一応>>31-36の続きのような。 
やや逆レイプ。 
昼下がり。 
ジュンは数ヶ月の空白を埋めるために机に向かい、その傍らでは真紅が黙々と本を読んでいる。 
階下の翠星石と雛苺も、何をしているかはともかく菓子の取り合いなどに起因する不毛な争いをしたりはしていないようだ、 
ゆえに桜田家は心地よい静寂に包まれていた。 
それを破ったのは、翠星石の大声。 
「何しに来やがったですか!水銀燈!」 
ジュンと真紅は一瞬目を見合わせてから、階段を駆け下りた。 
リビングの入口でにらみ合うような形になっている三人。 
真紅が雛苺と翠星石の前に立ちふさがるように出ていく。 
だが、水銀燈が見ていたのは廊下で立ちつくしていた僕の方だった。 
「久しぶりね……ジュン君?」 
つかつかとこちらに歩いてくる。 
あと一歩という距離に来たところで立ち止まり、紫の瞳で見つめる。 
「な…なんだよ」 
「ふふっ、忘れちゃったのぉ?」 
う。せっかく人が忘れかけてたことを……って抱きつくな。 
頭の中にあの時のことが蘇って―だめだだめだだめだだめだ。 
「ジュンから離れなさい!」 
「この間、ジュン君と二人きりで逢ったの……間抜けな貴方達は気付かなかったでしょうけどぉ」 
真紅の言葉も意に介さない様子で、水銀燈は喋り続ける。 
その間も小さな手が胸のあたりをまさぐってくる。 
変な気分になりそうなのを、下唇を強く噛んでやり過ごす。 
「最後なんか、喘ぎながらおねだりしてたのよぉ……可愛かったわぁ」 
綺麗な思い出を語るように言葉を紡いでいく。 
釣られて、僕まで鮮明にその時のことを思い出した。 
恥ずかしい。……正直泣きたい。 
その言葉の意味を測りかねて呆けていた真紅が戻ってくるより先に、翠星石が口を開いた。 
「それぐらいで調子に乗るなんておめでてーヤツです」 
ちょっと待て。その先をここで言ったところで状況は更に悪化する。 
「翠星石なんかジュンと繋がったのですぅ……どうせてめーには無理だったに決まってるです」 
これはいわゆる……修羅場、なのか? 
真紅は更に呆然としてる。 
翠星石は勝ち誇ったような笑みを浮かべてて、図星だった水銀燈は明らかに不機嫌だ。 
雛苺だけいまいち理解してなさそう。 
「ジュン……それは本当なの?」 
ようやく話ができる状態に戻った真紅が聞く。 
顔は平然としているが、拳が怒りで小さく震えているのが分かった。 
だから、黙って頷く。 
それ以外どうできるというのだ。 
「どうしようもない下僕ね。翠星石」 
呼びかけられた途端に、小さく震えてみるみる表情が硬くなっていく翠星石。 
「誇り高き薔薇乙女がそのようなことをした挙げ句、誇らしげに語るような下劣な真似…」 
「お説教は後にしてくれるぅ?」 
そうだ。そもそも、彼女はあんなことを言いに来たわけではないのだ……恐らく、だけど。 
「水銀燈……そうね、決着をつけましょう」 
こうして、前のよりもう少し激しい戦いが始まってしまった。 
結局、それは両者痛み分けという形で終わった。 
荒れた家の中の片づけを手伝わされたのが不服と言えば不服だったけど、人的被害は避けられたので構わない。 
その後、翠星石は延々と真紅に説教されていた。 
次は僕の番かと警戒したが、何のお咎めも無し。 
後になって考えれば、少しはおかしいと思うべきだったのだろうが。 
夜中になって、目が覚めた。 
今日はいろいろあって疲れてるはずなんだけど――なんでだ? 
「……あれ」 
両腕の位置が明らかにおかしい。普通後ろには行かないだろう。 
動かしてみると両腕セットでしか動かない。 
……明らかに縛られてるだろこれ! 
「暴れないで。あと、騒ぐのもだめ」 
「真紅……どうして?」 
「悪いことをした下僕は、罰を受ける。当たり前のことではなくて?」 
「そりゃあ……そうだけど」 
悪いことをした、という点は認めざるをえない。 
だけど、何でこんな罰になるんだよ。 
これから何をされるのか――もう何となく想像できなくはなかったけど。 
「なら黙って受け入れなさい。それが下僕の努めなのだから」 
「僕が悪かった。だから……」 
「諦めが悪いのね」 
その会話の間にも、パジャマのズボンとトランクスを、まとめて下ろされる。 
せめてもの抵抗として、真紅に背を向けてみる。 
ぺちっ、と乾いた音が響き、臀部に痛みが走った。 
いまいち動作原理がわからない不思議なツインテールでひっぱたかれたんだろう。 
「無駄な抵抗は無駄よ、大人しく従いなさい」 
くんくん探偵にそんな台詞あったか? 
ともかく仕方ないので、また元の向きを向いた。 
「へぇ……これが……」 
座り込みながら、僕の股間で小さくなっているソレに顔を近づけて、何やらぶつぶつと呟く真紅。 
正直、そういう風に見られると恥ずかしいので勘弁して欲しい。 
そして、小さな手をそこに伸ばしてきたかと思うと、 
「痛っ!」 
思いっきり握りしめていたのだった。 
「あら?少々強くしすぎたみたいね」 
少々どころじゃないっての。 
その意志が伝わったのか、今度は優しく包み込むように触ってくる。 
彼女の手の平の感触に反応して、モノが固くなっていく。 
真紅が手をゆっくりと前後に動かしはじめる。 
凄く気持ち良いというようなものではないけれど、これはこれで心地良い感じだ。 
だが、ちょっと待て。これのどこが罰なんだ? 
「そろそろ、頃合いかしらね」 
真紅が懐からひものようなものを取り出す。 
……どうする気だ? 
そんな疑問をよそに真紅は、それを棒の根元にあてがい、二回ばかり巻き付けた後――結んでしまった。 
「さて、これからが罰よ」 
そう言って立ち上がると、足で僕のモノを弄んでくる。 
靴を履いたままなので、当然ながら痛い。 
何か文句を言いたいところだが、今回の場合自分にそれなりに非があるだけにどうしようもない。 
「あら?さっきまでよりも大きくなっているようだけれど」 
「え……」 
言われて始めて気付いた。 
結構これ、気持ち良いかもしれない……。 
派手に踏まれてるわけじゃないし。 
「このようなはしたない姿を晒して、恥ずかしいとは思わないの?」 
そっか。よく考えたら、足でいいようにされてるんだもんな。 
恥ずかしい。だけど、それでも感じてしまうんだから仕方ない。 
「ひょっとして貴方は……痛かったり恥ずかしかったりする方が、興奮してしまうの?」 
……そうかもしれない。というか、たぶんそうだ。 
だけど、そう思ってもそれを口にするのはやっぱり憚られる。 
「ジュン、答えなさい」 
「あぐっ」 
黙っていたら、靴で思いっきりペニスをぐりぐりと腹に押し当ててくる。 
「わ、分かったから……分かったからっ!」 
「答えるまでは止めないわよ?」 
「い、痛かったり恥ずかしいのが…その…気持ち良い…かも……」 
勢いで言い始めてしまったはいいが、途中で恥ずかしくなる。 
まあ、自分で言ったとおりならそれも気持ち良いのかもしれないんだけど、さ。 
「分かったわ。こういうのが良いのでしょう?」 
さっきとは逆に、勃っているモノを押さえつけるような動きで責め立ててくる。 
より不自然な形になるため、摩擦が強くなって痛い。 
「あら?貴方のこれ、震えているわよ。感じているのね?」 
「うぅ……」 
意識からあえて外していたが、その通りなのは否定できないのだった。 
「無理に答えることはないわ。見ればわかるのだから」 
フォローのようでそうでもないよ……それ。 
「いいわ。そろそろイッてしまいなさい」 
真紅はその言葉――というか命令と同時に、ひときわ強く靴底を押しつけてくる。 
「うっ……あぁぁっ!」 
体の制御権を奪われたみたいに、滅茶苦茶にイカされる。 
びくびくと震えてる最中の敏感なペニスを容赦なく擦られ、声を抑えてる余裕なんかなくなってしまう。 
「静かにしなさい。他の子達が起きてきたら、困るでしょう?」 
真紅の言葉はあくまでも冷静だが、頬に朱がさしているのは、彼女もまた興奮しているという証だった。 
そして、興奮しているのは僕の方だってそうだ。 
真紅が目を細めて微かに笑みを浮かべたと同時に、足を小刻みに震わせてきた。 
声を上げそうになるのを、何とか押しとどめる。 
だが、強すぎる快感に、あっさりと射精させられる――といっても、縛られていて精液は出せないのだが。 
モノが激しく脈打っているのが分かる。 
やっぱりその間も、動きを止めたりはしてくれない。 
「ちょ……強すぎる、からっ」 
「その方が気持ち良いと言ったのはジュンでしょう?それに、これは罰なのよ?」 
そう言われてしまえば、返す言葉もない。 
黙って彼女の責めを受け入れることにしよう。 
そう決めた矢先に、動きが止まった。 
どうしたのかと思って見てみると、真紅はしゃがみこんでペニスの先端部分をじっと見つめている。 
「ジュン?これは何なの。説明して頂戴」 
「…………え?」 
「この液体は何なのか、と聞いているのだわ」 
真紅は不思議そうに、その粘液を指に絡めている。 
「あー、それはカウパーと言って……その、気持ちよくなると出てくるもんなんだ」 
僕は何でこんなことを説明しなくちゃいけないんだろう。まあいいけど。 
「なら、もう準備は良いのね?」 
準備、って。 
「挿れる…のか?」 
「当たり前でしょう」 
彼女の言うように当たり前、なのかどうかは分からない。 
けど、そうすることが自然なのは確かだと思った。 
その名の通りの真っ赤な衣装が傍らに脱ぎ捨てられ、彼女の体を包むのは上下の白い薄布だけになる。 
それを見て、ふと最初に出会った時のことを思い出した。 
いきなりひっくり返して覗くなんて、相当失礼なことをしたものだと思う。 
当然、ひっぱたかれたわけだけど。 
それはなぜだか、随分昔のことのような気がした。 
一足飛びにこんな関係になっているからかもしれないし、あるいは僕の眼前で繰り広げられてる光景が、あまりにも扇情的だからかもしれなかった。 
真紅はいつの間にか、生まれたままの姿になって、僕の腰に跨っている。 
真上からゆっくりと腰を落としてくる。 
モノが生暖かい感触に包まれる。 
さっきから射精できていないために、またすぐに絶頂させられる。 
「ふあぁっ!」 
「喘いで良いなどと言った覚えはないわ」 
そうだ。誰か起こしたらまずいんだった。 
でも……真紅、余裕なのかな? 
「まだ挿れていないのにこれでは、先が思いやられるわね」 
挿れて……ない?うそっ!? 
だけど、確かに言われてみれば、一物は僕のお腹に押しつけられていた。 
真紅の局部と僕自身の体に挟まれて、ペニスが激しく脈打っているのが分かった。 
「むしろ、楽しそうと言うべきなのかもしれないのだわ」 
……なんか凄いこと言ってないか? 
ともかく、真紅が器用に腰を動かして、今度こそ本当に――挿入した。 
「きゃっ……」 
「真紅っ……」 
破瓜の痛みからか、小さく声をあげる。 
真紅の中は、何もしていないにも関わらず十二分に濡れそぼっていた。 
生暖かく締め付けてくる彼女の感覚に、僕はまたしても即座に果てた。 
「……ゃっ、あ、暴れ、ないで…」 
「だって、これ、良すぎるっ…」 
相性が良いとでも言うのか。 
或いは絆の強さなのか。 
理由は分からないけど、とにかく気持ち良い。 
「……愛してる」 
「ええ……私もよ、ジュン」 
最初の強烈な快感の波を越え、静かに囁き合う。 
それはきっと、次の波を更に大きく感じ合うための儀式。 
真紅が、本能の赴くままに腰を動かし始める。 
すると、彼女の膣内が獲物を捕らえた食虫植物みたいに、不可思議に蠕動する。 
「……熱い、熱いわ…」 
確かに、僕の体はすっかり熱病に罹ったように熱い。 
気持ちよすぎるし愛おしすぎる。 
真紅と繋がってるところから全身に熱が行き渡り、全身の熱が再びそこに収束する。 
神々しいまでの快楽。 
「いいよ……溶けちゃいそう……」 
「なら、そうしましょう…」 
とても魅力的な提案だったので、黙って頷いた。 
すると、ペニスの根元を縛っていた紐をほどいてくれた。 
「これでは、罰にならない、のだけれど……愛してくれるのだから、褒美、なのだわ」 
「そっか……ありがとう、真紅……ずっと、愛してる…」 
そう、僕が本当に一人だけ愛している人を決めろと言われたら――今なら、迷わず答えられる。 
真紅。君は僕のもので、僕は君のものだと誓おう。 
「それじゃあ、続けるわ……」 
止まっていた腰のグラインドが再開される。 
ずっとせき止められていたエネルギーは、放たれる時を待ちわびている。 
「真紅、僕、そろそろ……」 
「遠慮は、いらないから、中に、出してっ……」 
もう少しこの快感に酔っていたかったけど、無理な相談だ。 
「真紅、真紅っ――」 
「ジュン――んっ、ジュン、のが、来て、あぁ、ジュン、ジュンッ――」 
頭が真っ白、むしろ真っ赤になりそうなほどの激しい射精。 
それが与えた快感で、真紅も……どうやら、イッたらしい。 
目の焦点はぼやけ、頬には朱がさし、恍惚の表情を浮かべている。 
ああ、こんな……乱れきった真紅の表情なんて、そうたくさんは見られなさそうだ……。 
その映像を記憶に焼き付けたところまでは覚えているのだが。 
気付くと、朝になっていた。 
後ろ手の拘束はほどかれていたし、いつものように翠星石が叩き起こしに来た。 
ズボンがそのままだったことに、布団をめくられる前に気づけたのは良かった。 
階下に降りると、みんなは既に起きていた。 
真紅と目が合った瞬間、昨夜のことが思い出された。 
……やば、すっごい恥ずかしい。 
悪いことなんかこれっぽっちもしてないはずなのに。 
顔が赤くなってくるのがわかる。 
「あら?ジュン、熱でもあるの?」 
そう言いながら微笑む真紅。 
……女は強い、ってこういうことなんだろうな、と思った。 




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