水銀燈はその翼で空を自由に飛べる。
翠星石と蒼星石もカバンに乗ることで空を飛べる。
金糸雀さえも傘で風任せではあるが飛ぶことができる。
雛苺は飛べない。
「ヒナもお空を飛びたいの〜うらやましいの〜」
その願いを僕が叶えてあげるよ。
雛苺を川原に連れ出し、買っておいたペットボトルのコーラを与える。
1本・・・2本・・・3本・・・4本・・・
結局1.5リットルのコーラを12本も飲みやがったよ。
「けっぷ〜〜もうおなかいっぱいなの〜」
そうかそうか、良かったな。
「これを噛まずに飲み込んでごらん」
オブラートに包んだフリスク30粒を雛苺に食べさせる。
「うゆ!?おなかの中がシューシューするのよ」
今だ!すかさず雛苺を抱き上げて上下に激しくシェイクする。
「うぷっ〜〜気持ちわるいの〜」
雛苺を逆さにして手を離す。
次の瞬間・・・
「うぼぼぉぉぉ〜〜〜おえぇぇ〜〜!!!ぼぇぇ〜〜〜!!」
口からコーラを激しく噴出しながら雛苺が飛んだ!
あっという間に高度10メートルを超え、さらに飛ぶ。
やった!!成功だ!!雛苺ロケット!!
僕は大空に向かって叫ぶ。
「雛苺!!空を飛べて楽しいかい?」
口からコーラを吐きつつ飛ぶ雛苺が笑って手を振ったように見えた。
やがて雛苺はピンクの点のようになり見えなくなった。
3日後、オディールという人から国際電話がかかってきた。
どうやら雛苺は前の持ち主の孫の所まで飛んでいき、そこで楽しく暮らしているようだ。