奮起篇 

翠星石は姉妹の中でも意外と活発なドールだ 
かなりの毒舌家だが性格はさっぱりしている 
そんな悩みとは無縁そうな翠星石にも悩みはあった 
それは… 

「真紅、くんくんのファイルガイドの4巻を買ってきたぞ」 
「ご苦労様、そこに置いて」 

(うぅ…チビ人間の奴、毎日毎日真紅真紅って翠星石のこと忘れているですぅ〜) 
「翠星石どうしたのなの〜?」 
雛苺が満面の笑顔で尋ねる 
「チビ苺にはカンケーねーです!」 
「真紅〜!翠星石がいぢめるの〜!」 
雛苺は真紅とジュンの方へ泣きながら 
走り去って行った! 

「………ですぅ…」 
その夜、翠星石は桜田家の屋根の上で 
ガックシと肩を落としていた… 
そのとき! 

「あらあら何を悩んでいるのかしらぁ〜?」 
(この声は…まさか!) 
翠星石は思わず身構える! 
「水銀燈!何しに此処へ来たです!」 
「ふん…そんなザマではアリスには程遠いわね 
…今のあなたを倒しても面白くない 
同じローゼンメイデンのよしみでアドバイスしてあげようかしら? 
人間のオスには色気……」 
「色気……ですか?」 
「そうよぉ…オスなんてみんな単純なんだからぁ…」 
そう言い残して水銀燈は帰って行った! 
翠星石はワナワナとかたを震わせて 
「色気……色気…… 
ま、まさか翠星石には色気が無いとでもですか〜!!!」 
翠星石は屋根をガシガシと何度も踏みつけ…… 
そして 

「ふっふっふっですぅ」 
何か思いついたのか翠星石はほくそ笑んでいた 

果たして翠星石は何を思い付いたのか? 

接近篇 

翌日…… 
ジュンがいつも通りパソコンに向かっていると 
「そ、そこのチビ人間!こ、こっち向きやがるですぅ!」 
「何だよ今忙しいんだけど」 
と言いつつも、ちゃんとジュンは後ろを振り返る 
そして…… 
「ん〜〜チュ!ですぅ…」 
翠星石はジュンから相当離れた部屋の隅っこから 
投げキッスをしていた 
翠星石は顔を真っ赤にして茹でダコ状態 
頭から湯気が上がっていた 
ドキドキ…… 
(人間のオスに投げキッスをするだなんて 
お父様、はしたない翠星石を許してですぅ〜!) 
しかしジュンはまたどうせ 
翠星石の新手のいたずらかと警戒して 
「ど、どうかしたか?」 
と内心強がっての一言だけの感想 
どうせいつもの様に翠星石は悪態をつくのだろう 
とジュンは思っていた 
しかし今日は違っていた…… 
「……どうしてですか? 
……ぅ…して…真紅ば…かり…… 
翠星石だって!翠星石だって!……ですぅ……」 
翠星石は目を潤ませながらジュンに詰め寄り…… 
ジュンのズボンの裾をつかんで 
声を殺して肩を震わせていた 
「そんなこと無いよ…」 
ジュンは翠星石を膝に抱きかかえた 
「あ……!は、離すですぅ… 
け、け、汚らわしい手で触るな……ですぅ」 
「真紅も翠星石も…そして雛苺もみんな大事な家族だ」 
ジュンは翠星石の髪を優しく撫でる 
「あ…き、気安く…触るな…ですぅ…」 
しかし翠星石は抵抗しない 
翠星石は 
『ピーー!』 
という擬音が聞こえてきそうなくらい体から蒸気が吹き出ていた 

勘違い篇 

ガチャ… 
と、突然部屋のドアノブが開き 
「翠星石、何をやっているのかしら」 
「翠星石いい雰囲気なの〜」 
「あら〜?ジュン君何をしてるのかしら〜?」 
部屋の入り口には真紅と雛苺そしてのりもいた 
その刹那 
「真紅〜!助かったですぅ〜! 
チビ人間が発情して翠星石を押し倒そうとしたですぅ〜!」 
と真紅に抱きつき嘘泣きをしはじめた 
ジュンは 
「な!?」 
と声を裏返らせ 
「これだから人間のオスは信用ならないのだわ」 
真紅は軽蔑の眼差しで見つめ 
「信用出来ないの〜!」 
雛苺はよくわかっていない様子 
「ジューーンーく〜ん?」 
のりが青オーラを出しながら近づく 
「ひぃぃ」 
「オラオラオラオラオラァ!!!!」 

ジュンは思った 
女は信用できない 

翠星石とジュンが打ち解けるには 
もう少し時間がかかりそうだ 

その様子を見ていた水銀燈が一言 
「まったくおバカさんねぇ〜〜」 
おしまい 

秋葉逝ってくるノシ 

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