ちょっと投下してみる(`・ω・´) 
みんな色々性格違うけど気にしないでね。 
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「…甘いわあ…真紅ぅ…」 
足元の赤い塊を踏みにじりながら、漆黒の翼を広げた人形が嘲る。 
全身を勝利の愉悦が駆け巡る。 
「う…うう…」 
赤い塊がか細い声で悶える。その弱々しい声が黒い人形…水銀燈には心地良い。 
「良い格好ねえ…」 
そう言いつつ、赤い塊…ローゼンメイデンの第5ドール…真紅を足蹴にする。 
「今から他の情けない姉妹たちともども、ジャンクにしてあげるわあ…」 
「う、あっ!?あ、ああああっ!!」 
残酷な笑みを携え、水銀燈は相手を破壊する方法を楽しそうに考える。 
まずは、このもっとも憎らしい姉妹の四肢を分断し、完全に無力化してしまおう。 
さらに、既に息も絶え絶えの状態でこの戦闘領域の周囲で蹲っている、真紅に味方する 
忌々しい姉妹たちを、彼女の目の前で、ジャンクにする。 
果てしない無力感と苦痛、そして絶望に苛まれている中、目の前で大切な姉妹を 
失う気分とはどんなものであろうか?もっとも、自分には「大切な」姉妹などはいないので 
永遠に理解することなど出来ないだろうけど…水銀燈はそんな風に思いながら、 
真紅の−これから失われることとなるだろう−右手に頬擦りする。 
「さあ、行くわよお…真紅ぅ…」 
「や…やめて頂戴…っ、水銀燈…ぉっ!あ、あああっ!?…あ、あ、ああ…?」 
「あらあ?命乞いぃ?うれしいわあ…貴方がそんな態度を見せてくれるなんて…」 
今まで見たことが無いほどに、弱々しい表情を浮かべる真紅に、水銀燈は何とも言い難い感情を抱いた。 
「でも残念、それももうすぐ聞けなくなっちゃうんだからあ…」 
サディスティックな笑みを浮かべ、一気に、憎らしい姉妹の右手を… 
…力がこもらない。 
「し、真紅う…ほら、今から貴方はジャンクになるのよぉ…」 
…どうしても、最後の一歩が踏み出せない。 
(どうして!?こうしていられることは私の望み…そして、アリスに近づくために必要なのに…?) 
…それは、言うならば… 
(姉妹愛だとも言うのぉ!?馬鹿にしないで!) 
駄目だった。全身が言うことをきかない。必死にサディスティックな笑みを維持しようとするが、 
それすら上手くいかず、どこか不完全な印象の表情を形作ってしまう。 
その時だった。思いもしなかった自分の態度に戸惑いを隠せないでいる水銀燈に、乾いた声がかけられたのは。 
「…あら、水銀燈?どうしたの?」 
視線の先では、先ほどまであんなに弱々しい、無力な表情を浮かべていた真紅が、 
水銀燈の笑みなど比べようも無いほどにサディスティックで、冷たい微笑を自分に向けていた。 

「し、真紅ぅぅぅっ!?」 
まるで、自分の心の中が全て見透かされていたようで、怒りよりも羞恥心が燃え上がる。 
…この真紅なら、やれる。 
先程までの自分は、やはり、何かの間違いだったのだ。今なら、その失敗を帳消しに出来る。 
全身が思い通りに動く。水銀燈は、今度こそ自由に力が入る自分の腕で、憎き真紅の右腕を… 
「あっ、あ…がああああああああっ!?」 
水銀燈が決断しようとしたその瞬間には、既に相手の謀は完遂していたのだ。 
両腕が、両足が、真紅を破壊するのを躊躇ったとき以上に、その自由を失った。 
(な、なんで!真紅の力は確かに弱まっていたはずなのに…!?) 
視線の先に、生い茂る薔薇の蔦が見える。 

はめられた。自分はフェイントを取られたのだ。 

「…形勢逆転ね。水銀燈」 
「そ、そおぉ?」 
精一杯の強がり。だが、真紅はそんなものが通用する相手ではない。 
「さ、さっさとやりなさいよぉ!私が貴方にしたように…ジャンクにしてみたらぁっ!?」 
…もはや、これまでなのだ。水銀燈はそんな風に、自分を必死で納得させる。 
敗れたことは、確かにショックだったがそれほど問題ではない。 
ただ、今もベッドの上で自分の帰りを待ってくれている少女は… 
…水銀燈は、必死に涙を堪えて、残酷な笑みを作る。 
「は、早くしなさいよぉ!」 

「…そんなこと、しないのだわ」 
「…はあ?」 
「水銀燈、貴方も辛かったのね…」 
真紅の表情がまたしても変貌している。今度は、ありとあらゆることを包みこむ慈母のような優しい表情。 
「な、なに言ってるのお?」 
「そうね…メイメイを貸して頂戴。姉妹たちを直すのには協力してもらうのだわ。 
 …それぐらいはしてくれるでしょう?」 
真紅が何を言っているのかがわからない。 
目の前のこの姉妹は、さっきまで自分たちが演じていた死闘を忘却しているのだろうか? 
「…駄目なの?」 
今度は、すねたような表情。それは、まさに妹が姉に何かお願いをするときのそれだった。 
「…わ、わかったわぁ…め、メイメイ!」 
「ありがとう。水銀燈」 
自分を縛り付けていた薔薇の蔦が、いともあっさりと引いていく。 
だが、水銀燈の目には満面の笑顔の真紅だけが映っていた。 

それからのことは、さらに水銀燈を困惑させた。 
まず、真紅を倒す前に、既に彼女の手にかかっていた姉妹たちは、 
意識を取り戻すと、水銀燈に対して敵意を向けるどころか、治療のために 
人工精霊を動かしてくれたことを口々に感謝してきたのだ。 
さらに… 
「水銀燈、僕たちは君の事を誤解していたみたいだよ」 
「まったく…しょうがねえ姉ですけど、許してやらねえこともねえですぅ!」 
「ねえ、真紅!おなかすいたのー!水銀燈も誘ってみんなで晩御飯なのー!」 
「あら、それはいい考えね。さ、行きましょう。水銀燈」 
普段ならば何か反論する所だが、事態があまりにも予想外の方向に動いていたために、 
何も言うことが出来ず、なんだかよくわからないままに戦闘領域…nのフィールドを脱出したのであった。 

「はなまーるーはんばーぐー!おいしいのー!」 
「まったく、みっともないチビチビですぅ!ディナーの際にはしゃぐなんて、レディーのすることじゃねえですぅ!」 
「ほら、翠星石もほっぺたにソースをつけてるよ」 
「き、気のせいですぅ!」 
目の前で繰り広げられている光景は、水銀燈には、先程までの凄惨な戦闘などよりも遥かに理解しがたいものだった。 
「…」 
「あら、お口に合わなかった?」 
隣に座った真紅の声に、とっさに返事も出来ない。 
「ま、まあ、食べられないこともないわぁ…」 
「そう。よかったのだわ」 
真紅の声はなおも優しい。 
上の空の水銀燈でも、舌の上で繰り広げられる桃源郷には心を動かされていた。 
(これなら、めぐだって食べるかも…) 
…もしも、これを持って帰ったら、彼女は喜んでくれるだろうか。 
だったら、この際恥を忍んで包んでもらうことも…いやいや、もしかしたら、健康上良くないかもしれない… 
そんなことをぼんやりと考えてしまう。 
「まだまだあるから、遠慮しないで食べるのだわ。食べられそうに無かったら… 
 そうね、持って帰ってはどう?」 
「〜〜〜〜っ!?」 
やはり、全て見透かされているようで、思わず顔が真っ赤になる。 
「さ、さっきからなんなのよお?そんな風に優しくされたからって、 
 この私が貴方たちに尻尾を振るとでも思っているのお?」 
「あら、貴方は誇り高きローゼンメイデンの第1ドール。天地がひっくり返っても 
 そんな真似をしないことぐらい、みんなわかっているのだわ」 
「な、ならいいんだけどぉ…」 
…なにもよくはないのだが。 
(…なんて言えば、自然にハンバーグをめぐのところへ持って帰れるかしらぁ…) 
水銀燈は、完全に場のムードに飲まれていた。 
こうしていると、まるで―本物の姉妹―のよう…そんな風に考えている、なんてことは 
本人は間違いなく否定するだろうが。 
(めぐ…もうすぐ、ごはん…持って…帰るわぁ…め……ぐ……) 
意識はそこで断絶した。 

「…とう……ぎんとう…」 
頭の中に響く声に、意識が呼び起こされる。 
「め…ぐぅ…」 
寝ぼけた声でそれに応える。 
…少し冷静になって考える。自分は、真紅たちと戦い、敗北し… 
何故か夕食に招待され…そこで… 
記憶は途切れていた。 
「まったく、私はめぐなどという名前ではないのだわ」 
「…?し、真紅うっ!?」 
「夕食の最中に眠ってしまうなんて、マナーがなってないのだわ、水銀燈」 
「あ、あらあ…ご、ごめんなさあい…」 
悪びれもせずに、真紅に受け答えをする。それは、あの夕食のムードになれていたからか、 
何処か親しげなものであった。 

だが、 
「態度もなっていないのだわ!」 
返ってきたのは、自分を縛り上げたときや夕食のときの優しさを含んだ声ではなく、怒号。 
そして、平手打ちだった。 
「ちょ、ちょっとぉ!?」 
「お父様も…せっかくの第1ドールならば、もっときちんとした躾を施して欲しかったものだわ」 
なにがなにやら、水銀燈にはわからなかった。 
だが、真紅は水銀燈のことなどお構いなしである。 
「聞いているのっ?」 
再び、今度は先程とは正反対の左頬に平手が飛んできた。 
「い、いたぁっ!?な、なにをす、あっ!?」 
水銀燈の言葉が終わらぬうちに、真紅はもう一度右頬を平手打ちする。 
さらには、そのまま連打を開始する。 
「や、やめ、や、やあっ!いっ!あっ!」 
「それが返事なの?水銀燈…幾らなんでも、最低限の言葉ぐらいは身につけておくものなのだわ」 
「は、はあっ?あ、貴方なんかにっったぁっ!ひ、ひぃっ、あ…」 
「返事は、はいを1回よ」 
「は、はいはいっ!ぅくあっ!」 
「聞こえなかったの?はいは1回なのだわ」 
「は、はいっ!」 
未だ状況がつかめない水銀燈は、真紅に流されるがままに返事をする。 
と、同時に平手打ちが止み、ようやく彼女が冷静に状況を考えることの出来る時間が訪れた。 
(…やっぱり、さっきまでのは演技だったのね…) 
手足が動かない。真紅に敗れ去ったときと同様に、薔薇の蔦が全身をきつく締め上げている。 
これは、罠だったのだ。 
それにひっかかってしまった自分が悔しく、 
そして、あの夕食の情景を思い出して、なんだか寂しさを覚えた。 
「まったく…どうしようもない奴ですぅ!」 
「そうだね…こんな最低の姉を持った自分が恥ずかしいよ」 
打ちひしがれた状態の水銀燈に追い討ちをかけるかのごとく、その場に二人のドールが現れる。 
翠星石と蒼星石だ。 

「…二人とも、遅いのだわ」 
「まったく、チビチビの奴がいつまで経っても寝やがらねえから、苦労したですぅ!」 
3人が話しこんでいる間に、水銀燈はこの場を退却する方法を熟考していた。 
見る限り、ここは真紅たちが住んでいる家の物置か何処かのようだ。 
スキさえ見れば逃げ出す事だって…そう考えた水銀燈だったが、 
自分の体を縛り付ける薔薇の蔦が、果たして力を緩めるだろうか、と考えた。 
(なんとかして、あのお間抜けさんたちを出し抜かないとお…) 
「さて、水銀燈」 
「な、なによお…真紅…ひどいわあ…結局の所、私を傷つける気なんでしょう?」 
限界まで強がり、相手を馬鹿にしたような口調で言う。 
「いいえ」 
「じゃ、じゃあ、これをほどいてくれるう?」 
「私たちは、ただ貴方に躾を施すだけなのだわ」 
真紅の表情が、見えない。いや、怖くて見ることができないのだ。 
おそらくは…信じられないほどに、冷淡でサディスティックな表情を浮かべているのだろう。 
「あら、震えているの?水銀燈」 
「そ、そんなわけないじゃなぁい?」 
「そう…では、躾を開始するのだわ…そうそう、貴方がお食事に夢中になっている最中に 
人工精霊の方は私たちの手中に収めさせてもらったわ」 
「…っ!」 

負けた。完膚なきまでに負けていたのだ。おそらくは…自分が彼女を破壊するのを躊躇したあの時に。 
「し、躾とはまた…貴方らしい言い方ねえ…本当は私を苛めたいだけなんでしょお?」 
「誤解しないで頂戴。私は貴方を苛めたりなどはしないのだわ。それどころか… 
そうね、貴方をアリスに近づけてあげるのだわ」 
「は…はあぁ?」 
現在の状況がどうであれ、水銀燈は呆れたような、相手を小馬鹿にした物言いを崩さない。 
例え、もう一度あの忌々しい平手が飛んでこようとも。 
だが、 
「ほら、始めるのだわ」 
真紅の腕は素早く動くと、水銀燈の服に手をかけたのだ。 
「な、なにするのよぉ!?」 
「何度も言わせないで頂戴。貴方を躾けるのだわ」 
「や、やめなさぁいっ!」 
抵抗しようとしても、激しく動けば動くほど薔薇の蔦が身体に絡み付いてきて、 
何も出来そうにない。 
「ひ〜ひっひっひぃ…一丁前に恥ずかしがっていやがるですぅ!」 
「無様だね」 
取り巻きがなにか言っているが、そんなことはどうでもいい。 
水銀燈はとにもかくにも、真紅の無茶苦茶な行動を止めるのに必死であったのだ。 
「し、真紅うっ!もう、いい加減にしたらあっ!?」 
だが、本性を現した真紅の耳に、そんな声が届くはずも無かった。 

「う、真紅っ、真紅ぅっ…お、おね…」 
水銀燈は、そこまで言うと諦めたかのように、口をつぐんだ。 
思わず、下手に出て、媚びへつらった声を出しそうになった自分を憎んだのだ。 
「まったく、こんな所だけ大人なのに、内面はどうしようもないお子様ね」 
真紅の両手は、既に水銀燈の服の胸の部分だけをはだけさせていた。 
水銀燈は、自分の(ドールとしては)豊満な両胸が露出しているのに気付いて、 
今まで感じたことの無い感覚に襲われる。思わず、真紅から顔を背ける。 
「あら、なぁに?その顔は」 
「…悪いけど、変態と向き合うなんてごめんよぉ…」 
辛ければ、辛い時ほど胸を張ってしまう。 
それが事態を好転させてくれないことぐらいは、水銀燈も知っていたが。 

「…そう」 
「本当にどうしようもねえ奴ですぅ!真紅、とっととやっちまうですぅ! 
水銀燈だって所詮は女、穴さえ塞いじまえば、憎たらしい口もきかなくなるですぅ!」 
「貴方は黙っていて頂戴。私が、水銀燈が憎くてこんなことをしているのでは無いということを 
知りなさい!」 
「わ、わかったですぅ!」 
翠星石は明らかに怯えていた。 
「…な、なんだかわからないけどぉ…するんならさっさとしてくれるう?」 
一方、水銀燈は自分のペースだけは決して崩さない。自分のペースに相手を巻き込み、 
その場を制するのは自分の得意技なのだ、そう考えてのことである。 
「もっともぉ…貴方たちのすることなんて、どうせ幼稚で、私に傷一つ付けられないような 
ことでしょうけどぉ…」 
「水銀燈…何度も言わせないで頂戴!私は!貴方を!傷つけたりは!しない!のだわ!だわ!」 
ヒステリックな声を上げ、真紅が再び平手打ちを再開する。 
「いっ、ひっったっあ!?いっ!し、してるじゃないのぉっ!?」 
「…はあ…はあ…い、いいえ…これは、貴方のためなのだわ。さあ…始めるわ…」 
ようやく冷静さを取り戻した真紅だったが、その後にとった行動は、 
直接的な暴力よりも水銀燈に衝撃を与えるのに充分なものであった。 
「や、いやああっ!?やめっ、あ…や、やあ…破かないでぇ…」 
真紅は乱暴な手つきで水銀燈の下着を脱がせ始めたのだ。 
さらに、両足を縛っていた薔薇の蔦が動き出し、水銀燈の両足を持ち上げる。 
「…これでいいのだわ…」 
真紅は半ばうっとりとしたかのような表情で、水銀燈の姿を眺める。 
胸と局部を露出し、それらをこれ以上ないというほどに見せ付けるような格好の姉を。 
「さ、最低よぉ…っ!真紅ぅ…こんなことして恥ずかしいとは思わないのぉっ!?」 
恥ずかしいのは自分の方であるのだが、そんなことを口に出せるわけもない。 
「いい、水銀燈。貴方では…アリス…完全な少女にはなれないのだわ」 
いきなり何を言い出すのか、と思わずにはいられない真紅の言葉だが、 
水銀燈は恐ろしさに震えて口答えすることも出来ない。 
「でもね…多少美しい程度のものでも、徹底的に汚してしまえばそこに新たな美が生まれるのだわ…」 
そんなもの、口実に過ぎないのだろう、などとは言えそうもなかった。 
しばらくの間、真紅は無言で水銀燈の痴態を眺め、水銀燈は放心したかのように黙り込む沈黙が 
その場を支配していた。 

「真紅!こいつを持ってきたですぅ!」 

場の静寂を打ち破ったのは、翠星石の元気のいい声だった。 
その手には、なにやらぬいぐるみらしきものが抱かれている。 
「は、はあ…?あ…う、うそぉ…?」 

水銀燈は目を見開いた。 
翠星石が抱いている犬らしきものの人形の股間には、 
明らかに男性器を模したであろうパーツがぶら下がっていたのだ。 
「こいつをぶちこんじまえば、あの生意気なドールも涙と涎をひぃひぃ流して 
真紅のことをゴッドと崇める様になるですよ!さあ、さっさとやっちまうですぅ!!」 
さも、自分が名案を出したかのように胸を張る翠星石。 
まるで、真紅に対して褒めてくれ、と媚びへつらっているかのようであった。 

だが… 
「翠星石!!」 
胸を張って頭を撫でられるのを待っていたドールは、頭を撫でられる代わりに、 
顔面を拳で殴られていた。 
「ひ、ひいぃっ!!」 
水銀燈を平手打ちした時よりも激しい勢いで翠星石が吹っ飛ばされる 
。 
「翠星石、貴方、何を考えているの…?」 
「す、翠星石はっ、水銀燈を苦しめられるように、この前ジュンの部屋で見つけた 
こいつを持ってくれば、真紅にも喜んでもらえるとおも」 
言い終わらないうちに、今度は平手打ちが翠星石の顔面を襲った。 
「い、痛いですぅ!す、翠星石が悪かったですぅ!すみませんですぅ!」 
「…よりにもよって、神聖なくんくんをこんな場に持ってくるなんて… 
貴方にも躾が必要かもしれないわね…」 
「…そうだね、翠星石。君に少し失望しちゃったよ」 
「ひ、ひぃっ!ゆ、許してください…許してくださいですぅ!」 
水銀燈は、目の前で行われている光景を、何処か遠い世界の出来事のような 
気分で眺めていた。 

(イカレてるわぁ…) 
しばらくして、ようやく翠星石の嘆願が真紅に届いたようであった。 
蒼星石は真紅からぬいぐるみを預かり、それを元にあった場所―真紅の私物 
置き場―へと戻しに向かう。翠星石はまだ頭を下げたままだった。 
「まったく…くんくんにこんな下劣なものを見せるなんて…」 
真紅はまだ怒りが収まらないようで、なにやらブツブツと言っている。 
ほとんど蚊帳の外にされた水銀燈は、最早ずっと縛られたままの自分の 
間抜けな格好も含めて、全てが可笑しく思えてきた。 
だが、自虐心を呼び起こすのと、今の真紅に不必要な言葉を投げかけるのを 
控えるだけの正気が水銀燈には残っていた。 

「水銀燈、待たせてしまったのだわ」 
「…」 
「どうしたの?随分大人しくなってしまったようだけど」 

…こんな相手に、どう対応しろというのだ。 
「い、いいから、さっさとしたらぁ…ぬ、ぬいぐるみでもなんでも持ってきなさいよぉ…」 
精一杯強がってみるが、自分でも声が震えているのがわかった。 
「そうね、貴方は、くんくんの足元にも及ばないような… 
もっと下劣で汚らわしい存在を掛け合わさせてあげなくてはいけないのだわ」 
水銀燈は、淡々とした真紅の脅しに恐怖を感じた。 
「…かといって、道具では汚せる、というほどではないし、野良猫や野良犬に 
あの水銀燈と絡ませるなんていう可哀想な事はできないのだわ」 
「あ、貴方、本当に狂ってるわぁ…」 
考え事に没頭している真紅には、水銀燈の声など聞こえない。 
いや、真紅は最初から水銀燈の声になど耳を傾けてはいなかったのかもしれない。 

「そうだわ!ジュンよ!ジュンを呼んでくるのだわ!翠星石!」 
「は、はいですぅ!!」 
「ほほほ…水銀燈、貴方にぴったりの汚らわしい外道を用意させてもらうのだわ!! 
貴方は面白いぐらいに汚れるのだわ!だわ!だわ!」 
果てしない無力感と絶望に苛まれたまま、水銀燈は事の成り行きを見守っていた。 
自分が、完全に相手のペースに乗せられているということには気付いていなかったが。 

(´・ω・`)未完(´・ω・`) 

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