カーン……カーン……カーン…… 
……nのフィールド… 
静寂があたりを包むこの空間に鐘の音が響く。 
そこに存在するのはただ一人、黒い翼を持つ少女。 

「あら?フフ…おチビちゃんが一人で来たのね?」 
ぼんやりと空を見上げていた彼女は、ふと気配を感じ、視線を下に移す。 
古いヨーロッパの町並み、夜よりも暗い空の下。 
地上よりはるか高く、教会の屋根の上から暗闇の少女はつぶやいた。 

「お…お望み通り、来てやったですぅ!さ…さっさと勝負するです!」 
暗闇の少女の位置からはるか下、もう一人の少女が声を上げる。 
ファサーーー 
黒き翼を広げ、はるかなる高さから舞い降りる天使。 
スッともう一人の少女の目の前に降り立つと、覗き込むように顔を近づける。 
「ウフフ…翠星石ぃ…あなたで私に勝てるわけないじゃなぁい?」 
「そ…そんなことやってみなくちゃワカラネーですぅ!いいから勝負ですぅ!!」 
目の前に近づいた顔を振り払うように両手をバタつかせる緑の少女。 
「アラアラ…こわいこわい…フフ、良いわ…相手をしてあげる」 
黒き天使は軽々と翠星石のこぶしをかわし、後方へと舞い上がった。 

(とは言ったものの、どうやったらあいつに勝てるですか? 
 あぅ…やっぱり真紅と一緒に来ればよかったですぅ… 
 うぅぅ…とりあえず当たって砕けろですぅ!) 
意を決したように頷くと、水銀燈の元へと走り出す。 
「タァーッ」 
そのまま、こぶしを水銀燈へと向けた。 
ヒュン! 
翠星石のこぶしが空を切る。 
ほとんど動くことなく、水銀燈は翠星石の後ろへと回り込む。 
「フフ…こっちよ…こっち…フフフ」 
「なっ!この!この!くらえですぅ!!」 
慌てて振り返ると、両方の手を闇雲に振り回す。 
ヒュン!ヒュン! 
水銀燈は不敵な笑みを浮かべたまま、その全てを軽々とかわす。 
「どうしたの?翠星石ぃ、当ててくれなくちゃ、勝負にならないわよ〜」 
ニヤニヤとしながら水銀灯は語りかける。 

「くそ〜!くらえですぅ!!」 
緑の少女は、愛用の如雨露を取り出すと、地面に向かって振り下ろす。 
途端に地面から植物の茎のようなものが飛び出した。 
数十本の束になったそれは、一斉に目標へと向かって突進した。 
数十本の茎がものすごい速さで迫る。 
茎の先端は鋭く、ドリルのようになっている。 
これらに貫かれたら、それこそジャンクになってしまうだろう。 
しかし、黒き少女はその笑みを、美しいほど妖艶なその笑みを、少しも崩すことなく両手を広げた。黒き翼が開く。瞬間! 
無数の黒き羽が辺りを覆いつくす。 
翠星石の放った一撃は勢いを無くし、ついには地面へと落ちてしまった。 
「うぅ…ま…まずいかもですぅ…」 
吹雪かと間違うほどの黒羽がやみ、再び辺りを静寂が包む… 
そこには2人…いや1人の少女が佇んでいるだけだ。 
「?ど、どこに行ったですか〜!隠れてないで出てきやがれですぅ!」 
きょろきょろと辺りを見回しながら少女は叫ぶ。 
その声は、反響を繰り返し、やがて消えていった。 
………………………… 
……あまりにも長い静寂…… 
やがて、取り残された少女はおそるおそる声をあげる。 
「す…水銀燈!!い…いないですかぁ?」 
…返事は無い。 
「そ、そうです!す…翠星石の力に恐れをなして、逃げたですね。 
 ま、まぁ今日のところは見逃してやるです!」 
一人誰に言うとも無く喋ると、翠星石は元来た道へと体を向けた。 
一歩一歩、おそるおそる踏み出す。 
コツコツコツ… 
4歩目を踏み出そうとした瞬間!! 
「ひ!ひぃいいいぃいぃいいぃ!!!!!」 
天地が引き裂かれるのでは無いかと思うほどの絶叫がこだまする。 
「ぁあぁああぅ…」 
声にならない声を上げ、翠星石はその場にへたり込む。 
「はぁ…はぁ…はぁ…」 
まだ、どきどきが収まらない。 
あまりにも突然だった。 
突然、自身の首筋を何かが触れた。 
生暖かく、ヌメヌメとした何かが! 
「ウフフ…翠星石ったら、逃げちゃ駄目よぉ」 
耳元で発せられた声に思わず上体を振り向かせる翠星石。 
その瞬間、再び首筋を“あれ”が触れた。 
「ひぃっ!!」 
先ほどの衝撃こそ無いものの、慣れない感覚に思わず声を上げる。 
水銀燈はその声を無視するように、行為を続ける。 
そう、首筋への口づけを… 

ぴちゅ…くちゅ…ぴちょ… 
「い…いやぁ…や…やめるぅ…ですぅ…」 
くちゅ…ちゅぱ…くちゃ… 
ひたすら続く首筋への愛撫… 
「フフ…翠星石ぃ…感じてくれちゃってるのぉ?」 
首筋と唇が離れる合間に、黒き少女は意地悪く尋ねる。 
「だ!誰が!!感じてなんか無いです!!!気持ち悪いだけですぅ!!」 
声を荒げ、必死に反論する。 
「あら?そうなのぉ?かわいい声出すから、感じてくれたのかと思ったのに?」 
翠星石は頬を赤く染めながら、 
「ふ…ふざけるなです!バ!ババアのキスなんか気持ち悪いだけですぅ!!」 
必死の強がりを見せる。 
一瞬、水銀燈の表情が曇った。 
「あらそう……可愛がってあげようかと思ったけど、気が変わっちゃったぁ」 
水銀燈はそう言うと翠星石の顔に自身の顔を近づける。 
「フフフ、いじめちゃおうかなぁ…」 
再び、ニヤニヤとした表情で翠星石を覗き込む。 
「い…いやぁ…や…やめる…ですぅ…」 
思わず後ずさる翠星石。 
黒き少女はその体をしっかりと押さえ込んだ。 
「駄目よぉ…口の悪い子にはおしおきしなきゃね。ウフフ…」 
「いゃ…いや…ですぅ。た…たすけて…そ…蒼星石ぃ…真紅ぅ…!!」 
少女の悲痛な叫びは黒き闇へと消えていった… 

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こんばんは。 
他スレでこんな感じの小説書いているんですが、 
ゲームも出たということで、自分の好きな翠×銀でちょっと書いてみました。 
エロくなくてすいません。 
続きは今のところ無いんですが、気が向いたら&時間があったら書いてみますです。 
遅筆なんで期待せずに。 
それでは、失礼致しました。。 

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