カリもふ篇 

桜田家の午後 
ドール達は柔らかな陽光が指し込めるリビングにて 
今日もお茶会を楽しんでいる 
と、先ほどまで台所にいたのりがいつもの優しい笑顔で 
お盆にお菓子を乗せてリビングにやって来た 
「今日は真紅ちゃんの好きな鈴カステラよ〜」 
「あら、気がきくのね」 
「明日は雛苺ちゃんの苺大福にしましょうね〜」 
「………ヒナ、カリもふが欲しいの」 
「え…?カリ……もふ?」 
のりが困惑していると翠星石が飽きれ顔で 
「ま〜たチビ苺のワガママが始まったです」 
などと言う始末 
「雛苺ちゃんカリもふって?」 
「柔らかくてー、固くてー、おっきいの〜!」 
嬉しそうに答えた雛苺と対照的に 
翠星石は頭がくらくらしてきた 
「よく解らないですけど 
何だかとても変な気分ですぅ」 
真紅が真顔で質問する 
「雛苺、その『カリもふ』以前口にしたことが有るの?」 
雛苺は無邪気な笑顔で嬉しそうにして 
「ジュンが自分のをヒナにくれたの〜! 
暖かくて白くて黄色くて美味しかったの〜!」 
真紅と翠星石はまだ意味が良く解らずにいたが 
のりは憤怒の表情を浮かべていた 
「こ、怖すぎですぅ!」 
のりは物凄い勢いで階段を駆け登り…… 
「オラオラオラオラオラァ!!!!」 
ご近所中に響き渡る声がして… 

そして静寂が訪れた……… 
後にわかった事だが 
『カリもふ』とはメロンパンのことで 
焼きたてより少し暖かい位が良くて 
外側がカリカリ、中がもふもふ、そして黄色や白色… 
そして翌日 
「は〜い雛苺ちゃんカリもふよ〜」 
「カリもふなの〜!固くて、柔らかくて、おっきいの〜!」 
「なかなか美味ね、紅茶に合うのだわ」 
「おいしそ……オホン…し、仕方ないから食べてやるぜですぅ」 

「ところでジュンは何処に居るの?」 
真紅がのりに質問した 
「変ね〜?朝から部屋から出て来ないのよ〜」 

おしまい 
朝からスマン 
仕事逝ってくるノシ 

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