―自分がいつ生まれたのか 
”彼女”自身にもわからない。 
ただ、意識というものを獲得したときのことだけは鮮明に 
覚えている。自我に目覚めたとき、”彼女”は自分の境遇に 
絶望した。 

深く暗い闇に横たわる自分。 

闇の中、窓から差し込む陽の光をじっと見つめていた”彼女”は、 
光の中、真っ赤なドレスを纏う人形の存在に気付いた。 

―真紅 
父により優しい手つきで赤いドレスを纏わされる人形。 
ドレスの胸にある深緑のリボン、その中心にある美しい装飾のブローチ。 
ドレスを整え終え、愛しそうに父に抱かれる真紅の人形。 
父はその人形を抱いたまま、霧のように目の前から消えてしまった。 

―待って。私を置いていかないで。私を抱きしめて。私を愛して。 
狂おしい程の想い。声にならない叫び。 

「胴が…ない…?」 
「そう…この子は作りかけの人形…未完成な存在。私たちとは違う」 

違う!私はローゼンメイデンの第一ドール。私は… 

「作りかけの…ジャンクのくせに」 
「ジャンク!」 

私は…ジャンクなんかじゃない! 

「―――っ!」 
がばっ。 
鞄から跳ねるように起き上がる水銀燈。 
辺りを見回す。 
埃の積もった床。濁った水が溜まった噴水。 
ステンドグラスから差し込む陽光。いつも通りの部屋。 
いつもと同じ廃れた教会の一室。 

「ゆ、夢…っ…ぅうっ…くぅっ…」 

水銀燈は見ていた夢を反芻して、震えながらうめいた。 
沸々と湧き上がる憎悪。渦巻く憎しみが水銀燈の心を締め上げていた。 

「真紅っ…貴女の顔。貴女の声。貴女の全てが憎い! 
 アリスに相応しいのは…お父様が本当に愛しているのは…この私!」 

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