「ああ・・・ ・・・閉じないで! 待って! まって・・・」
それは翠星石のかつての想いで。
意識の狭間にたゆたう多数の夢の扉。
その一つに見えた懐かしい光。
その向こうに見えた在りし日の景色。
トランクの中で眠る翠星石は、自分の夢の中で、かつての自分と蒼星石の想い出が眠る扉を引き当て・・・
閉じゆく扉にすがり、涙するのだった。
「・・・あんな歌なんか・・・あんな歌なんか聴かなければ・・・こんな扉・・・引き当てなかったのに! う っ・・・うぅ・・・」
―― 百万本のバラの花を ――
―― あなたにあなたにあなたにあげる ――
―― 窓から窓から見える広場を ――
―― 真っ赤なバラで埋めつくして――
「蒼星石・・・蒼星石ぃ・・・うっ・・・うぅ・・・ひっく・・・」
扉は完全に閉まり、力無く崩折れる翠星石。
その背後に、優しく暖かな気がゆっくりと近づき、蒼星石の肩に触れてきた。
柔らかな気遣いを伴って、そっと、優しく触れてきた。
それは、妹の・・・真紅の手のひらだった。
「!・・・っく ・・・う っ ・・・ ・・・い、つ来たですか、真紅・・・」
真紅に見られないように、涙をふき取る翠星石。
その姿をあえて見ないように、真紅は翠星石に小さく言葉をかける。
「・・・御免なさい、覗き見るつもりは無かったの・・・同じミーディアムだからかしら・・・
あなたとの意識が近かったから・・・同じ夢の中に・・・私が入ってしまって」
「・・・・・・」
「あの時、テレビを消したのは・・・そういう事だったからなのね・・・」
「・・・悪かったですね・・・勝手な事して・・・ぐす・・・」
「翠星石・・・誰も怒ってなどいないわ」
「・・・ジュンは、怒ってたです・・・」
「そういうフリだけよ。あなたも彼がどういう少年かは・・・判っているでしょう」
まだ涙が残るオッドアイの綺麗な少女の顔に、少しの微笑を浮かべて小さくうなずく翠星石。
その姿が痛々しく、真紅の胸を締めつけてくる。
翠星石はそのままうつむき、小さな声で話し始めた。
「・・・蒼星石はずるいのです。いつも・・・いつも翠星石の・・・私の前に出ていくんですよ・・・」
「翠星石・・・」
「私が、守っていたはずなのに・・・いつもあの子に守られてて・・・」
「・・・・・・・・」
「私が・・・翠星石がしっかりしていないばっかりに・・・あの子は・・・」
「それは違うわ翠星石」
「じゃああの子は何で!・・・なんで私の側から離れていったのですか・・・ あんな事になって・・・あの子は馬鹿です・・・」
「そんな事を言うものではないわ・・・翠星石」
「・・・あの子が、本当にアリスになりたかったとは・・・翠星石には思えないです・・・」
「それは、私にも判らないわ・・・だけど・・・残った私達が・・・この真紅が・・・その答えを必ず見つけてあげる・・・
水銀燈や金糸雀・・・そして雛苺と、蒼星石の為に・・・そして・・・あなたの為に」
しゃがみこんだ翠星石の側に、同じ様にしゃがみ優しく寄り添う真紅。
その真紅の瞳を見つめる翠星石の瞳に、再び涙の雫が溢れ出した。
「真紅・・・真紅はどうしてそんなに・・・翠星石の事を・・・」
「あなたの妹が・・・蒼星石の魂がたとえ遠く離れても、きっと呼び戻してくれる。私達のミーディアム・・・ジュンが。
それにあなたの妹は・・・今あなたの目の前で、あなたの事を思っているのよ?」
「! 真 紅・・・」
「姉さんを心配しない妹など、姉さんを愛さない妹など・・・ローゼンメイデンには居ないのだわ」
「でも、でもあの子は言ったです!いつまでも・・・いつまでも一緒だって!なのに・・・なのにっ!・・・う・・ううっ・・・」
「・・・もう、いいのよ翠星石。蒼星石があなたを愛していた事に・・・何一つ偽りなど・・・ないのだから・・・
あの時、あなたが金糸雀を守った様に・・・ 蒼星石はあなたを・・・守ったのだから・・・そうでしょう、翠星石・・・」
真紅はそう言い、翠星石を優しく抱いた。
思いがけない存在の、真紅からの抱擁。忘れかけていた。そうだ、この子も悲しいんだ。
姉を失う悲しみを知っているこの子は・・・私の悲しみを、妹を失う悲しみを知ってくれて、感じてくれている。
涙が止まらなかった。
蒼星石が自分を抱きしめてくれた様に、真紅もまた自分を抱きしめてくれている。
今身近に居てくれている、この子の存在を、妹の存在を忘れていたなんて・・・
「しん っ・・・く 真紅・・ぅ うう・・・」
「愛しているわ・・・姉さん・・・私では蒼星石の・・・
姉さんの代わりにはならないかも知れないけれど・・・だけど・・・今はあなたを癒してあげたい・・・」
真紅の肩で涙する翠星石の耳元でそう囁いた真紅は、
翠星石の頬を、そっと小さな両手ではさみ、目を閉じて翠星石に口付けを送った。
翠星石は驚きつつも目を閉じ、蒼星石との行為を思い出しながら、赤い服を着た・・・蒼い瞳を持つ妹の愛に身を任せた。
薄い薔薇の香りが・・・真紅の香りが・・・蒼星石との在りし日々を思い出させる。
蒼星石の代わりにはならないかも知れない。
それでも私を癒してあげたいと言ってくれた真紅。
その愛に・・・
翠星石の頬を涙が伝っていった・・・
その雫が真紅の指先に伝わる。
真紅は口付けを交わしたまま、指先でそっと翠星石の涙をふき取っていた。
姉の、翠星石自身の舌に自分の舌を重ね、絡ませ、唇を吸い、
懸命に優しく愛してくれる真紅に、翠星石も真紅の背を抱いて、愛情と言う名の快感に身を委ねた。
「んんっ・・・うん・・・そう せ・・・ チュッ ピチュ ・・・ はぁっ ・・・チュクッ・・・ 愛してるわ 姉さ ん ・・・ピチャッ クチュ・・・」
「わ ・・・ふぅんっ ・・・チュッ・・・チュッ・・・・ クチャ ・・・私も ・・・わたしも ぉ・・・ 愛してるで す・・・ クチュッ チュッ・・・」
口の中で互いに貪り合うように絡みつく、赤い花弁。
湿った粘液の音が、花弁に滴る密の様に甘く響き、くぐもった二人の姉妹の声は互いを求め、結びつきを確かめていた。
姉として生を受け、妹から愛を受ける事がどれだけ幸せか。
そう思う翠星石は、真紅との口付けに、涙を堪える事が出来なかった。
やがて、真紅の唇が、その赤い花弁の様な舌が、そっと・・・翠星石の赤みがかる桃色の唇から離れる。
滑らかな唾液の糸が翠星石と真紅の幼く美しい顔を別つ(わかつ)ように、名残の橋を架けた。
「ふあっ ・・・・あ ふぅ・・・・・」
(まって・・・待って・・・もっと私を・・・翠星石を愛して・・・欲しい です・・・)
名残を惜しみつつ薄く目を開けた翠星石。
それと同時にこぼれた涙を、真紅が優しく・・・本当に優しく微笑みながら・・・そっと舐め取ってくれた。
蒼星石との行為も、今こうして愛を送ってくれた真紅との行為も、翠星石は背徳だとは思わなかった。
愛というものに、姉妹の絆に、そんなものは関係無いと思ったから。
「・・・ ・・・翠星石」
「あっ!・・・しn 真紅ぅ・・・」
真紅の唇が、舌が、翠星石の頬をなぞり、ついばみ、翠星石を再び愛し始めた。
そして真紅の指先が翠星石の服の胸元をなぞり、
優しく胸を揉みながら、そっと翠星石の服をはだけ始める。
その真紅の指先に、自分の指先を絡ませる翠星石。
自分の指先に絡む、翠星石の指先の温かさを感じる真紅。
「愛させてもらえる・・・? 姉さん・・・?」
そう言って、少しだけ戸惑う様な微笑みを翠星石に見せる真紅の顔。
真紅のその顔が蒼星石と重なり・・・翠星石に慈愛の笑みを浮かべさせる。
「その台詞・・・まるで蒼星石と同じです・・・ ・・・翠星石を・・・愛してください・・・真紅・・・」
「翠星石・・・」
その翠星石の慈愛の笑顔に、やはり慈愛の笑顔で真紅は答えながら、
ついばむ様な口付けを翠星石の唇に捧げた。
そのまま真紅は翠星石の胸元を優しくはだけ、
露になった彼女の胸に手を滑らせて、ゆっくりと揉みしだいた。
翠星石の赤い小さな乳首が、その愛撫に答えて尖りだす。
「あん・・・ 翠星石の胸・・・ ち、小さいから は、恥ずかしいです・・・」
「でも私より、大きいわ・・・蒼星石に・・・愛してもらったから・・・?」
「!ば・・・ち・・・ちがぅ ゎ・・ ない・・・かも・・・ですぅ」
「今は私に、私に・・・蒼星石の分まで愛させて頂戴・・・翠星石」
そう言って真紅は翠星石の胸を愛撫しながら、彼女の首筋に舌を這わせ、彼女の首に幾度も口付けをした。
「あ はぁ・・ ん・・・あっ・・・ああ あっ!」
「翠星石・・・翠星石・・・」
そして真紅は翠星石の首筋から、柔らかく膨らんだ胸まで舌を這わせ、
赤く尖った乳首を舌で刺激をしながら乳輪と共に口に含み、強弱をつけて吸った。
「ああん! ふあっ! ふぅんっ・・・」
女である真紅が聴いても、翠星石の喘ぎ声はとても色香が有り、
その声が真紅の愛に酔いしれてくれている事を、真紅自身に実感させる。
(もっと、もっと気持ちよくなって頂戴、翠星石・・・この真紅が・・・今だけでも、辛さを忘れさせてあげる・・・)
真紅は自分の送る愛に享楽してくれて、
夢現(ゆめうつつ)になってくれている翠星石の身体を背中から優しく抱き、
自分の胸に寝かせるようにして、翠星石の胸を愛撫しながら彼女の下半身・・・
ドレスのスカートを捲くり、その指を滑らせていった。
「んあっ!? し ん・・・く・・・」
「大丈夫・・・任せて頂戴・・・姉さん・・・」
そのまま翠星石のドロワーズの中に指を滑らせる。
真紅のその指先に小さな芽の様な、尖った感触と、粘液の感触が伝わってきた。
既に真紅の愛撫を十分感じていた翠星石の秘部は十分に濡れていて、真紅の指を受け入れるに十分だった。
真紅はそっと翠星石のドロワーズを下げ、硬く尖った芽を挟む様にこねながら、彼女の胸を揉み、首筋に舌を這わせる。
「ひあああん!! ああっ! ああっ!! しん・・ あっ、だめ だめぇ! おかしっ・・おかしくなっちゃうです!!」
「いいの・・・いいのよ翠星石・・・おかしくなっても。 私が受け止めてあげるから・・・」
そう言って、真紅は翠星石の芽を刺激していた指を一本、二本と翠星石の秘部に埋没させる。
真紅の指はそのまま、翠星石の中を掻くように強弱をつけ前後した。
その度に翠星石の秘部はグチュッグチュッと湿った音を響かせ、それと共に翠星石に嬌声を挙げさせた。
翠星石の秘部は絶え間なく蜜を溢れさせ、真紅の指を痛い程に締め付けてくる。
「ああんっ!! ふあああん!!! あっ!あっ!あああ!! し・・・ああ あ!・・・」
「気持ち・・良い、姉さん・・・ 一杯・・・ 一杯愛してあげるから・・・ 一杯感じて頂戴・・・」
「んあっ!ああぅん!あああん!! いやぁ・・・んんぅ・・・! っ・・・っう!ああっ はぁああん!!!」
真紅に胸と首筋、秘部に深い愛情を注がれて、翠星石は甘美の涙を流す。
(ああ・・・あの時も・・・あの時も蒼星石が・・・こんな風に・・・私を・・・ ・・・翠星石を愛してくれたです・・・)
(蒼星石・・・蒼星石・・・私は・・ ・・・私は・・・ずっと・・・ずっと愛しています・・・蒼星石の・・・事を・・・)
(・・・ ・・・真紅・・・真紅! ・・・あなたの愛が・・・こんなにも翠星石に安らぎと・・・)
(あのときの想い出を・・・もう一度与えてくれているんですよ・・・)
「ふあんっ!! やっ・・・ああああ・・・」
やがて・・・真紅の愛撫に翠星石の身体がビクッビクッと反り始めた。
翠星石の絶頂がもうそこまで来ていると感じた真紅は、彼女の耳元に囁き
「いってもいいのよ翠星石、いって欲しいの私の指で・・・さぁ・・・姉さん・・・」
翠星石の中で指を前後しながら、もう片方の手で硬く尖った翠星石の芽をこりこりと刺激した。
その瞬間、頭の中で何かが弾け・・・
「! んあっ!ああっ!!! あああああー!!そ、そうせっ 蒼星石ぃーーーーー!!!!」
最愛の妹の名を叫び、翠星石は真紅の胸の中で絶頂を迎えたのだった。