翠星石が何か面白い番組は無いのかとTVのチャンネルを回していた時、
ふと筋肉ムキムキの男達が半裸の状態で殴ったり蹴ったり取っ組み合っている番組を見つけてしまった。
それは総合格闘技中継なのだが、それを初めて見る翠星石には異様な物に映ったに違いない。
「うわ・・・人間のオスはこんな野蛮なのが好きなんですぅ? まったく人間と言う奴は
分からない奴ですぅ。ただ殴りあったりするだけなんて・・・アリスゲームに比べれば子供の遊びですぅ。」
と、全世界の総合格闘技ファンごめんなさい的な発言をしている翠星石だったが、
そのままチャンネルを変える事無く見入っていた。何だかんだ言いつつも、彼女は
鍛え上げられた男達の熱い戦いに惹かれていた。そして番組が終わる頃には・・・
「す・・・凄かったですぅ・・・感動したですぅ・・・あれこそ男の生き様ですぅ・・・。」
翠星石は全身が汗びっしょりになり、目からも感動の涙を流していた。
「ジュンもあの人達みたいに強かったらもっと素敵ですのに・・・今日も部屋に引きこもって・・・
そうですぅ! 翠星石がジュンを鍛えてやるですよ! そしてあの番組にも出られる強い男にしてやるですぅ!」

翠星石が勇んで二回に上がると、案の定ジュンは机にかじりついた状態でネット通販に浸っていた。
「こらぁ! チビ人間! まだそんな事してるですか! いつまでもそんな事してたら
ただでさえチビな体がますます弱くなりやがるですよ! そんなチビ人間は翠星石が鍛えなおしてやるですぅ!」
「わぁ! いきなり何だ翠星石!」
突然椅子から引き離され、ベッドに押し倒されてしまったジュンは慌てていたが、
翠星石は仰向けになったジュンの上に乗った状態で殴り付け始めた。
「チビ人間の腐った根性は翠星石が地獄の猛訓練で鍛えなおしてやるですよ!」
「わぁ! いきなり何するんだよ! やめろよ!」
ジュンは翠星石を手で払おうとするが、構わずに殴り続ける。
すっかり総合格闘技に影響されてしまったのか、翠星石は格闘家にでもなっている気分で
ジュンを何度も攻め続けていた。
「ほらほらぁ! 攻められっぱなしでは何にもならないですよ!」
「もう止めろ! 痛い! 痛いってば!」
ジュンはうつぶぜになり必死にベッドの上を這って逃げようとした、しかし翠星石は
ジュンの背中に乗りかかり、首を絞め始めたではないか。
「相手に背を向けたらスリーパーの餌食ですぅ!」
「うぐぁ!」
翠星石はジュンの首をスリーパーで絞め続けた。だが、それがいけなかった。
ついにジュンは全身の力が抜けたように崩れ落ち、動かなくなってしまって。
「え・・・ジュン・・・?」
返事が無い。翠星石は見動き一つしなくなったジュンを揺するが、やはり動かない。
「え? え? そんな・・・返事をするですよ・・・ジュン・・・ジュン・・・。」
翠星石はジュンを何度も揺すり、頬も叩くが返事が無く、身動き一つしない。
「そんな・・・そんな・・・嘘・・・嘘です・・・嘘ですぅ! ジュン! ジュン!」
目を涙に潤わせ、何度もジュンを揺するがやはり動かない。
「まさか・・・そんな・・・ジュン・・・死んじゃったですぅ? す・・・翠星石がやってしまったですか・・・
そんな・・・うわぁぁぁぁん!! ごめんですぅ! ごめんなさいですぅ! そんなつもりじゃ・・・
そんなつもりは全く無かったんですぅ! ただジュンに強い男になって欲しくて・・・
ごめんんですぅぅぅ!!」
翠星石は動かなくなったジュンを抱きしめ、泣いた。殺すつもりなんて全く無かった。
翠星石はジュンが大好きだったのだから。そして大好きだからこそ総合格闘技に出て来る
男達のように強くなって欲しかった。だがまさかこの様な事になろうとは・・・
「うわぁぁぁぁぁジュンごめんなさぁぁぁぁい!!」
「うずず〜・・・。」
「え?」
翠星石は硬直した。ジュンは死んだわけでは無かった。ただ翠星石のスリーパーで
絞め落とされて眠りについているだけだった。まさにスリーパーである。
「寝てるだけですかぁ! でも・・・よかったですぅ・・・。」
翠星石は涙を拭き、ジュンを優しく抱いた。そしてジュンが起きたら素直に謝ろうと思った。
まあ翠星石の素直じゃない性格からして、それを実行する事は出来なかったのだけど・・・
               おわり


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ギャグ系のネタとか好きなんだけど
いざローゼンSSを書こうとなるとギャグ系のネタが全く思い浮かばん
良い話系(?)ばっかりになってしまうorz






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