>>452の続きです。
今回は文中でドールが死んでしまうのでこの板に書き込むべきでは
無いと考え、アップローダーを使用しました。
URL:ttp://www.uploda.org/uporg307939.txt.html
PASS:sink
です。
もう少しで終わりなので楽しんで下さっている方には更に楽しめるように精進します。
それでは。
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■Scarlet Palace 2-4
+++7時00分 ジュンの部屋+++
「…………、朝か」
ジュンの目がゆっくりと開かれる。今日は、翠星石が起こしに来ない。
(…………、翠星石)
ジュンはうつ伏せの状態で寝ていた。
窓の外に眼をやる。雨だ。まだどうやら降っているらしく、朝だというのに外は暗かった。
「………」
昨日の夜の出来事を思い出すジュン。
「………、簡単な事じゃないか」
ボソリと呟くジュン。
「あら、目が覚めたの?」
頭元に、何者かの気配を感じた。
勿論それは、紅いドレスを見にまとい金髪のツインテールを垂らしている彼女だった。
朝から、ジュンの頭元で本を読んでいた。
「真紅か………おはよう」
「おはよう、ジュン」
「……・・・、翠星石は?」
「お爺さんとお婆さんの所へ行ってるわよ、彼女がどうかしたの?」
「否……、何でも無いよ………真紅」
その刹那、ジュンは本を読んでいる真紅を後ろから抱かかえ布団の中に引きずり込み羽交い締めにした。
彼女の読んでいた本が地に落ちる。
「キャッ……!ジュ、ジュン………何をするの?」
(………これが、真紅の抱き心地かぁ……、真紅の鼓動……可愛いなぁ)
彼女の体を通して心臓の鼓動……厳密に言えば心臓ではないが、鼓動が伝わってくる。
「真紅………」
「ジュン……?」
「何で昨日、僕と一緒に寝たんだ?」
「そ、それは………」
「それは?」
”貴方に抱かれたかったから”なんて真紅は言えなかった。
ここは夢の中では無く、現実なのだから。
「き、気まぐれよ。たまには人間のベッドで寝るのも悪くない、と思って……」
「………、嘘は良くないなぁ」
「……ッ!」
真紅の小さな乳房に後ろから両手を添え揉み解し、真紅の耳たぶに噛み付く。
「フフ……、今日も真紅は何だか変だね」
「ァゥ……ジュ、ジュン………」
「抵抗しないんだ……。何時もだったら、”触るな”とか”下品ね”とか言って引っ叩く癖に……」
ジュンは、真紅が抵抗しない事を完全に確信していた。
そう、例え今ここで僕が、彼女の秘所に手を伸ばしても………彼女は抵抗せずに受け入れるだろう。
そしてジュンは、抵抗しないで小さな喘ぎ声を上げる真紅の秘所に、指先を伸ばす。
「………ッ!嫌ッ!」
「ッて!」
ジュンの陵辱に耐えられなくなった真紅は、お得意のツインテール鞭を使い、ジュンの羽交い締めから脱出する。
「……………」
ちょっと意外だ。ジュンはそう思った。
「な、何をするの!………ジュン」
「……………」
「ジュン…………?」
「…………、やっぱり、現実でするのは、未だ怖いんだ」
布団の中から、ジュンの声が聞こえた。
「ぇ………、ジュ、ジュン…?今………何て?」
ジュンの一言で、真紅の顔は真っ青に成る。
一歩ずつ後ずさる真紅。
「…………、怖がる事は無いよ真紅……現実も夢も、一緒だから……」
「!?」
ジュンの一言に耐えられなくなった真紅は、とっさにジュンの部屋から逃げ出した。
「…………、ふふ、やっぱり、果実は熟さないと食べられない…か」
そう言うとジュンは、ベッドの中から出てきて、着替えを手に風呂場へ向かった。
+++8時36分 リビングルーム+++
シャワーを浴びて着替えた後、ジュンは朝食を取りにリビングルームへやって来た。
リビングルームにはのりと真紅が居た。
「おはよう、ねーちゃん、真紅」
そうすると、テレビを見ていたのりと真紅がこっちを向いた。
「あら、ジュン君、おはよう」
勿論、真紅はこちらを見るだけで何も言わなかった。
「何か作ろうか?」
「いーよ、適当に自分で作るから」
と言っても、フレークやその程度だが。
椅子に座り、1人で朝食をモソモソと食べ始める。
すると……。
(ねぇ、ジュン君)
のりがジュンの所へやって来た。
(……何?)
(朝から真紅ちゃん、元気が無いみたいなんだけど……何でか知ってる?)
(……知らないよ、ってか何で僕に聞くんだよ)
(だって……真紅ちゃんの事はジュン君が一番知ってるかと思って……翠星石ちゃんは出かけちゃってるし…)
心の中で、ニヤリと笑うジュン。
(さぁ、まぁ放って置けば治るんじゃないの?)
(だと良いんだけど………)
「ま、とりあえず朝食も摂ったし僕はまた図書館に行って来るよ」
「あら今日も……?雨なのに頑張るわねぇ」
「もう慣れたよ、歩くのも勉強も」
空になった皿を台所へ運び、水の中に放り投げる。
「それじゃ、また後で」
「いってらっしゃ?い、頑張ってね?」
そう言ってジュンは、リビングルームを後にした。
+++9時50分 高台付近・廃棄された家+++
桜田家からそう遠くない所に、その廃棄された家はあった。
その廃棄された家は10数年近く前から在るというのに不思議な事に未だに撤去されない。
”呪われている”とか”幽霊が住んでいる”とか心霊系のゴシップを良く聞くが真相は定かでは無い。
「………、雨、益々強くなってきたな」
有刺鉄線で塞がれた門を軽々と越え、ジュンは言った。
「………、何で、撤去されないんだろうな、この家」
ジュンは良く、子供の頃友達と良く此処に来ていた。
「………、良くここで姉ちゃんに怒られたっけ」
昔の記憶が蘇る。それはまるで、走馬灯の様に。
「僕は、死ぬのかも」
腐り掛けた扉を開き、中に入る。
カビの匂いが酷い。所々に穴も開いてて、雨漏れもしている。
「………」
壊れた家具、カビだらけの壁、穴だらけの屋根。
「………、撤去されないのは、呪いのせい…ね」
ガシャンッ!と、腐りかけた家具を思い切り蹴飛ばし隅へ吹き飛ばす。
「早く来ないかな………翠星石」
雨で濡れていない椅子に腰を掛けるジュン。
雨は更に強さを増し、時々雷の音も聞こえる。
「僕は運が良いな………、こんな時に雨が降ってくれるなんて」
と、そこで、入り口から扉の開く音が聞こえた。
「………、来てくれたんだね、翠星石」
椅子から立ち上がるジュン。
「ジュ、ジュン………?そこに居るのですか……?」
「あぁ、僕は此処に居るよ………」
「ジュン………」
扉越しから翠星石が姿を見せた。
「おいで……、翠星石」
ジュンはそう言って、翠星石へ歩み寄り、彼女を抱きかかえる。
翠星石は恥ずかしそうに眼を逸らした。
「あ、あの……ジュン?」
「何だい、翠星石?」
「何で、翠星石をこんな所に呼んだのですか?」
「………」
「ジュン…?」
「大切な、話が在るからだよ」
「大切な……………、話?」
「そう、家の中じゃ、言えない、大切な、話…」
翠星石と、唇を重ねるジュン。
「んッ…………ジュ、ジュン……?」
そしてジュンは、翠星石の耳元で囁いた。
「お前が、欲しい、翠星石」
「えっ………?」
突然の、告白。
「聞こえなかったのかい?僕は、お前が欲しいんだ、翠星石」
ジュンの突然の告白に戸惑う翠星石。自分の耳を疑った。
何故、真紅では無く、私?ジュンは真紅の事を好きだったんじゃないのか?
「で、でも………、ジュンは真紅の事を好きなんじゃ……」
たまらず翠星石は聞き返した。
翠星石は嬉しかった。ジュンの口からその様な言葉が聞こえて。
しかし、ソレと同時に翠星石はジュンの何処かに”恐怖”を感じたのだ。
「僕は、真紅が好きだ…なんて一度も言っていないよ……僕の可愛い……翠星石」
再び、唇を重ねる2人。もう翠星石はジュンのペースから抜け出す事が出来なかった。
”怖い”、と心の底では感じている。しかし翠星石は、思考が麻痺していた。
ジュンが、私の事を愛してくれている。
そう考えるだけで、彼女は何も考えられなくなり涙が止まらなくなった。
「うっ……うぅ……ジュン…」
ジュンの体に、思い切り抱きつき返す翠星石。
「泣かないで……翠星石」
ジュンも、翠星石の事を抱き返す。
「ジュンゥ…………、ジュンゥ………」
「そんなに、翠星石は僕の事が好きなのかい?」
その質問に、一呼吸置いて翠星石は答えた。
「大好きですぅ。もう、ジュン無しでは生きて行けない位、大好きですぅ……ジュンゥ…」
子犬の様に泣きじゃくり、ジュンに抱きつきひたすら彼の名前を連呼する。
「翠星石…………僕も、君の事は好きだよ…………」
「ジュン………」
「だから………………………………………………………………」
「だか…ら?」
「僕と、一つに成ろう。翠星石」
「え………、どう言う意味で………っきゃぁ!」
翠星石を抱かかえる腕に、力を加え、キツくする。
「言葉のままだよ………、僕と、一つになろ………翠星石」
「ッくァ………何ッ……を………ジュ……ン……」
更に、抱く腕に力を加えるジュン。
ミシ、ミシ、と、翠星石の体が締め付けられていく音がする。
部屋の外では、落雷が激しい光と共に唸り声を上げている。
「く、ぅく……る……し……じゅ………ん」
バタバタと手足をバタつかせる翠星石。
しかし、ジュンに強くし体を締められ身動きが取れない。
そして強く締め付けられすぎて呼吸が出来無い為、段々と彼女の顔が青白く成って行く。
「一緒に成ろ………、翠星石。そうすれば………悲しく無いよ」
「ぅぁ………………………じゅ……………」
ジュンは、そのまま翠星石を締め続ける。
「……………、ど………ぅ………し……て……」
やがて、彼女の足腕は力無く垂れ下がる。
「じゅ………………………………………」
「ゴメンね、…………、翠星石……………」
その言葉を最後に、彼女の体は、活動を停止する。
そして、彼女の体の中から現れる、ヒトカケラの、神々しい、魂。
「ローザ……………ミスティカ………あはぁ…っ」
翠星石のローザミスティカを手に取ると、ジュンはそれを一気に飲み込む。
「これで…………、一緒だね……翠星石」
動かなくなった翠星石の唇に3回目の、キス。
「泣かないで……、僕はもう君を話さないから」
翠星石を抱かかえ、立ち上がる。
「スィドリーム………夢の扉を開いておくれ」
翠星石の傍に居たスィドリームが、ジュンの命令に従い夢の扉を開く。
そう、ジュンは翠星石のローザミスティカを飲み込み、彼女の力を手に入れたのだ。
「さぁ………、翠星石、君を……食べてあげるよ……夢の中でね。体の隅々まで僕と1つに成ろう…」
そう言って、ジュンは夢の扉の中へ姿を消して行った。
激しい雨と落雷は、未だ、降り続いている。
+++PM:7時00分 リビングルーム+++
一つのテーブルを、真紅、ジュン、のりが囲んで夕食を食べる。
今日は、何かが足りない。開いた席。足りない存在。
静か過ぎる夕食。誰一人、口を開こうとはしなかった。
響くのは、雨の音。夏の終わりの珍しい豪雨。
「……ね、ねぇ、のり」
沈黙の晩餐を一番に裂いたのは、真紅の一言だった。
「きょ、今日は貴方の所で寝て良いかしら?」
「え?」
夕食に手を掛けながら真紅が言った。
「え、私の所で、寝たいの?真紅ちゃん」
「え、えぇ、なんだか最近ジュンは夜遅くまで勉強しているみたいだから……」
チラリ、と隣に居るジュンに眼をやる真紅。見るからに彼女の眼は、ジュンを恐れていた。
「ダメだよ、姉ちゃんは明日もラクロスの朝練が在るんだろ?」
ジュンが、真紅達の会話に割り込む。
「それぐらいならお姉ちゃんは大丈夫よぅ」
「…………」
手にしていた箸とご飯の皿をテーブルに置き、椅子から立ち上がるジュン。
さっきからチマチマと食べていたので、彼の夕食は殆ど残っている。
「ご馳走さま」
「あ、あれ、ジュン君…殆ど残ってるじゃない……お腹空いてないの?」
「うん……何か学校へ行く事考えると……ちょっとね」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。心配させてゴメン」
「そ、そう…。お腹が空いたら言ってね。何か作るから」
「うん、ありがとう」
そう言ってジュンはリビングルームを出て行った。
「………、何か急に寂しく成っちゃったね」
のりが、真紅にそう言った。
「のり…………」
「つい、この前までは雛苺ちゃんや蒼星石ちゃん、翠星石ちゃん達と楽しく夕食を食べてたのにね……」
「そうね………」
「翠星石ちゃんはしばらくお爺さんとお婆さんの所に住むらしいけど………」
「………………」
「私ね、何か怖いんだ」
「…?」
「また、昔の生活に戻っちゃうんじゃないか、って」
「のり……、それは…どう言う意味…?」
「ジュン君は確かに変わってきてる、毎日学校に行くために勉強もしてるし、昔より全然笑うようになった。
巴ちゃんや、昔の友達とも最近は遊んでいるらしいわ…・………でも…………」
「でも………?」
「なんかね、こう、本当に一瞬の出来事で、全部が消えちゃうような気がするの」
「…………」
「あっ、ご、ごめんね、真紅ちゃん。食事中にこんな暗い話しちゃって」
「…………」
「も、もう、そんなに怖い顔しないでよぅ。私の勘なんて昔から一回も当たった事無いんだから!」
「のり……」
「さ、さぁ、もうこんな暗い話はやめて、テレビでも見ながら美味しく食べよう?ね?」
「…………そうね」
2人は食事に戻る。心做しか、雨が少し弱まったような感じがした。
+++PM:8時50分 ジュンの部屋+++
彼の部屋の中は真っ暗で、不気味だった。
まるで、今の彼の心の中の様に。
彼はテーブルの灯りだけをつけ、ノートになにやら一生懸命書き込んでいた。
「フ、フ、フ……真紅……僕からは逃げられないよ………」
ノートのページが一杯になったのか、次のページを捲る。
「………可愛かったなぁ、あの、僕に怯える顔………・・くぅうううう!」
ガチャリ、とドアの開く音がする。
「お姫様の……登場だ」
ドアを越えて、真紅がやって来た。
「ジュ、ジュン……、どうしたの、こんなに部屋を暗くして……」
「特に何も無いよ……、真紅こそどうしたんだい?姉ちゃんの部屋で寝るんじゃ?」
「え、えぇ、だからその為に鞄を取りに来たの」
「鞄ね………、鞄ならそこだよ」
と言ってジュンは、ベッドの上に指を差す。
「……………」
「取りに行かないのかい?」
「灯りをつけていいかしら?」
「ん、あぁ、ゴメン。今つけるよ」
そう言うとジュンは椅子から立ち上がり、部屋の明かりをつけた。
部屋の灯りをつけるスイッチはドアの横に在る。
暗闇に光が舞い戻る。
「あ、ありがとう………」
「お礼を言われる程の事じゃないよ…………」
唐突にジュンは、部屋のドアを閉め、再び電気を消す。
「……真紅って翠星石の言った通りM体質なのかもね、こうなるって予想出来てて此処に来たんだろう?」
「ジュ………ジュン…………」
ジュンがパチンッと指を鳴らすと、見覚えの在る緑色の人工妖精が彼の後ろから姿を現す。
「ス、スィドリーム?」
「 オ ヤ ス ミ 」
「ジュ………」
夢の扉を開くジュン。真紅は一瞬にして、眠り込んでしまった。
眠り込んだ真紅を、両手で抱え、立ち上がる。
「フフフフフフフ、真紅…………、お楽しみは、これからだよ」
不気味に笑いながら、呟きながら、青白く揺らめく夢の扉へ向かって、ジュンは歩いていった。