「ううん…寝苦しいわぁ…」
部屋のエアコンが壊れて二日目。昨日は夕立があって涼しかったが、今日は窓を開けても時々熱風が入ってくるだけだ。
弟は部屋に中々入れてくれない(夜は尚更だ)し、冷蔵庫のアイスクリームやかき氷は既に底をついている。ふと何かを
思いついたのりは、いそいそと寝巻きを脱ぎ、ブラとショーツだけの姿になった。
「はしたない格好だけど、仕方ないわよね…」 僅かに頬を赤く染めながら、扇風機の前に座り込むのり。ランダムで変わる
風力が体温を下げてくれる。特に普段は風が中々あたらない、下半身が心地いい。自然に目を閉じ、弟に思いを馳せる。
真紅達が来てから、彼は少しずつだが”男”として成長を始めているように見える。そういえば、身長もいつのまにか伸びて
いたわよね…肩幅も広くなったような気がするし…
「ジュン…くん…」 いつの間にか、のりは己の乳房を揉みしだき始めていた。その頂きは固くなり、ブラの上からでもそれが
勃起しているのが判る。のりは堪らず、余っていた左手をショーツの中に差し入れた。
「んくっ…もうこんなに…」 割れ目に指を添わせるように食い込ませると、じっとりした感触が指全体から伝わってきた。薄い
ピンク色のショーツは、股間部分だけが濃く変色しているのが判る。
「あんっ…ン…んんっ」 部屋の外に声が漏れないよう、喘ぎを出来る限り小さくしようと試みるのり。幸か不幸か、それは
彼女の喘ぎ声を更に淫らな音へと変貌させている。扇風機の風音が弱まる度に喘ぎ声と、蜜をかきまぜる音が僅かに
聞こえてくるのだ。そんな様子を、開け放たれた部屋の窓から覗いている目があった。
股間部分が熱くなった彼女の高ぶりを見つめていた目の主が、ぼそりと呟いた。
「なんだかスゴク気持ちよさそうねぇ」
彼女の名前は水銀燈。背中に漆黒の羽根を持つ、ローゼンメイデンの第一ドール。夜の暇つぶしでジュンの家を訪れた彼女は、
たまたま開いていた窓の奥から漏れる声を聞きつけたのだった。
「…あれは、確か真紅のミーディアムの…このくそ暑い時に、何をしているのかしらぁ…?」
普段は清楚で目立たない印象ののりが今、下着姿で喘ぎながら”何か”に勤しんでいる。そんな姿に見入っていた水銀燈は、周囲の
警戒をすっかり怠っていた。そんな彼女の顔の横を、いきなり黒い何かが横切った。
「きゃあっ!?」 黒い何か…それは小型の蝙蝠だったらしい。何とか蝙蝠を避けた水銀燈だが、勢い余ってのりの部屋へ突っ込んでしまった。
「だ、誰!? 泥棒さんっ!?} 思わぬ侵入者に自慰を中断される形となったせいか、のりの悲鳴には怒気が含まれているような感じだ。
「誰が泥棒よ…口を慎みなさい、人間の雌」 乱れた髪を整え、むっつりとした表情で水銀燈が答える。
「あら、貴女はひょっとして…」 予想せぬ来訪者に、自慰を中断された事も忘れて見入ってしまうのり。
「私が誰かなんて、どうでもいいわ。それよりも、私の質問に答えてもらえるかしらぁ?」
ばさりと音をたてて羽ばたき、あっというまにのりへ詰め寄る水銀燈。
「な、なぁに?」 飛翔した水銀燈に驚き、のりは少し後ずさった。眼前に水銀燈の顔があらわれる。
「人間、あなた一体…さっき何をしてたのかしらぁ?」
「え、なにって、まさか」
「変な声出して…なんだかとても気持ちよさそうだったじゃない?」 そう言いながら水銀燈は、のりのブラへ手を差し入れた。
「あっ…んあっ! や、やめ…」 突然の快楽に身を捩らせ、喘ぐのり。
「ほら、こうやって…胸を揉んでたのよねぇ」 先程見た動きを真似、のりの胸を乱暴に揉みしだき始める水銀燈。
「んくっ! あっ! 痛! も、もっと優しくして…っ!」 乳首をつねるように弄られ、痛みを訴えるのり。
「へぇ…さっきはあんなに気持ちよさそうだったのに…」 少し不満な顔になる水銀燈 「何かコツでもあるのかしら? 教えてよ…
教えてくれたら、きちんとしてあげるからぁ…」
「ほ、本当?」 半泣きになりながらのりが答える。
「本当よぉ…でも、妙な事したら…」 にやりと笑った水銀燈は、のりの乳首をきゅっとつねる。
「ん゛あっ!!!」 身体を反らせ、悲鳴をあげるのり。「わ…わかってるわよう…」
「じゃあ、さっさと教えなさい」 水銀燈はのりから離れ、床にゆっくりと着地した。
のりは少しせき込みながら、外れかかったメガネをかけ直す。呼吸を整え、暫く考え込み…やがて、静かに口を開いた。
「じゃあ、まずはお洋服を脱いでもらえるかなぁ?」
「な、なんですってぇ?!」 いきなり脱がされることになり、憤る水銀燈 「冗談言ってると、その胸をひきちぎるわよ」
「それだけはやめてぇ…それに、お洋服を脱がないと気持ちよくなれないわよぅ…」 水銀燈の形相に脅えながらも説明を続ける。
「…嘘はついてないようね…」 のりの目を見つめる水銀燈が呟く。「まぁいいわ…嘘だったら、後でたっぷりと可愛がってあげるから」
いそいそとドレスを脱ぎ出す水銀燈。程なくして、一糸も纏わない人形の肢体が露になった。
「さぁ、ここからどうやるの?」 真っ白な水銀燈の顔が、ほんの少し紅色に染まっているように見える。
「…おっぱいを…ゆっくり揉んであげるの」 のりは自分の胸を揉みしだく。
「こう…?」 ぎこちない手つきで己の乳房を揉み始める水銀燈。しかし、初めての体験のためか、胸からはぶにぶにとした柔らかいものを
揉んでいる感触しか伝わってこない。
「…全然気持ちよくないんだけど…」
「違うの…もっとゆっくりと優しく…んっ」 小さな喘ぎ声をもらしながら見本を示すのり。
「わからないわ」 水銀燈の心には嫉みが生まれていた。自分だけがおいてけぼりにされているような、焦りにも似た感情。人間に身体を
触らせないというプライドを、その感情が凌駕する。
「…私のも揉んでよ」