満月がひっそりと輝く薔薇屋敷の庭。真夜中。淡い光の下。 
「いけないよ、水銀燈・・・」 
黒い羽の褥の上で、蒼星石は上がり始めた呼吸の合間に声を漏らした。 
彼女に多いかぶさっているのは、水銀燈。 
月の光を受けた白銀の髪が、夜の暗さにも負けず煌めいていた。 
「どうしてぇ?」 
蒼星石の薄い唇にキスを落として、水銀燈は顔をあげた。 
唇を離した後も、指は蒼星石の白い頬をなぞっていた。 
「僕達は、姉妹なんだよ・・・?」 
「姉妹だからこうして愛し合えるのよぉ。人間となんて汚らわしいじゃなぁい。 
 あなただってあんな年寄りがマスターじゃ、欲求不満でしょぉ?」 
ふふ、と笑って水銀燈は蒼星石の喉に噛み付いた。 
あ、と蒼星石は小さな悲鳴をあげた。 
「貴女、結構イタイの好きでしょぉ?知ってるんだから」 
水銀燈の細い指が服の下を這いずり廻った。 
まさぐりあてたのは、薄い胸の頂点を飾る小さな突起水銀燈は容赦なくそこに爪をたてた。 
「ああアっ」 
痛みと悦びの両方を訴える悲鳴に水銀燈は目を細めてクスリ、と笑った。 
「いいのよぉ、我慢しなくて。 
 もっと乱れた貴女がみたいわぁ」 
「そんな、こと・・・」 
「嫌じゃないくせにぃ」 
楽しそうに水銀燈は蒼星石の衣服を脱がせていった。 
両手を黒い羽に拘束されて、蒼星石に抵抗は許されない。 
生暖かく柔らかい感触が、胸を撫であげていた。 
「ああ・・・」 
頭上で、月が見ていた。 
快楽に溺れていく二体のドールを。 
いたたまれなくなって、蒼星石は月から目を背けた。 
視界に入ったのは薔薇たち。 
夜の闇の中、息を潜めて二人を見ていた。 
蒼星石は目を瞑った。 
「ミナイデ・・・」 
「あらぁ、なにか言ったぁ?」 
「なんでも、ない・・・」 
「そう」 
水銀燈の指が蒼星石の秘所へ迫っていた。 
すでに濡れて受け入れやすくなっているそこに、水銀燈の指が飲み込まれていった。 
「やあ、あっ、あ・・・」 
「あっという間に入っちゃったぁ、見かけによらず淫乱なのねぇ」 
水銀灯は指で蒼星石の内部をかき回し、奥まで突っ込んだ。 
「もう、やめて、ああっ」 
「あらあら、心にもないこと言っちゃってぇ」 
指を引き抜いた水銀燈が、耳元で囁いた。 
「本当にやめていいのぉ?ここはこんなに濡れてるのにぃ?」 
「・・・僕は」 
「いいわぁ」 
黒い羽の拘束が解かれた。黒い褥も取り払われ、薔薇の棘の海に放り出された。 
「水銀燈、君まで・・・」 
水銀燈もまた、羽の上に乗らずに蒼星石と落ちていたのだった。 
白銀の髪があちこちの棘にひっかかり、蜘蛛の糸のようだった。 
「逃がさないんだからぁ」 
水銀燈は、薄紅の瞳を輝かせて笑った。 

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「逃がさないんだからぁ」 

・・・・・・・ 

土の匂いにまみれ、薔薇の棘に愛撫されながら、水銀燈と蒼星石は互いに接吻し合い、しがみつくように抱き合った。 
天上の月が見守る二人のドールの求め合う姿は、月光よりも儚い。 
いつかは互いに殺し合う姉妹の、かりそめの慰め合い。 

蒼星石は自分の肌を貪る水銀燈の髪に指を差し入れた。さらりと流れる白銀は、決して自分と溶け合うことはない。 
身体の奥が熱かった。 
割られたローザミスティカたちが、ひとつになりたいと訴えているのだろうか。 
「水、銀燈・・・」 
「なぁに?」 
「僕は・・・逃げないよ・・・」 
薄紅の瞳が見開かれた。 
だがそれは一瞬のことで、水銀燈はいつものように冷たく微笑んだ。 
「わたしが逃がさないって言ったんだから当然でしょ。」 
呟くように応えて、水銀燈は蒼星石の腿に唇を触れた。強く吸っては点々と薄い痕をつけていき、そうして秘所にたどり着いた。赤い舌先で、小さな蕾にからかうように軽い刺激を与えた。 
「あ、あぁ・・・ん・・・」 
ぴくり、と蒼星石の身体が反応を示す。 
すでに濡れている場所からさらに溢れ出した液体を指にからませて、水銀燈は蒼星石の中をかき回した。 
「はぁっ、あっ、ああぁ・・・!」 
奥まで突き入れ、緩やかなリズムで抜き差しを繰り返すと、蒼星石は消え入りそうな声で啼いた。 
「や・・・ア、アア、ン・・・」 
水銀燈は指を引き抜き、それをペロリと舐めた。 
「どうしてほしいのか言ってごらんなさぁい。でなきゃ、もう終わり。」 
ビクビクと蒼星石のそこは反応し、欲していた。 
「あ、水銀、燈・・・もっとほしい、よ・・・」 
水銀燈はふふ、と笑い、人差し指と、続いて中指で蒼星石を貫いた。 
「よぉくできました。こんなせりふを吐いてるところを見たら、貴女の姉はなんて思うのかしらぁ?」 
「あっ・・・」 
姉という言葉にびくりと震えるからだをそっと撫で上げて、水銀燈は囁いた。 
「ばらしたりしないわよぉ。邪魔されるのは嫌だもの。」 
水銀燈の薄紅の瞳の奥で見えない炎が滾り、彼女の指を激しく突き動かさせた。 
「あッ、アアッ、は、あ・・・!」 
「だから、安心して、イっちゃいなさいな」 
蒼星石はつよく目蓋を閉じて、そのときを迎えた。 

眠る薔薇たちの中、二人は何も言わず見つめ合っていた。 
思うことは同じだった。 
この衝動を完全に鎮めるために必要なのは、殺しあうこと。 
アリスゲームに勝利し、相手のローザミスティカを自分のものにすること。 
だが、それをしなければ永久にこの身体の熱はとどまり、むなしい求め合いを続けることができるのだ。 
だから、こうして月光の下、深いくちづけを交わし、囁きあう。 

アイシテイル・・・・・・ 

いちおうこれで完結ですが、この二人に他キャラも交えた話も書きたいです。 

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