ」 
「早くした方が良いわよ、もうスグ夜ご飯が出来るらしいわ」 
「う、うん」 
ジュンが返事をすると、真紅が扉の前から立ち去って行く音がした。 

+++PM5:51分 ジュンの部屋+++ 

「………、最悪だ。今この場に拳銃が有れば、自分の脳味噌を、間違いなく吹き飛ばしてるよ…」 

ジュンは、今まで、感じた事が無い、最高の、嫌悪感に襲われた。 
「何で今、真紅が来るんだよ……」 
ジュンは、自分の精液が掛かった真紅の寝顔の写真を処理しながら呟いた。 

完全に油断していた。まさか、くんくんを捨ててまで、僕に謝りに来るなんて。 
考える事すら出来なかった。 

「…絶対にバレた」 

しかし、部屋に真紅が入って来なかったのは、本当に、不幸中の超幸いだろう。 
これはもう、神の気まぐれに感謝する他無い。 

「……、何で真紅は態々ノックなんてしたんだ?」 
おかしい、やはり今朝から真紅は絶対にオカシイ。 
あの高飛車な真紅が、部屋に入るのにノックをして了承を得るなんて有り得ない。それも、僕の部屋に。 

「でも……、真紅の心配ばかりしてちゃダメだよな…自分の心配もしないと」 

自分の心配とは、”学校へ行くための勉強”と”理性を保ち続ける事”だ。 
だが、後者についてジュンは、非常に恐れていた。 
「何で……もう2度とやるまいと、自分の腕を傷つけてまで誓ったのに……」 
そう言うとジュンは、自分の右手の洋服を捲くる。 
彼の二の腕には、10センチ程の縫われた様に見える、傷があった。 

彼は、過去、真紅を妄想で犯して、自分のオナニーのオカズにしてしまった事を非常に嫌悪し、2度とすまいと、刃物でで自分の腕を斬り付けたのだ。 
ざっくりと、血が止まらなくなるほど、深い傷を。 
のりや真紅、翠星石は何故こんな傷を負ったのか非常に心配していたが、ガラスで切った、と態々窓ガラスを割ってまで言い訳を作った。 

「何で……、やっちゃったんだろう」 

逢えるかどうかも解らない、”お父様”に逢う為に、他人を喰らうアリスゲーム。 
そして、その事に付いて本気で、必死に、純粋に、解決策を求める薔薇乙女達。 
そんな純粋な、彼女達を汚すなんて、妄想でもやってはいけない事だと、僕は頭の中で考えていた。 

でも、1度ばかりか、2度も、やってしまった。 

怖い、自分が怖い。自分が壊れて行っている感じがする。 
段々、自分を抑えられなくなって行く感覚。 
何故急に?昨日までは何とも無かったのに。 

「まさか……、たかがエロ本で?」 

考えられない。否、そんなくだらないもので自分の戒めが解かれたなんて考えたくも無い。 
「くそっ!」 
バゴオッ!と、窓ガラスを力一杯殴りつけた。勿論、結果を考えるのは難しい事では無い。 
ガシャァン!と、窓ガラスはブチ割れ、破片が飛び散り、自分のコブシは破片で至る所がパックリと切れた。 
「あ、やっちまった……」 
やばい、と思い後片付けを即座に始める。 

「どどどどどど、どうしたー!?泥棒かー!?」 
バタン!と案の定、ドアを叩き開けてのりと真紅が部屋へ入ってきた。 
「うわ!」 
のりの声に驚くジュン。 

「どどど、どうしたのジュン君?窓ガラスが割れて……」 
「いや…、こっ、これは……」 
急いで言い訳を考えるジュン。 

隕石が落ちてきた? 
泥棒が侵入した? 
ハトが突入してきた? 

下らない言い訳を考えていると真紅が一言、言った。 
「のり、今は窓ガラスより手当てが先よ」 
「え、手当て?」 
真紅の人差し指は、ジュンのコブシを指していた。 
そのコブシからは、滝の様に血が流れ落ちていた。 
「ジュ、ジュン君……まさか、また…?」 
1度ならず2度までもこう酷い傷を見せられると、姉としては”弟は自分を傷つけて楽しんでいるのか?”等と考えてしまう。 
「だ、大丈夫だよこれぐらい」 
「大丈夫なわけないでしょ!早く下に!」 
と言って、のりはジュンを強引に下まで引っ張って行く。 
「痛い痛い痛い痛い!傷口に姉ちゃんの爪が刺さってる刺さってる!」 
今ののりには、そんな事耳に入らない。 
「痛てぇぇぇぇぇぇぇぇぇー!」 

月まで届くのではないか、と言うほどの大声が、桜田家にこだました。 

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ここで前半は終了です。前半は真紅とジュンの、お互いに対する葛藤を書き 
たかったのですがなんていうか…読み返すとまとまりがありませんねorz 

後半はもっと読みやすく、まとまりがあってェロく成るように努力します…。 
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■Scarlet Palace 2-1 

+++PM9:00分 ジュンの部屋+++ 

「まーったく、ちび人間ったら本当の本当の、本当にしゃーない奴ですねぇ、勉強が出来ないからって八つ当たりしてガラスを割るなんて」 
「う、うるさいなぁ、仕方ないだろ、本当に苛々してたんだから」 
机の上で、教科書に目を通しながらジュンは答えた。 
「ガラスなんて幾らでも治せるわ、ジュンに大事が無かっただけ良いじゃないの」 
「…………、そうですね、ネジの時間を巻き戻す事が出来るのは無機質だけですからね」 
パタパタと自分の鞄をはたき、中へ入る翠星石。 
「それじゃ、翠星石はもう寝やがりますね」 

「おやすみ、翠星石」 
「おやすみ」 

「おやすみですぅ」 
バタン、と鞄の蓋が閉められた。 

「…………」 
「…………」 

しばしの沈黙が続いた。 
真紅はベッドの上で本を、ジュンは机の上で勉強している。 

「なぁ、真紅」 
「何?」 
「お前は、寝ないのか?」 
ジュンがさり気なく尋ねる、前にもこんな事が在った様な気がした。 
「わ、私は未だ眠くないから平気よ」 
「そうか」 

「…………」 
「…………」 

再び戻ってくる沈黙。 
凍り付いた空間の様な中でも、時間だけはしっかりと進んでいた。 

+++PM11:00分 ジュンの部屋+++ 

「さて……寝るかなぁ、明日もどうせ翠星石に無理矢理起こされるんだろうし」 
使っていた教材を鞄の中にしまい、軽く伸びをする。 
「あぁ、首が痛い。運動不足かなぁ……」 
眼鏡を外し、部屋の電気を消してベッドの上に寝転がる。 
真紅は、未だ、ベッドの上で本を読んでいた。 

「あの、真紅さん」 
「何?」 
「寝れないのですけど」 
「あ、あぁ、ごめんなさい」 

そう言うと真紅は、ベッドから降りて、本を本棚に戻す。 
「真紅も寝たほうが良いぞ、夜更かしは肌に毒って……余計なお世話か」 
目を閉じて寝ようとしたその時だった。 

「ねぇ、ジュン」 

「な、何だよ」 
ビクッ!と驚き、ジュンは返事をした。 

(まさか、さっきの事か!?) 

唐突に、心臓の鼓動が早くなる。 
だが、真紅から返事が返って来ない。 
「な、なぁ真紅、何だよ?何か用か?」 

「……と、…に、……て良い?」 

限りなく、とても、小さい声で、真紅は答えた。 
「な、何だって?聞こえないっての!はっきり言ってくれよ!」 

「…………」 

真紅は黙り込んでしまった。 
「おいおい、何なんだよ!用が無いなら僕は寝るぞ!眠いんだから!」 
起こしていた上半身をバタリ、とベッドの上に倒し、目を瞑る。 
心臓の鼓動は、徐々に収まっていった。 
(な、なんだったんだ、一体…) 
眼を瞑り、さぁ、寝ようとした所で…。 

「今夜は貴方と、一緒に、寝て良い?」 

今度ははっきりと、聞こえる声で真紅は言った。 
「あー、好きにしてくれ。こっちは眠いんだ。寝たかったら勝手に入ってくるなり何なり………え?」 
心臓が一瞬、止まった。今、真紅は何て言った?一緒に寝る……誰と? 
翠星石は寝てるし、姉ちゃんはこの部屋に居る分けない。くんくん人形にそんな事を言う程、真紅は愚かじゃない。 
だったら………1人しか………。 
(まさか、僕が寝るのを待っていたのか……?) 

コツ、コツと、ジュンのベットへ、近づいてくる足音がした。 

「し、真紅?」 
「……何?」 
小さな声で返事が返ってきた。 
恐る恐る、ジュンは真紅の方へ寝返ると……、そこには、下着だけを着た、真紅が居た。 
何時もの、燃える様に紅い、真紅色のドレスは着ていない。 
ジュンの中で、時が止まった。何だ!?何なんだ!?このシチュエーションは!? 
時が止まったかの様に感じたら、次は心臓が再びバクバクバクと高鳴っていく。 
ジュンの布団の中へ入ってくる、真紅。 
真紅がベッドの上で横になると、お互いが向き合った状態になった。 
真紅と目が合ってしまい、更に心臓の鼓動が早くなるジュン。 

「オヤスミ、ジュン」 
「お、おや、す、すみ」 

そう言うと真紅は静かに目を瞑る。 
バクバクバク、と心臓の激しい鼓動は未だ収まらない。 
(何で今日に限って僕のベッドで寝るんだ!?第一、薔薇乙女達は鞄の中で寝ないとヤバいんじゃなかったのか!?) 
必死に真紅がジュンのベッドで寝た事の理由を探す。しかし………。 

隣には、最愛の真紅が居る。何も考えられない。 

何て事をしてしまったんだ、僕は。幾ら返事が面倒だったからって、一緒に寝る事を了承してしまうとは。 
電気が消えている暗闇の中でも、月明かりのせいで、嫌でも、見えてしまう、感じてしまう。 

真紅の、およそ人形とは思えない程、瑞瑞しくて、美しくて、小さな、唇。 
真紅の、およそ人形とは思えない程、白くて、温もりのある、体。 
真紅の、およそ人形とは思えない程、僕の、脳裏を焦がす、妖麗な薔薇の香り。 

心臓の鼓動は、静かに成るどころか、どんどん速度を増してゆく。破裂してしまいそうなぐらいに。 

(今すぐ、彼女を食べてしまいたい) 

ジュンの脳裏に、”何か”が語り掛けてきた。禍々しくて、淀んでいて、穢れた、”何か”が。 
「食べてしまえば良いのではないか」 
「やりたいようにやってしまえば良いのではないか」 
自分の中で、理性が音を立てて壊れていくのを感じる。 

あぁ、今すぐにでもこの、穢れの無い、無垢で、美しい、少女を、壊してしまいたい。 
あぁ、真紅、真紅、真紅、真紅、真紅、真紅、真紅、真紅、僕を極限の深淵の淵まで追い詰めてくる、少女。 
もう、止められない、自分の力じゃ。助けてくれ、誰か。このまま真紅を犯してしまっては、元の自分に戻れなくなってしまう様な気がする。 

怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわいこわいダレカタスケテタスケテタスケテタスケ............ 

真紅に、ジュンでは無い、”何か”に操られたジュンの手が伸びかかったその時だった。 

ピカッ!と空が光った。 

「!?」 
驚き、ジュンは上体を起こし、すぐさま窓の外へ目をやる。 
その数秒後だった。 
ドーン!と、非常に大きな落雷が発生した。 
「か、雷か……」 
そして、続けざまに雨が降ってくる。 
「雨も………」 
とても強い雨だった。まるで、誰かが泣いているかの用に、大粒の、雨だった。 

「助かった………」 
どうやら、神…否、ローゼンだろうが誰だろうが構わない。 
僕は誰かに助けられ、狂わずに済んだ。 

真紅の方へ目をやる。 

彼女は、スヤスヤ、と抱き壊してしまいたくなるほど美しい寝顔で寝ていた。 
「………、寝よう」 
真紅と距離をとり、反対の方向を向いて、ジュンは目を瞑った。 

「おやすみ………」 

静かにジュンは眼を瞑る。だが、彼は気付いていなかった。 
既に、自分が犯してはいけない領域に、片足を踏み込んでいる事を。 

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スカーレッドパレス、後半スタートです。 
ダークサイドに落ちていくジュンを書いてみましたがこれまたなんとも…。 

それでは、また。 
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■Scarlet Palace 2-2 

**??時???分 ???** 

「やっと寝やがりましたか」 
「ん……………朝………?」 
朝だと思い、目を開くジュン。目の前には翠星石が居た。 

「なーに寝ぼけてやがりますか、此処は夢の中ですよぅ」 

「え、夢の中………?」 
目を擦りながらジュンは辺りを見回す。生命力一杯の、緑で溢れた、草原。 
成る程、誰かの夢の中なのか、とジュンは納得した。 
「まーったく、寝るのが少し遅いんじゃねーんですか?」 
「寝たのは11時だよ、って言うか、何だよ、人を勝手に起こして夢の中に連れて来て。何か用か?」 
「ちび人間の都合なんて知ったこっちゃねーです。翠星石はやりたいようにやるのですぅ」 
「むっ……この性悪……にん……」 
この性悪人形、と言おうとした所でジュンは口を止めた。 
彼は決めていたのだ、もう、彼女達を人形扱いするのは止め様と。 

「全く……本当に自分勝手だな……で、用件は?夢の中で呼ぶって事は、よっぽどの事なんだろ?」 

素直にジュンは、翠星石に従った。よくよく考えれば、これは夢だ。幾ら自分が起きてようとも、体は寝ているのだ。 
それに、夢の中では”夢を操る力”を持つ翠星石に、ただの人間で在るジュンが敵うわけが無い。 
素直に従う方が利口だと、ジュンは理解したのだ。 
「さすがちび人間。自分の立場を良く分かっているですぅ」 
「ちぇっ…、何が立場だって言うの……」 
「ぶつくさ言うなですぅ!折角翠星石が惨めなお前の為に最高に面白い所に連れて来てやったんですよぅ!」 
そう聞くと、ジュンは少し驚いた。 

「最高に……面白い所…?」 

「そうですぅ」 
「な、なんだよそれ、気持ち悪いな」 
「勉強を頑張ってるちび人間への御褒美ですぅ。何かは見るまでお楽しみですぅ。分かったならとっとと黙って翠星石について来るですぅ」 
そう言うや否や、トテトテと早足で翠星石は草原の中を歩いていった。 
「あ、おい!待てよ!何なんだよ!面白い所って!」 
ジュンも、翠星石の後を追って、走って行った。 

**???分後** 

「はぁ、はぁ、や、やっと、着いた」 
「お疲れ様ですぅ」 
ひょい、と華麗に着地をする翠星石。 
目の前には、真っ赤な、真紅色の、巨大な城が在った。 
「何なんだ?この城?アトラクションでも在るのか?」 
「そーんなちゃっちぃ物じゃねーですよぅ」 
「まぁ、そこまで言うならよっぽど凄い所なんだろうけど……このでかい門、どうやって開けるんだ?」 

「まかせておけですぅ…………、スィドリーム」 

フワフワァ、と翠星石の人口妖精スィドリームが門の前で大きな魔方陣を作る。 
すると、軋む様な音を建て、門が開く。 
「さ、行くですよ」 
「ま、また歩くのかよ……」 
そう言って、2人は城の中へ入って行った。 

城の中はとても静かだった。誰も居る気配がしない。 
通路には真紅色の豪華そうな絨毯が敷いてあり、壁には高価そうな絵、窓には黄金の装飾、そして所々の花瓶に指して在る、紅い、薔薇。 
「なぁ、ここって、さ、もしかして………」 
「ふふーん、流石のちび人間でも気付きやがりましたか」 
「やっぱり……、そうなのか?」 
「そうですよう」 
長い、天井が見えない程長い螺旋階段を上がりつつ、ジュンは翠星石に質問した。 

「ここは、真紅の夢の中でもあり、彼女のフィールドでも在る場所……」 

「フィールド?」 
「覚えてねーんですか?薔薇乙女はnのフィールドに自分の”領域”を持っているんですよぅ」 
「あ、あぁ、確かそうだったな、水銀橙と戦った時もアイツのフィールドだったっけな、暗くて趣味の悪い」 
「そうですぅ。そして、ここは真紅のフィールド………」 

「通称、”紅の宮殿(スカーレッドパレス)”ですぅ」 

「紅の……宮殿…かぁ、真紅っぽいフィールドの名前だ………でも、さ、翠星石」 
「何ですかぁ?」 
「幾らお前が夢を操れて、色々出来るからって、姉妹の夢の中に勝手に入ってきて良いのか?プライバシーって物があるじゃないか」 

「………」 

「翠星石?」 
翠星石は、返事をしなかった。 
「おい、翠星石?聞こえてるんだろ?」 
「いいんですよぅ、別にぃ。それに、これは真紅もジュンに見られたい筈ですぅ」 
「全く……一体何なんだよ、真紅が僕宛に、絵でも書いたのか?」 
「うるせーやつですねぇ、悪い様にはしないから黙ってついてくりゃーいいんですよぅ」 
「ってもなぁ……・・・」 
上を見上げるジュン。まだ、天井が見えない。 
逆に下を向いても、もう地面が見えない程上がってきてしまった。 
「何処まで続くんだ………この、階段」 
ため息をつきながら、トボトボと階段を登って行った。 

+++??時???分 紅の宮殿+++ 

「さぁ、着きやがりましたですよぅ」 
「ハァ、ハァ、ハァ、つ、疲れた、少し休憩させてくれ……」 
バタリとその場に倒れこむジュン。一体、どれだけの間螺旋階段を上がってきたのか。 
分からないけど、考えたくもないし知りたくも無かった。 
螺旋階段を上がった所に在ったのは、これまた永遠に続きそうなほど長い廊下だった。 
所々に、扉が在る。 
「まーったく、お楽しみはこれからだって言うのに、本当に意気地の無い奴ですぅ」 
「う、うるさいな!ほっとけよ!」 
ジュンは起き上がり、長い廊下に眼をやった。 

「長いなー、これまた歩くのか?」 
「違いますぅ、目的の部屋は目の前の部屋ですぅ」 
「ん?これか?」 
ジュンは、目の前に在った扉に手を掛ける。 
ガチャ、ガチャと言う音だけでノブが回らない。 
「……鍵?」 
「そこは真紅の部屋ですよぅ、鍵が掛かってて当たり前じゃないですかぁ」 

「し、真紅の部屋!?」 

ドドドドド!と漫画のような後ずさりをするジュン。 
「そんなに驚く事、ねーじゃないですかぁ」 
「いや、なんとなく……」 
「さ、鍵を開けますよ、スィドリーム」 
先刻と同じように、スィドリームが扉の前で魔方陣を描く。 
ガチャリ、と施錠が解けた様な音がした。 
「さ、開けましたですよ、入りたければ入るがいいですぅ」 
「……ちょっとまて、お前が行ってた最高に面白い場所ってのは、真紅のフィールドの、真紅の部屋って事か?」 
「そうですぅ、何か不満ですかぁ?」 
「あ、当たり前だ!只でさえ今、僕は、自分の中の得体の知れない何かが、真紅をおか………」 
そこで、ジュンの口が止まる。 

「真紅を…どうするですって?」 

ニヤニヤ、と笑いながら翠星石がジュンに質問した。 
「う、うるさい!何でもない!」 
そう言うと、ジュンは、真紅の部屋の扉のノブに手を掛ける。 
ジュンは、真紅を犯したくてタマラナイ、なんて口が裂けても言えなかった。 
翠星石も薔薇乙女の内の1人なのだから。 
ジュンは、そう考えていた。 

………、彼女に裏切られるとも知らず。 

深呼吸をして、眼を瞑る。 
「大丈夫ですよぉ、ちび人間、そんなに怖がらなくても」 
「……なんでそんな分かった様な事が言えるんだよ」 
「その扉を開けば、ちび人間の憂鬱なんて些細な物だって理解できますぅ、だから心配しなくて平気ですぅ」 
「……気楽なモンだよな、こっちは必死だって言うのに」 
ジュンはそうして、ノブを、下に、下げた。 

(この先に、一体、真紅の何が在るって言うんだ……?) 

「さぁ、お楽しみの扉が開かれるです……スィドリームもよく見ておくのですよぅ」 
光が、扉から漏れてくる。そして、覚悟を決めたのか、ジュンは、思い切り扉を引く。 
部屋の中に確かに、彼女が居た。 

最高に美しく、最高に穢れた姿で。 

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朝から変な事ばっかり考えている206です。 

「翠星石の口調が変だ」と言われてしまいましたが、自分の中では 
翠星石=「〜しやがりますね」とか「〜ですぅ」で定着しちゃっています…。 
だから眼を瞑ってやってください。 orz 
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■Scarlet Palace 2-3 

+++??時???分 紅の宮殿+++ 

中に、真紅は居た。あの、美しくて、穢れなくて、高飛車で、何時も僕を見下してる真紅が。 
でも、中に居た、真紅は、違う。真紅では無いけど、真紅だった。 

「な、な、何だよ……これ」 

ジュンは絶句した。目の前の光景に。 
信じられない、在りえない、信じたくない、こんな事が在る筈が無い。 
出来る事なら、今すぐに、夢から覚めて、しまいたい。今すぐ此処から出て行ってしまいたい。 

だが………。 

動く事が出来なかった。動こうと思っても、体が言う事を聞かないのだ。 
眼を瞑りたくても、瞑れない、走って逃げ出したくても、走れない。 
何故ならジュンは、むせ返るようなキツイ愛液の入り混じった匂いを嗅ぐと同時に、美しすぎる、それを見てしまったから。 

「何で……、真紅が僕に犯されてるんだよ…」 

部屋の中では、3人のジュンに真紅が犯されていた。 
彼女の、穴と言う穴を貫かれ、体中を精液まみれにされながら。 

真紅の小さすぎる2つの下の口に、真紅にとっては大き過ぎるジュンの男根が挿入されていて、まるで妊婦の様に膨れた腹。 
そして、ジュンの男根を根元まで咥え込んでいる上の口。 

だが、彼女の顔は苦痛に歪んでおらずむしろ、この世で受けた最も”至福の時”を堪能している様に見えた。 

「真紅………真紅が……」 

ジュンはあまりの突然の出来事に、頭の中が真っ白になった。 
と、そこに一つの狂気を含む笑い声が聞こえた。 

「キャハハハハハハハハハハ!やっぱり、また、この変態女は、思った通りこんな夢を見ていたのですねぇ!」 

翠星石の声だった。 
翠星石の笑い声のお陰で、どうにか我に帰ることが出来たジュン。 
「また……って?」 
「キャハハハハ、いいですよぅ、教えてやるですよぅ」 
笑い過ぎて出てきた涙を翠星石は拭き取ると、ジュンに向かって説明し始めた。 

「その女はですね、どーしようもなく救い様の無い、変態人形って事ですよ!」 

「変態………人形………?真紅が………?」 

翠星石の言っている事がジュンには全く、理解できなかった。 
「そうですぅ!今日真紅が、ちび人間とまともに会話しなかったのも、同じような夢を見ていたからですぅ!」 
「あ……」 
そこでジュンは思い出した、真紅の調子が変だった事を。 

「キャハハハ!そうですそぅ!全くとんだ茶番ですぅ。人が心配して訊ねてみれば、”夢の中で犯された”ですよぅ!キャハハハ!」 

「翠星石……お前……」 
「その女、今まで何度も誰かに犯される夢を見ていたらしいですけどねぇ、顔がモヤモヤしてて見れなかったらしいんですよぅ!でも最近になって 
その”誰か”の正体が解ったんですって言ってましたですぅ!」 

「それが……僕だったのか……」 

「キャハハハハハ!その通りですぅ!表の世界では、”体を重ねる事は汚らわしい事だ!”とか言っていたのに夢の中では毎日これです! 
薔薇乙女が聞いて呆れるですぅ!しかも、今回は3Pですか!正体が解った途端にハードなプレイに成って行ってますぅ!真紅はMなんですかねぇ!キャハハハハ!」 

目の前の出来事、翠星石の一言一言を信じたくなかった。静かに、部屋の扉を閉める。 
そして……、目の前で大笑いしている翠星石の両腕を押さえ、覆い被さる様にして押し倒す。 

「あれぇ?ちび人間、真紅の変態プレイを見て欲情しちゃったんですかぁ?」 
「………見せた」 
「何ですぅ?聞こえませんよぉ?」 

「何故………僕を此処に連れてきた、何故僕にこれを見せた!!!!!!!」 

今は真紅の事などどうでもいい。ただ、翠星石への怒りがジュンの原動力に成っていた。 
これじゃあまるで僕が馬鹿みたいじゃないか。 
自分の理性を保ちながら、犯してはならない領域から、必死に離れようとしていたのに。 
彼の努力は、翠星石によって無残に崩されたのだ。 

「キャハハハハ!知りたいですかぁ!ちび人間!」 
「五月蝿い黙れ!黙って答えろ!」 
「キャハハハハ!良いですよぅ!教えてやるですよぅ!翠星石はですねぇ、もう、何もかも壊してしまいたく成ったのですよぅ!」 

ジュンは翠星石の言葉に、絶句した。 

「……何もかも……壊す……だって?」 
「キャハ!そうですぅ!今まで、翠星石は頑張ってきました。大好きな蒼星石が死んでしまったにも関わらず……何でだか解りますかぁ?」 

「…………」 

ジュンは答える事が出来なかった。 
涙を見せたくないから?自分の弱い所を見せたくないから?否、そんなヤワな物じゃないだろう。 
口は悪いけど、根は優しいあの翠星石が此処まで壊れてしまうなんて。 

「答えはですねぇ、ちび人間!お前が居るからですよ!」 

「僕が……居るから?」 
「そうですぅ………!」 
そこで、狂ったように笑っていた翠星石の口は閉じ、狂気に犯されたような血走った眼は、一瞬にして捨てられた子犬のような眼に成っていた。 

「大好きな……ちびにんげ……ジュンが居たから、頑張れたのですぅ……。 
例え大好きな蒼星石を失っても、ジュンが優しく慰めていてくれてたから翠星石は頑張れたのですぅ………」 

「……じゃあ、何でこんな事したんだよ!」 
「だから……言ったじゃないですかぁ……全てを壊したくなってしまった…って」 
「だから、何でそうなった!?理由は何だ!?」 

「翠星石は……もう、ジュンに愛して貰えないからですぅ……。幾ら頑張っても、幾ら努力しても、ジュンは何時も真紅の事ばっかり考えている 
ですぅ……。翠星石はこんなにもジュンを、好きで好きで好きでたまらないのに、ジュンは翠星石を見てくれないですぅ………」 
ポロポロと涙を流しながら、翠星石はジュンに告げた。 

「……………………だったら」 
「だったら……なんですかぁ?」 
「何で……僕に恨みをぶちまけなかった!何で真紅なんだよ!真紅はお前の大切な姉妹じゃないのか!? 
「………」 
「どうなんだよ!答えろ!」 

「………、翠星石から大切な物を全て奪った女なんて……姉妹でも何でもないですぅ!」 

翠星石は、今、真紅を憎んでいた。憎んで憎んで、殺しても殺し足り無い程に。 
私の、マスターでも在る”ジュン”を独り占めにしたから。 
私が、好きで好きで、どうしようもないほど愛してしまっているジュンを独り占めしたから。 
何とか自分を見て貰おうと幾ら努力しても、見られるのは真紅ばかり。 
何もしていない、真紅ばかり。ベッドの上で勉強しているジュンの背中を取るのも、何時も真紅。 

何で真紅ばっかり、真紅ばっかり、真紅ばっかり。 

でも、まだ許せた。私の夢の世界のジュンは、私の相手をしてくれるから。 
でも、あの女は………。 

私の”最後の希望”でもある夢からすら、ジュンを奪った。 

私の、夢に、ジュンが出てこなくなったのも、真紅が自分を犯される夢を見るようになってから。 
私の、最愛の、ジュンを、真紅は夢の中からすら、奪ったのだ。 

「真紅から……”ジュンに犯されている夢を見た”と告げられた時……翠星石の中で何かが壊れました……」 
夢の中だから、翠星石の考えていた事が全てジュンに伝わったのだろう。 
ジュンは、何とも言えない様な顔で、翠星石を見つめていた。 

「もう………嫌に成ってしまったのです。大切なものも、本当に大切なものも全て奪われ、心にはぽっかりと開いている大穴…」 
翠星石の涙は止まらない。顔を真っ赤にして、眼を瞑って、ひたすらに涙を流し続けた。 

「こんな事に成るなら……生き返りたく…無かった…」 

彼女の涙は、止まらない。 

+++??時???分 紅の宮殿+++ 

しばし沈黙の後……。ジュンは口を開いた。 

「……翠星石」 
「何ですかぁ……同情ならいらねーで」 

突如、翠星石の口を何かが塞いだ。 
翠星石はソレが何だかスグに理解できた。 

ジュンの、唇だ。 

「…………」 
翠星石は黙ってそれを受け入れた。 
するとすぐに、ジュンは翠星石の口の中に舌を入れてくる。 
翠星石はジュンを受け入れ、自分の舌をジュンの物に絡め、唾液を交換し合う。 

長い、長いディープキスが行われた。 

唇を離すと、お互いの唾液がブリッジを作る。 
「翠星石……………ごめんよ、君の気持ちに気付いてやれなくて………」 
翠星石は返事をしなかった。 
彼女の眼は焦点が定まらず、トロンとしていた。まるで、最高の快感を得たかの様に。 
「ジュ、ジュン………?」 
「脱がすよ………」 

そう言うとジュンは、翠星石のドレスをスルスルと脱がせ始める。 
翠星石はあっという間に、裸にさせられてしまった。 

もう、彼は、止まらない。彼は目覚めてしまった。 
もう彼は、”桜田 ジュン”で在って、”桜田 ジュン”では無かった。 

禁断の果実を口にしてしまい、堕ちて行ってしまったのだ。深淵の淵に。 

「ジュン………」 
「綺麗だよ、翠星石」 

翠星石の白く、美しい肌に手を伸ばすジュン。 
その感触は、人肌そのものだった。 

翠星石を両手で抱きかかえ、彼女の小さな胸に吸い付く。 
チュ、チュと、いやらしい音が聞こえた。 

「ひゃっ……」 

初めて襲われる感覚に、翠星石は体を痙攣させた。 
乳首を舐められる度に、体全体を走る電撃。 
それだけで、翠星石の気はどうにかなってしまいそうだった。 

「んふぅ………、ぅううう………ジュ、ジュンぅ」 
「感じやすいんだ……翠星石」 

そう言うとジュンは、翠星石の体のラインを舌でなぞりながら、そのターゲットを徐々に下へやって行く。 
まだ、汚れを知らない、純白の、翠星石の秘所。そこはもう、彼女の愛液で洪水が起きていた。 

「凄い……綺麗だよ、翠星石」 
「へ、変な事……言わないで、ですぅ……っひゃ!」 

翠星石が何かを言う前に、その秘所へ舌を入れ、黙らせる。 

「はぅうううう……ふぅっ………」 

クチュッ、クチュと、ジュンが翠星石の秘所に舌を入れる度にいやらしい音が立ち、蜜が溢れてくる。 
逆に翠星石は、舌を入れられる度に体をビクンビクンと弾かせ、荒い息を立てた。 
一方的な愛撫。 

「ぁぁッ……!……んふぅ……ッァ!……」 

ジュンに見られてる。ジュンが私を見てくれている。あぁ、私の悲願がやっと、叶った。やっと、やっと、ジュンの本当の温もりを感じる事が出来た。 
涙を流しながら、翠星石はジュンの温もりを感じた。 

だが、翠星石は、それだけでは満足できなかった。 

「ジュンゥ…………」 
「翠星石……?」 

「す、翠星石を………………汚してくださぃ」 

彼女の本当の悲願。 
彼女は、父親に逢う事よりも、ジュンに愛される事を選択した。 

そして、それを聞くな否や、ジュンは舌での愛撫を止め、洋服を脱ぐ。 
下着の下から現れたジュンの男根はもう、はちきれそうなほどビンビンに成っていた。 
「凄い………」 
翠星石は、背中をゾクゾクさせた。 
これから私は、アレに体を貫かれるんだ。と考えると、震えが止まらなかった。 

「さぁ、行くよ、翠星石」 

ジュンはそう言うと、翠星石をうつ伏せに寝かせ、自分の男根を翠星石の秘所に押し当てる。 
そして、翠星石の腰に手をやり………彼女の純白を、一気に突き破った。 

「ッッッッッあ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!」 

翠星石の叫び声が、辺りにこだます。 
ブチブチブチッと、彼女の純白の証が破られ、紅い液体となり愛液と一緒に放出される。 

「い、痛い”痛い”痛い”ぃぃぃぃぃぃぃぃいぃいい”い”!」 

あまりの痛さに翠星石は涙を流した。体をジュンのモノで一回突かれる度に、激痛が下半身を襲う。 
だが、ジュンは翠星石を突くのを止めなかった。 
止めるどころか、彼女の悲願の鳴き声が彼のサディズム的感情を更に目覚めさせた。 

「良いよ……翠星石……素敵だ……もっと良い声で鳴いてくれ……」 

翠星石が叫ぶ度に、ジュンのピストン運動は強く成る。 
そして次第に、翠星石の苦痛の叫び声は喘ぎ声に変わって行く。 

「っくぅ、ジュンっ、ジュンっ、………あぁぁあっ、っふぅ」 

バックから犯されながら翠星石はひたすら、ジュンの名前を連呼する。 
ジュンは、翠星石が感じてきていると理解したのか、更に腰の動きを早くする。 

「っぁっ!……も、もうダメですゥっ…す、翠星石の頭の中が真っ白になっちゃいますぅ……ッ!」 
「………っ、僕も……そろそろイクぞ……翠星石ッ………!」 
「あぅぅううぅぅうッ!だ、出してくださぃ!翠星石の中にィ……!」 

お互いの絶頂が近づく。 

「っ……、イクぞ!中に出すぞッ……翠星石!」 
「あぁあぁっぁぁぁぁぁぁぁっ!ジュンゥッ!」 

ビクビクビクッ!とお互いの体が痙攣し、大量の精液が翠星石の中に流し込まれる。 
それは、翠星石の胎の中では収まりきらない量なのか、お互いが連結している場所の隙間からも大量にビタビタと流れ出てきた。 
翠星石の体から、男根を引き抜くジュン。初めての性交で酷く疲れてしまったのか、翠星石はその場でぐったりとしていた。 

「翠星石………」 
ジュンはそう言うと、翠星石の体を優しく抱かかえ、唇を再び重ねる。 
「んっ………」 
重ねた唇を離し、翠星石を見つめる。 

「翠星石………」 
「ジュン………」 
そして、ジュンは言った。 

「明日、…、に来てくれないかい…?」 
「ぇっ……?」 
「いいだろう…?翠星石……?」 

「はぃ………ですぅ」 

「フフフ、お利巧だね、翠星石」 
そうするとジュンは、再び翠星石の体を愛撫し始める。 
「ッくァッ……!」 

ジュンと翠星石の、長い夜が始まった。 

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初のエロシーンに挑戦です。(;`Д´) 
何か翠星石ばかり虐めてますね、真紅メインなのに。 

それでは、また。 
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■Scarlet Palace 2-4 

+++7時00分 ジュンの部屋+++ 

「…………、朝か」 
ジュンの目がゆっくりと開かれる。今日は、翠星石が起こしに来ない。 
(…………、翠星石) 
ジュンはうつ伏せの状態で寝ていた。 
窓の外に眼をやる。雨だ。まだどうやら降っているらしく、朝だというのに外は暗かった。 
「………」 
昨日の夜の出来事を思い出すジュン。 
「………、簡単な事じゃないか」 
ボソリと呟くジュン。 

「あら、目が覚めたの?」 

頭元に、何者かの気配を感じた。 
勿論それは、紅いドレスを見にまとい金髪のツインテールを垂らしている彼女だった。 
朝から、ジュンの頭元で本を読んでいた。 

「真紅か………おはよう」 
「おはよう、ジュン」 
「……・・・、翠星石は?」 
「お爺さんとお婆さんの所へ行ってるわよ、彼女がどうかしたの?」 
「否……、何でも無いよ………真紅」 

その刹那、ジュンは本を読んでいる真紅を後ろから抱かかえ布団の中に引きずり込み羽交い締めにした。 
彼女の読んでいた本が地に落ちる。 

「キャッ……!ジュ、ジュン………何をするの?」 
(………これが、真紅の抱き心地かぁ……、真紅の鼓動……可愛いなぁ) 
彼女の体を通して心臓の鼓動……厳密に言えば心臓ではないが、鼓動が伝わってくる。 

「真紅………」 
「ジュン……?」 
「何で昨日、僕と一緒に寝たんだ?」 

「そ、それは………」 
「それは?」 

”貴方に抱かれたかったから”なんて真紅は言えなかった。 
ここは夢の中では無く、現実なのだから。 

「き、気まぐれよ。たまには人間のベッドで寝るのも悪くない、と思って……」 
「………、嘘は良くないなぁ」 
「……ッ!」 

真紅の小さな乳房に後ろから両手を添え揉み解し、真紅の耳たぶに噛み付く。 

「フフ……、今日も真紅は何だか変だね」 

「ァゥ……ジュ、ジュン………」 
「抵抗しないんだ……。何時もだったら、”触るな”とか”下品ね”とか言って引っ叩く癖に……」 

ジュンは、真紅が抵抗しない事を完全に確信していた。 
そう、例え今ここで僕が、彼女の秘所に手を伸ばしても………彼女は抵抗せずに受け入れるだろう。 

そしてジュンは、抵抗しないで小さな喘ぎ声を上げる真紅の秘所に、指先を伸ばす。 
「………ッ!嫌ッ!」 
「ッて!」 

ジュンの陵辱に耐えられなくなった真紅は、お得意のツインテール鞭を使い、ジュンの羽交い締めから脱出する。 
「……………」 
ちょっと意外だ。ジュンはそう思った。 

「な、何をするの!………ジュン」 
「……………」 
「ジュン…………?」 
「…………、やっぱり、現実でするのは、未だ怖いんだ」 
布団の中から、ジュンの声が聞こえた。 
「ぇ………、ジュ、ジュン…?今………何て?」 
ジュンの一言で、真紅の顔は真っ青に成る。 
一歩ずつ後ずさる真紅。 

「…………、怖がる事は無いよ真紅……現実も夢も、一緒だから……」 
「!?」 

ジュンの一言に耐えられなくなった真紅は、とっさにジュンの部屋から逃げ出した。 
「…………、ふふ、やっぱり、果実は熟さないと食べられない…か」 

そう言うとジュンは、ベッドの中から出てきて、着替えを手に風呂場へ向かった。 

+++8時36分 リビングルーム+++ 

シャワーを浴びて着替えた後、ジュンは朝食を取りにリビングルームへやって来た。 
リビングルームにはのりと真紅が居た。 
「おはよう、ねーちゃん、真紅」 
そうすると、テレビを見ていたのりと真紅がこっちを向いた。 
「あら、ジュン君、おはよう」 

勿論、真紅はこちらを見るだけで何も言わなかった。 

「何か作ろうか?」 
「いーよ、適当に自分で作るから」 
と言っても、フレークやその程度だが。 
椅子に座り、1人で朝食をモソモソと食べ始める。 
すると……。 
(ねぇ、ジュン君) 

のりがジュンの所へやって来た。 

(……何?) 
(朝から真紅ちゃん、元気が無いみたいなんだけど……何でか知ってる?) 
(……知らないよ、ってか何で僕に聞くんだよ) 
(だって……真紅ちゃんの事はジュン君が一番知ってるかと思って……翠星石ちゃんは出かけちゃってるし…) 

心の中で、ニヤリと笑うジュン。 

(さぁ、まぁ放って置けば治るんじゃないの?) 
(だと良いんだけど………) 
「ま、とりあえず朝食も摂ったし僕はまた図書館に行って来るよ」 
「あら今日も……?雨なのに頑張るわねぇ」 
「もう慣れたよ、歩くのも勉強も」 
空になった皿を台所へ運び、水の中に放り投げる。 
「それじゃ、また後で」 
「いってらっしゃ〜い、頑張ってね〜」 
そう言ってジュンは、リビングルームを後にした。 

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今回は此処までです。短くてすみません。(ノД`)ジカンガナクテ 

それにしても……他の職人さん達の小説が巧いわエロいわ萌えるわ……。 
自分の書いている物が凄く幼稚に見えてきますわ…。(つД`)ショウジンシマス 
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今回は文中でドールが死んでしまうのでこの板に書き込むべきでは 
無いと考え、アップローダーを使用しました。 

URL:ttp://www.uploda.org/uporg307939.txt.html 
PASS:sink 

です。 
もう少しで終わりなので楽しんで下さっている方には更に楽しめるように精進します。 

それでは。 

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■Scarlet Palace 2-5 - 楽園と少女 

†† ??時??分 紅の宮殿・真紅の部屋 †† 

「んっ……………、ここは……?」 
「気が付いたかい、真紅?」 
「ジュン………」 
薄暗い部屋の中に在るダブルベット。 
両手両足を鎖で拘束され、真紅はそこに寝かされていた。 
嗅いだ事のある、薔薇の香り。 
「ここは…、君の部屋だよ…真紅…。尤も、僕のフィールドで作った疑似の部屋…だけどね」 
「んァ……ッ!?」 
まだ意識がハッキリとしていない真紅の上に覆い被さり、強引なキス。 
真紅の口内へ舌を入れ、彼女の唾液を強引に貪る。 
顔を真っ赤に紅潮させながら真紅はジュンに言った。 
「んんっ…………ッハァ……」 
「やっと、2人きりに成れたね……真紅」 
「ジュ、ジュン…貴方…どうして…。それに…その精霊……翠星石のじゃ…」 
「…、翠星石がね、力を貸してくれたんだ…」 
「…、翠星石が……?」 
「そ…、どうやら翠星石は真紅を嫌ってたみたいだからね……フフ」 
「翠星石が私を……嫌って……?」 
「”私のジュン”を独り占めにしたって、凄い形相で怒ってたよ…」 
「……………そんな…」 
黙り込む真紅。心当たりは在る様だ。 
「……、だからと言ってどうして貴方が夢の扉を……開けるの?夢の庭師でもない貴方が……」 
「翠星石はね………」 
「………?」 

「僕と、一つ、だから」 

「ジュン……、一体…何を…?ッあっ!」 
強引に真紅の体を、自分の体に密着させるジュン。 
「気付かない……?この鼓動……」 
ドクン、ドクン、とジュンの鼓動以外に感じる、一つの小さな鼓動。 
そして、その存在に気付いてしまった真紅。 

「嘘……………」 

あまりの信じられない出来事に、小さく涙を流す真紅。 
彼女が、ジュンの中に居る……。 
「嘘…、嘘よ……、ねぇ、ジュン……嘘と言って…」 
「フフ、翠星石をこうしてしまったのも、真紅の責任だよ…」 
「嘘よ……、嘘よ……、嘘よ……」 
「フフ、泣いている顔も可愛いね……」 
真紅の着ているドレスを脱がし、それを放り捨てる。 
翠星石同様、雪の様に白い肌がジュンの目の前に広がる。 

「翠星石……」 
「泣かないで真紅……、悲しがる事は無いよ……」 
真紅との2度目のキス。だが、彼女の体に、活力が無い。 
「どうして…、翠星石を殺したの………」 
「…彼女は、生きる事に疲れたんだってさ」 
「生きる事に……疲れた……?」 
「本当だよ……フフ、でも、そうしたのは真紅の責任だよ…」 
「嘘よ…翠星石が…そんな…」 
「嘘なんて言っても意味が無いだろう………?」 
「でも……もう此の世には居ない翠星石の心配をするより自分の心配をした方が良いんじゃない?」 

「ジュン……、一体それは……どう言う…………んァァァァッ!」 

そう、とうとう彼の真紅へ対する本当の陵辱が始まるのだ。 

「真紅が、壊れない様に……って事さ」 
真紅の下着の上から、彼女の秘所に指を入れる。 
そこは、彼女の愛液でドロドロに成っていた。 
「凄いね……、キスだけでこんなに成っちゃうなんて…」 
「ァァァッァァッ……ジュ、ジュン………んはァッ…!…止め……」 
「止めて?フフ、まだ恥ずかしいの?大丈夫、真紅のして欲しいことは解ってるから…」 

「そん………な………ッひァッ!」 

秘所から指を抜き、彼女のワレメに沿って指を滑らせる。 
「ちょっと触っただけでこれだ……、触られるの大好きなんだね…フフ」 
「ハァ……ハァ……そんな事……な……んぁッ!」 
「……、嘘を付く悪い乙女には御仕置きしないとね」 
充血してパンパンになった、彼女のクリトリスをキツク抓る。 

「う”ぁぁあああああッ!」 

抓られた途端、余りの快感に体が反応してしまったのか体を大きく反らせ、下品な声を上げる真紅。 
その真紅の声を聞いただけで、ジュンも背中がゾクゾクとした。 
「あああああああ、真紅、その声も最高だ……、君が可愛い声で鳴く度に、寒気がするよ……!」 
「や……ぁ………!やめ……て……ジュ……ン」 
「もっともっと、鳴いて!鳴いて!鳴いて!僕を喜ばせて!」 
抓んでいる指に更に力を加え、今度は強く引っ張る。 

「ひィィいいィい!」 

「あははははははは!良い?真紅!キモチイイ!?遠慮せずにイって良いんだよ!アハハハッハハ!」 
まるでおもちゃで遊ぶかのように、ジュンは真紅のそれを引っ張ったり抓ったり、何度も繰り返した。 
真紅は、ジュンに止めて貰う様に必死に叫ぶが、今の彼に真紅の声は届かなかった。 

「あああああ!……あ!あ!あ!ダメ!ダメ!ダメダメダメダメエエエエエエエエエエ!」 

ビクビクビク!と体を強く反らせながら真紅は激しく体を痙攣させる。 
「嫌…!……嫌ぁ…!」 
「あははははは!イっちゃった?真紅!?キモチイイ?ねぇ、キモチイイ?」 
余りにジュンが強く真紅のソレを苛め過ぎてしまったからだろう。 
真紅の秘所から、彼女の黄金水が漏れてきた。 
「うぅ……こんなの嫌ぁ…嫌ぁ…嫌ぁ……あああぁぁああ」 
両手を鎖で繋がれているせいで真っ赤になった顔を隠せず、子供の様に泣きじゃくる。 
−、恥ずかしくて死にそうだった。クリトリスを責められて失禁してしまうなんて。 
「あはっ……、真紅……気持ち良過ぎておしっこ漏らしちゃったんだ……可愛いぃ…」 
「止めて……止めて……、言わないで……ジュン……」 
−、死にたい、死にたい。そう思った。 
「ははっ、本当はもっと言って欲しいんでしょ?遠慮しないでよ、真紅」 
彼女のワレメを舐めながら、ジュンは笑う。 
「フフ、でも、真紅ばっかり気持ちよく成ってちゃ不公平だよ………」 
立ち上がり、ズボンのベルトを外す。 

「あ………あ………」 
「フフっ、現実で本物を見るのは初めて?」 
パンツの下からでも見えるジュンのソレは、真紅の喘ぎ声を聞いて完全に戦闘状態に成っていた。 
真紅も、現実では始めてみる男性の性器に恐怖し顔を歪める。 

「さぁ…僕もキモチヨクしてよ……真紅の口で……」 

真紅の顔の前に、そのそそり立った男根を近づける。 
ジュンの男根は、真紅の口にとっては大きすぎる。 
「そ……そんな…、む……無理よ…ジュン……、お、大きすぎ………ンぐッ…!」 
躊躇う真紅など知った事か、ばりにジュンは、真紅の頭を掴み彼女の口の中に一気にソレを突っ込む。 
そして、真紅の顔に叩き付けるかの如く腰を振り始める。 

「ん”ッ”…ン”っ”…!」 

喉の奥まで突かれる真紅。彼女が吐きそうな素振りをしても、ジュンはその腰を止める事は無かった。 
「真紅ぅ…真紅ゥ!君の口の中……、最高だよぅ…!キツクて、温かくて……あぁ……スグにでもイってしまいそうだ!」 
ジュンのイラマチオに耐えられなくなった真紅は彼から逃げようとしたが、手足が拘束されているせいもあって、逃げ出せない。 
「んぐっ!………ンンッ!んっ!……」 
「あぁ……、イクっ……!」 
しばらくしてジュンが少し腰の動きを弱くすると同時に、口の中でジュンのそれが痙攣し、真紅の喉の奥に直接精液を流し込む。 
そして引き抜かれる、ジュンの男根。 

「けほッ!ケほっ!……ハァ、ハァ、ハァ……ッはぁ!」 

強制的なイラマチオのせいで、息が出来ず、呼吸を整えるのに精一杯な真紅。 
「ははっ、ゴメンネ真紅、苦しかった?」 
「ゲホッ、ゲホッ!……ジュ、ジュン……ゲホッ!…あな…た……げほっ!」 
「……ん〜?まだ、そんな反抗的な眼をするんだ…?」 
未だに真紅の呼吸は整っていない。 
しかしソレにもかかわらず、ジュンは再び彼女の口に強引に男根を押し込んだ。 

「ん”ーーーーーー!」 

「真紅ぅ、ダメだよ……自分の立場を理解しなきゃぁ」 
再び腰を動かし始める。彼女の喉の奥まで、深く、ソレを突き刺す。 
じゅぶ!じゅぶ!と真紅の唾液とジュンの精液が擦り合い、下品な液体の音を出す。 
口で呼吸が出来ないず、恥ずかしい程の鼻の息を立てながら、呼吸をする真紅。 
酸素が、足りない。 

「ん”!ん”!んんっ!」 

「イイよ真紅ぅ……その、苦しすぎて歪む顔も可愛い……あはっ!」 
さっき流し込んだ精液が真紅の鼻から泡立ちながら逆流する。 
精液まみれの彼女の顔は、ジュンにとって最高に美しく見えた。 
そして、2度目の射精。 
「あぁぁ……、さっき出したばっかりなのにもうイッちゃった……本当に真紅の口はエッチ過ぎるよ」 

「…………」 

「あれぇ、真紅ぅ?」 
ドサリ、とその場に倒れこむ真紅。どうやら、呼吸が出来ず意識を失ってしまったらしい。 
彼女の鼻にも口にも、恐ろしい程のジュンの精液が流れ込んでいた。 
「真紅が白眼むいて気絶しちゃったぁ……そんなに僕の精液美味しかったのかなぁ……?」 
そう言いながら、真紅の顔から精液を拭き取る。 
「起きるまで待つかぁ……、時間は、たっぷり在るんだしね……」 

深淵への扉は、開かれた。 

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最終話(上)は此処までです。ちょっと今回は卑猥な言葉を使いすぎました…。 
18禁の板だ…って事で見逃してください。(逃 

それでは、また。 
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■Scarlet Palace 2-5 - 楽園と少女(下) 
†† ??時??分 紅の宮殿・真紅の部屋 †† 

「んぅん………」 
ベッドの上で体をくねらせながら真紅は眼を覚ます。 
未だに、彼女に装着された鎖は外されていない。 
「あ…真紅……。眼、覚めたかい?」 
「ジュン………」 
「びっくりしたよ…、急に真紅倒れちゃうから…フフ」 

倒れちゃうから−、その言葉で真紅はついさっきまで自分が何をされていたのかを思いだした。 
ジュンに因る、本当に死んでしまうかと思えるほどの強制的なフェラ。 

恐ろしかった−、私の知っているジュンはもっと優しくて、お父様の様に温かく接してくれて…。 
けれども素直に成らない……そんなジュンだった。 

でも−、今のジュンは違う。まるで何者かに操られているかのようだった。 
行動一つ一つが、ジュンじゃない。彼であって彼じゃない−、だから怖かった。 

「うぅっ………うっ……うっ」 
突然、鳴き始める真紅。 
「どうしたんだい……真紅?急に泣き出してしまって……」 
「どうして……、ジュン……」 
「…?」 
「どうして……、貴方は変わってしまったの?」 
「僕が……、変わった?」 
「確かに私は貴方に恋をしていた…、貴方に抱かれたい、貴方に愛されたい……そう思っていた…でも…」 
「真紅…?」 
「今の貴方は……、私の知っているジュンじゃない……」 
「…………」 
「何が……、貴方をそうさせてしまったの?何故……、貴方は変わってしまったの?」 

悲しくて、悲しくて、怖くて、怖くて、涙が止まらなかった。 
強制的に犯されたことや、殺され掛けた事が悲しいわけでは無く、ただ純粋に、ジュンが変わってしまった事。 
のりが言っていた、あの言葉−、「ほんの一瞬の出来事で、全てが元に戻ってしまう気がするの」を思い出してしまった事。 
「もう戻れないのでは無いか」と言う恐怖。怖くて、怖くて、涙が止まらなかった。 

「そうだね………、敢えて言うなら君のせいかな、真紅」 
「私の………、せい…………?」 
「そ。僕も、翠星石も、君のせいで壊れちゃったんだ」 
「そんな………!−、私が一体何を………」 

「まず翠星石が、君によって壊された。心の支えである”僕”を君によって、全て奪われてしまったからね」 
「そんな………事で……?−、嘘よ…翠星石が……そんな」 
「そんな事?真紅にとっては大した事じゃないかもしれない。でも、翠星石にとっては死活問題だったらしいよ…?」 
「私が……、ジュンを彼女から奪った………なんて………」 

真紅はそんなつもりは無くても、翠星石にとっては死活問題だった−。 
今と成っては定かではない翠星石の思い−、知りたくても知れない彼女の思い。 
全てが遅すぎた。 

「そして、僕も君によって壊された……、理由は……言わずとも理解出来るよね」 
「………私の夢を…見てしまったから……、貴方は変わってしまったと言うの?」 
「かもしれないね。僕も確信は出来ない。でもね、真紅」 
「−、……………」 

「君達ドールズと違って人間は、本当に脆い。”ほんの一瞬の出来事”で、壊れてしまう事も在るんだ。 
例え、それがどんなに些細な事だったとしても」 

−、嫌…、のりと同じ事を言わないで。 
「……嫌………嫌よ………」 
「何が、嫌なんだい?僕が壊れてしまった事が嫌なのかい?」 
「…もう……戻れない……貴方は…元に戻れないの……?」 
「…戻る?戻る必要なんか無いよ……。これから僕と真紅は此処で永遠に、暮らすんだフフ…」 
「ここで……永遠に暮ら……す?」 
「フフ、そうだよ…僕は今、凄く幸せな気分だ」 

−、幸せ……、その言葉で、ふと昔の事を思い出す。 
−、幸せ……。 

ネジを巻かれて、契約した時のジュンの顔。 

初めて見たときは冴えない人間だと思った。 
引き篭もりで、性格が最高に捻くれていて、更に姉を敬わない。 
何でこんな人間に巻かれてしまったのだろう?最悪だ。 

真紅はそう思った。 

だけど、一緒に生活している内に段々、彼を意識するようになった。 
捻くれてるけど優しくて、あったかい力を秘めたジュン。 
彼と一緒に居ると、とても幸せな気分に成れた。 

いつものようにジュンとティータイムを楽しんで。 
いつものようにジュンと些細な事で喧嘩をして。 
いつものようにジュンと仲良く笑ってテレビを見て。 
いつものようにジュンと一緒にご飯を食べて。 

うん。それだけで私は、幸せだったんだ。 

だけど……、私は…欲張りすぎたのだ。 
ジュンの全てを欲しく成っちゃったから。 

それに……、これは”私”だけの幸せ。 
私だけが幸せに成れたとしても…他の姉妹はどうなるの? 

ジャラリ、と真紅を拘束する鎖が音を立てる。 
−、贖罪。そんな言葉が真紅の脳裏を過ぎった。 

あぁ、そうか、解っちゃった−、これは私への−、お父様からの罰だ。 
−、薔薇乙女としての立場を忘れ意地汚く欲張った、私への罰。 
−、姉妹への思いやりが足りず、自分の事ばかり考えていた、私への罰。 

「……幸せ……?」 
「フフ、僕は幸せだよ真紅……君と一緒に居られるから」 

私は、罪を償わなければならないのですね−、お父様。 

−、私は、お父様の顔にドロを塗ってしまった。 
−、そして最愛の人であるジュンを壊してしまった。 

私は− 

−、自分の幸せしか願わない、悪い人形。 
−、他人の事を考えられない、悪い人形。 

その結果−、愛する人を壊してしまい、姉妹までも壊してしまった。 

−、だから……私は、罪を償わなければ成らない。 

「ジュン………」 
「真紅………」 

「私を抱いて…。それで…貴方が幸せになれるなら−………」 

−、ジュンを幸せにする事が、私の贖罪。 

虚ろな瞳で、ジュンに告げる真紅。 

−、うん。 
−、私が壊してしまったんだから…私が、彼を助けないと…。 

そして、舌なめずりをしながらジュンは言った。 

「勿論だよ、真紅。君が壊れるほど僕が抱いて、愛してあげる。…、僕と一緒に幸せに成ろう」 

−、一緒…に? 

「一緒………に………?」 
「僕は君が好き…君も僕が好き……一緒に、幸せに成ろう」 
「−、でも……私には幸せに成る……資格が無い…」 
「うん、無いね。君は薔薇乙女としてあるまじき大罪を犯してしまったんだ…」 

−うん、解ってる。だから……、貴方に従います−ご主人様(マスター)。 
−償わさせてください、私の罪を。 

「…………」 
「でも…、ね」 
「………?」 

「君が幸せに成る資格を持っていなくても、僕が、君を幸せにしてあげる。君の罪を、僕も背負うよ…」 

「…………ご主人………様」 
「だから、一緒に幸せに成ろ?真紅?」 
「あぁ……ご主人様………」 
「君は僕の事だけを考えて、僕は君の事だけを考える……」 

−、あぁ、何と言う事でしょう。涙が、止まりません。 

「真紅……………大好きだよ」 

−、大好きです、狂おしい程に、貴方の事が大好きです。 

「大好きです………ご主人様」 

−あぁ、お父様……、なんと言う事でしょう。 

        …、美しき棘を持ち、凛々しい薔薇も、栄養を取りすぎればそれは腐る。 

−、こんな、欲張りで、我が儘で、罪深い私を、ご主人様が愛してくれます。 
−、私が幸せになんて成っては、いけないのに。 

        腐った薔薇の茎は自身を支える事は出来ず− 

−、お父様、私はダメなお人形です。……でも、幸せなお人形です。 

        朽ちて行く定めに在る。 

−、そして、御免なさい。私は、お父様よりご主人様を選びます。 

        そして、再び咲く事は、2度と、無い。 

−、有り難う御座いました。お父様。……そして、さようなら。 

----
Be End 

を書き込むのを忘れていた206です。真夜中にこんばんわ。 
真紅をもっと肉体的に苛めたかったんですが、彼女はトロイメント見る限り 
凄く精神的に弱そうなので(水銀橙辺りです)、翠星石とジュンの壊れた事を 
薪に徹底的に精神的苛めをしよう、と考えてみました。 
結果、エロが無くなり悲惨な事になりましたが……。 

なんかパッとしない最終話ですが、最後まで読んでくださった皆さんに感謝です。 
もし次に機会があれば薔薇*JUMのお話でも書いてみたいなぁ…と考えています。 

それでは、また。 

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