人に歴史あり 

アルバムの中にはその人の去来が詰まってる、今となっては恥ずかしくも温かい、人の歴史 
柴崎老人のアルバムでは安田講堂のバリケードで笑う赤ヘルメット姿の元治が笑ってる 
槐のアルバムでは坊主頭に瓶底眼鏡の槐がボードレールを小脇に抱えてソルボンヌを歩いてる 

そして、ラプラスの魔 

幾多の時を跨いで生きるラプラスの分厚いアルバムには、白人の大男と写る白崎が居た 
その後ろには、プールで濡れた白い水着もはちきれんばかりの豊満な美女達が並んでる 

「あの頃は僕も若かったですから、新しい雑誌を興すのに燃えてたんですよ」 

白崎と白人大男は、それまでの雑誌の常識を打ち破る新しい雑誌を作るべく青春を費やした 
二人の助平男は絶世の美女を集め、世界の助平男のための雑誌を世に送り出す 

その後白崎は病に倒れ世を去り、運命の悪戯でラプラスの魔としての命を与えられる事となる 
白人の大男は若くして散った助平な雑誌編集者、白崎の墓の前に一冊の創刊誌を供えた 

「お前は生きる、たとえお前の命は消えても、お前のエロはわたしの雑誌の中で永遠に生きる」 

その白人の大男の名はヒュー・ヘフナー 
雑誌「プレイボーイ」の創始者にして、稀代のスケベ男 

今週も週刊プレイボーイをめくる白崎の顔は、寂しそうで、どこか照れ臭そうに見える 

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